髙瀬物産 コロナ禍の危機乗り越え業務改善効果で収益回復 高瀬知康社長に聞く
食品新聞 / 2022年7月25日 10時46分
変化に対応、より強い企業へ
髙瀬物産は12日、東京ドームシティプリズムホールで業務用食品・酒類提案会「FOODS NEXT」を開催した(既報)。コロナ禍で外食市場が縮小する中、業務用卸事業を展開する同社も大きな影響を受けた。コロナ発生直後の20年度は創業以来、初の営業赤字を計上したが、前期(21年度)はわずか1年で黒字化を達成。今期は売上高800億円、営業利益14億円を計画する。髙瀬知康社長は「創業以来の大きなマイナスを乗り越えるべく、全社員が業務の見直しと新たな発想でチャレンジを重ね、仕入先・得意先のご協力もいただき、厳しい状況下でも収益回復が進んできた」と手応えを示す。外食市場の回復に向けた取り組みや、今後の方向性を次のように語った。
◇ ◇
全国の外食店はこの3年間、大変な苦労をされている。当社も当然ながら大きな影響を受けた。外食需要が消失した20年上期は先行きが見えず、業務用卸には経済的支援もほとんどなく、(業界全体が)どうなるかと大変危惧した。
創業60周年だった20年度はコロナ禍直後のマイナスにより創業以来初の営業赤字を計上した。これまで経験したことのない困難に直面する中、全社一丸となって業務の見直しを図り受発注や配送の効率化など得意先・仕入先の協力もいただき、前期(21年度)は黒字化を達成することができた。
業務の効率化を最優先に出勤体制、働き方、業務内容の変更など改善が進み、コロナ禍で新たなアイデア、学びも多く生まれた。苦しい時期を乗り越えてきた社員、取引先に感謝している。わずか1年で大きなマイナスを取り返せたことは私どもにとって大きな自信となっている。コロナ禍の厳しい環境はこれからも続くが、歩みを止めずに少しでも前進し、新たなニーズに対応する会社に変化すべく、さまざまな施策を進めていく。
新規事業では昨年10月、会員制ECショップ「うちプロ my best chef」を開設した。プロの料理人に評価されている当社直輸入ワインやオリジナル商品を中心に、小売店では手に入らないブランドや本格的な食材が家庭で楽しめると喜ばれている。
3月には当社初のアンテナショップ「BASE」をJR中野駅前にオープンした。当社が取り扱う業務用食材を使い、ビュッフェスタイルの持ち帰りデリやおつまみ、店内のイートインスペースではグラスワインやカフェメニューが楽しめる。外食卸として消費者ニーズをとらえ、得意先への提案活動にフィードバックすることが狙い。お客さまとのメニューテストやワインの試飲販売、各種イベントにも役立てていく。
コロナで外食市場のニーズは目まぐるしく変化し、人手不足や食材値上げなどコスト上昇への対応も大きな課題となっている。外食に客足が少しずつ戻ってきている中で、外食応援企業としてユーザーに寄り添い、お客様の課題解決と活性化につながる提案をこれまで以上に強化する。
価格上昇に加えて調達が難しくなっている食材もある。代替食材の提案や安定調達の確保、メニュー単価アップにつながる提案がより求められている。展示会では「FOOD NEXT」をテーマに付加価値の取れるメニューや食材の提案、人手不足や環境対応などの取り組みも充実させた。
売上はピークの8割まで戻ってきており、6月単月では前年比33%増、19年比89%まで回復してきた。ホテル、レストラン業態は回復途上にあるが、老健・病院、給食、デリバリー、ゴーストレストランなど新規顧客の開拓も進んだ。コロナを経て、有事にも強い会社として収益力を高め、今後の成長発展を目指す。
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