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「株式会社獺祭」に社名変更 ブランド強化し海外深掘り 将来売上1000億円目指す

食品新聞 / 2025年1月24日 7時4分

清酒「獺祭」醸造元の旭酒造は、6月1日付で「株式会社獺祭(英語名:DASSAI Inc.)」に社名変更する。銘柄と社名を一致させることでブランド力を一層強化し、海外展開を加速させる。このほど経営戦略発表会を開き、前9月期の売上高195億円を将来的に1000億円へ引き上げる目標も明言した。桜井一宏社長は「日本で誕生したプレミアムブランドとして世界中で市場を深掘りする」などと語った。

■イベント1000回でファン開拓

社名変更について、桜井博志会長は旭酒造の歴史を振り返りつつ、2000年代前半に自社で製造する銘柄が「獺祭」100%になった時期を述懐。「いずれ社名も『獺祭』に変える必要があるだろうと感じていた」。桜井社長は「4代目蔵元としてなかなか踏み出せなかったが、米国酒蔵(DASSAI USA INC.)が稼働し、世界に向かっていく道筋ができてきた。変えるならいましかない」との想いに至ったという。

桜井博志会長(右)、桜井一宏社長

将来目標に掲げた1000億円の内訳は、日本300億円(前期約100億円)、海外700億円(同約85億円=輸出+免税販売)に設定。

足元の需要喚起策として、今年は国内を中心に年間1000回のイベントを実施する。従来の100~150回に比べて一気に増やす計画だ。桜井社長は「獺祭は知っているけど『飲んだことがない』『しばらく飲んでいない』という方が多くなっている。逆に言えば新たな飲み手を開拓できるチャンス」と説明。酒販店、飲食店などの協力も得ながらイベント等で新たな市場を創っていく。

「日本の文化、歴史、精神性などを背景に生まれた獺祭にとって国内のマーケットは非常に大切。グローバル化で世界の市場は1つになりつつあると感じるが、そうなれば日本はなおさら象徴的で重要な場所」(桜井社長)と力を込める。

28年春、本社蔵の近隣に3号蔵が完成予定。製造規模は年間5000石(約90万L)。最高峰に位置付けられる「獺祭 磨き その先へ」以上の高級酒のみを醸造予定。

■日本酒初、アカデミー賞授賞式で提供

海外は日本からの輸出に加え、ニューヨーク郊外の米国酒蔵(23年稼働)を拠点に市場開拓を加速させる。現地生産のブランドとして「DASSAI BLUE(獺祭ブルー)」を展開。24年度の売上は424万ドル(約6・6億円)、販売容量は約11万Lだった。

桜井社長は「新たな飲み手と接点を作る前線基地になりつつあるが、日本酒はまだまだニッチな存在。現状、米国のアルコール市場でシェアはわずか0・2%にすぎない。壁を越えるには様々なアプローチが必要」と話す。

その一環で昨年11月、フランス・パリのレストランで三ツ星を2つ有するヤニック・アレノ氏と共同で居酒屋スタイルの和食店を出店した。25年3月には日本酒初の試みとしてアカデミー賞授賞式の会場で獺祭を提供。世界中の映画関係者らに向け一夜限りの「獺祭バー」を展開する。

足元では消費環境の変化を背景に米国や中国での伸びが減速しているが、「長期的には日本酒の市場はまだまだ上昇トレンドに乗っていける」(桜井社長)と展望。「まずは米国酒蔵での取り組みを3年、5年と成功するまで追求し続け、新しい市場を創っていくことに挑戦する。流通業者に対してSAKEの温度管理(物流・保管など)が重要なこともしっかりと啓蒙していきたい」とした。

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