熱中症対策商品、泣き笑い 塩分補給飲料が急増 一部の包材がひっ迫
食品新聞 / 2022年8月1日 9時49分
熱中症対策商品が本番を迎えている。早い梅雨明けにより特に飲料は連日、フル稼働が続いている。一部商品の中には需要が前乗りした結果、容器がひっ迫し出荷制限も散見されるなど、カテゴリーによる泣き笑いがみられている。
熱中症対策商品はスポーツドリンクや経口補水液、氷菓、タブレットなどが定番カテゴリーだが、ここ数年は塩分補給のニーズが加わり、商品の多様化が進んでいる。
気象庁は6月末に平年より約1か月、昨年より半月ほど早く梅雨明けを発表し、メーカー各社は戸惑いを隠せない。6月後半から猛暑が続いており、これに加えてコロナ禍によるマスク着用により熱中症リスクが高まっている。6月の熱中症で病院に搬送された人は過去最多と言われ、7月も全国的に猛暑が続き、引き続き熱中症対策商品需要が高まっている。しかも感染力が強いオミクロン株の流行により自宅で療養する人が過去最多を記録したため、関係官庁でも室内での熱中症対策を熱中症予防のための注意を呼び掛けている。
例年より1か月ほど早い梅雨明けと猛暑により6月の飲料出荷量は約5%増を記録し、スポーツドリンクや麦茶など茶系飲料、炭酸水、ミネラルウォーターなど止渇飲料を中心に好調に推移。5月までの不振を取り戻した。猛暑を期待して発売した熱中症対策飲料も滑り出しから好調だった。
一方で早い梅雨明けで容器がひっ迫している。ゼリー飲料や熱中症対策水に使われるパウチ容器が不足しており、メーカーの中には一部商品で出荷制限や早々と終売宣言を出した商品もある。早い梅雨明けが招いたもので、早々と在庫がなくなり追加生産をしようとしても包材が入らず、チャンスロスを招いている。一部包材メーカーは「供給はお盆明けになる」としているが、その頃は秋冬商品への切り替え時期でもあり、極端な残暑でもない限り需要が期待できないと嘆いている。
スーパーで販売できるほど潤沢な商品がないため、ネット販売で急場をしのぐメーカーもあるが、スーパーに比べると売上は小さい。包材ひっ迫の動きは一部のタブレット商品にも派生しており、早々と終売を決めたブランドもある。
法人へ熱中症対策自販機も登場
連日の猛暑で、塩分入りの熱中症対策飲料の売上が急増しており、オフィスや工場、工事現場、鉄工所、消防署、病院など法人に設置された自販機の売れ行きも好調だ。
サントリー食品インターナショナルは、2021年から法人向け専用商品として熱中症対策飲料「DAKARA PRO」を工事現場や工場向けに発売しているが、今年3月から熱中症対策飲料の機能はそのままにゼロカロリーにリニューアルした。これは汗で失われる水分・塩分・鉄分を補給することができ、しかもゼロカロリーなのでカロリーを気にせず水分補給ができる。
グループ会社のサントリービバレッジソリューションは、このほどビッグサイトで開催された「猛暑対策展」でサンプリングし、熱中症対策自販機「DAKARA給水所」も披露した。自販機は工場など法人向けの提案で、法人が発行する専用カードをタッチするだけで冷えた状態の飲料を飲むことができ、既に5千か所以上の事業所で展開している。
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