エア・ウォーター サーモン陸上養殖事業参入 システムをパッケージで提供へ
食品新聞 / 2022年8月5日 12時33分
エア・ウォーターは1日、魚介類で需要の高いサーモンなどの陸上養殖事業に参入すると発表した。2年後をメドに出荷する。その養殖サーモンは生産地の北海道東神楽町でブランド化するほか、出荷実証後はこの養殖システムを自治体や漁協、食品商社などへパッケージ提供し、収益化するビジネスモデルとして確立させる。
陸上養殖事業は「杜のサーモンプロジェクト」とした。全国の約2割の漁業生産量を占める北海道だが、漁業者の減少などの問題で安定的な漁業モデルが求められている背景があり、一般的に事業化されている海面養殖より、自然状況に左右されにくい「陸上養殖」を同社は選択した。北海道でのサケ・マス類陸上養殖は初めてとなる。出荷数は年間30t(1万2千尾)を計画している。
東神楽町に建設するモデルプラント(敷地面積4千290㎡)は、水をろ過してリサイクルする半密閉循環式を採用し、飼育する水に酸素を溶かすことで成長を促進し、出荷までに自然界で3~5年の期間を約2年に短縮する。
飼育する魚は全雌三倍体(卵を持たず成熟しない魚)のニジマスを予定している。人工海水で飼育可能なウニなどと複合飼育を行うほか、養殖排水を使用してアスパラガスなどの水耕栽培も行うことで、サステナブルなフード事業に取り組む。
同社グループは、連結子会社約170社を有し、酸素などの産業ガス事業をはじめ医療、農業・食品、海水などさまざまな事業を展開していることから、養殖事業に必要な技術などの要素を多数有している。
また、同ビジネスモデルとそのパッケージ提供を通して食料自給率の向上に貢献するほか、教育・研究機関と連携して環境保全やフードロスなどのSDGsの目標達成を目指す。
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