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缶チューハイ市場切り開いた宝酒造 一世風靡から38年、挑戦続く 浸透する「大衆酒場」の世界観

食品新聞 / 2022年7月27日 13時14分

売場には各社の多種多様な商品がひしめきあい、活況を呈する缶チューハイ市場。その源流をひもとけば、80年代に缶チューハイブームで一世を風靡した「タカラcanチューハイ」に行きつく。強みとする焼酎のうまさを核に、独自の世界観をまとう商品群を展開するのが宝酒造のソフトアルコール事業だ。その歴史を追った。

「焼酎復権」に続くチャレンジ 生活に寄り添う飲み物に

1970年代半ば、米国でウォッカやジン、テキーラなど無色透明のスピリッツのブームが起こり「白色革命」と称されていた。

これに目を付けた宝酒造の大宮隆社長(当時)が、低迷していた焼酎の復権を目指し新たな商品の開発を指示。77年3月に発売された宝焼酎「純」は、やがて年間600万ケースを超える大ヒット商品に成長。長年の宿願「焼酎復権」を見事に果たした。

「純」のヒットは、焼酎の飲み方も変えた。「凍らせて純粋さを飲む」「ミックスで調和を愛でる」などの提案も奏功し、若者たちに新しい飲み物として受け入れられるようになる。こうして80年代前半にはチューハイのブームが到来。次なる一手として、缶入りチューハイの商品化に動き始めた。

「台頭しつつあった居酒屋チェーンでも、チューハイが飲まれるように。それを家庭用に缶で届けようと検討に着手したものの、莫大な投資が必要ということで、社内で会議を重ねてもなかなか決まらなかったと聞く」。

そう説明するのは、宝酒造商品第一部ソフアル課長の小澤真一氏。だがその後もますます広がるチューハイ人気に背中を押されるように、商品化を決断した。

中味の開発にあたっては担当者らが各地のさまざまな店を飲み歩き、「純」をベースにしたチューハイを提供する大阪の人気店の味をベンチマークに決定。その新しさや手軽さを表現するため「缶」にこだわり、瓶製品の製造ラインしかなかった松戸工場に最新鋭の缶ラインを導入。84年1月、満を持して「タカラcanチューハイ」がデビューした。

ジョン・トラボルタを起用したCMも話題を呼び、発売と同時に注文が殺到。翌年度には581万ケースを売り上げ、酒類市場にソフトアルコール飲料という新ジャンルを創出した。

「ベストセラーとなった俵万智さんの『サラダ記念日』にも『カンチューハイ』という言葉が登場するなど、生活に寄り添う飲み物になった。世に受け入れられるものができたのだと思う」(小澤氏)。

ドライって何味? 苦節の末ブレーク「焼酎ハイボール」

当初は瓶でテスト販売された「焼酎ハイボール」。下は現行品(宝酒造)

さらに00年代に入り、独特の存在感でコアなファンから支持される柱ブランドが加わった。その名も「焼酎ハイボール」。チューハイの語源をそのまま商品名に冠し、1950年代初頭に東京の下町で生まれた“元祖チューハイ”の味わいを追求。辛口チューハイ市場を切り開いた。

「下町の文化を研究していた社員とともに開発スタッフが大衆酒場めぐりをしたところ、下町では一杯目はビールではなく『焼酎ハイボール』というナゾの飲み物を注文することに気づいた。勉強するうちに、東京の一部地域だけで飲まれている味であることが分かってきた」(同氏)。

05年に瓶で少量のテスト販売を行ったところ一定の需要が確認されたため、翌年には缶の大量生産に踏み切る。

「発売時には竹野内豊さんを起用したCMも放映したのだが、当時は果汁系チューハイが全盛。焼酎の味わいにこだわった辛口チューハイは全然売れなかった」。

だが若手社員らが地道な営業活動を続けたところ、下町の一部スーパー数店だけで特異的に売れ始める。似た立地の店舗を探し根気強く紹介し続けたところ、売れ行きがじわじわと拡大し始めた。

「当時は『ドライ』というフレーバーが認知されておらず、20代だった私も最初に飲んだときは正直『味が薄いな』と感じた。商談でも『ドライって何味なの?』とよく聞かれた」という小澤氏。やがて競合ブランドの缶チューハイでもドライフレーバーが登場するようになり、市場に浸透し始めた。

果汁感やメジャー感を訴求する他社を横目に、「大衆酒場のあのうまさ」をキャッチフレーズとしたなぎら健壱さん起用のCM(09年)で「大衆酒場」の世界観を前面に打ち出した。この時期を境に本格ブレーク。昨年の販売数量も5%増(1千604万ケース)と成長を続ける。

「タカラcanチューハイ『すみか』」も昨年9月に発売。辛口を好みながらも、男性的イメージの強い「焼酎ハイボール」にはなかなか手が出ない女性ユーザーの獲得を狙う。おしゃれなパッケージにがらりと印象を変え、度数は5%とやや控えめだ。

同社を含め、酒類業界でも今年は値上げラッシュ。生活者の節約志向はますます強まる。

「ウクライナ問題があるまでは、ソフトアルコール市場は順調に拡大していくとみられていたが、家庭用の伸びも一段落するなかで景況感の悪化がきた。ただわれわれとしては、メーンの『焼酎ハイボール』で大衆酒場の世界観を強化し、ファンを増やす方針に変わりはない」と小澤氏は強調する。

「チューハイにおいても、ベースの焼酎の味わいを生かした競合にはまねできない味わいが強み。焼酎のおいしさで、お酒が好きなお客様のニーズを満たしていくことがタカラらしさだ」。

缶チューハイ市場切り開いた宝酒造 一世風靡から38年、挑戦続く 浸透する「大衆酒場」の世界観は食品新聞 WEB版(食品新聞社)で公開された投稿です。

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