そうめん 長い夏で品薄続く 特売控える動きも
食品新聞 / 2022年8月8日 15時41分
そうめん市場が終盤を迎えた。平年より早い梅雨明けにより、そうめんなど細物が前倒しで動き、需要は旺盛だ。機械製そうめんは一部商品で増産対応したものの、製販の季節が逆転する手延べそうめんは追加生産ができず、7月中旬から品薄感が漂う。市場では販促を抑制する動きが強まっている。
そうめん商戦は毎年3~4月頃から立ち上がり、GWの第一の波から7月の「海の日」をピークに盛り上がる。近年は秋冬に温めて食べるにゅうめんが浸透してきたが、夏の冷やしそうめん需要が多いことは変わらず、その年の気温に左右されやすい。今年は6月27日に気象庁が「関東甲信地方、東海地方、九州南部が梅雨明けしたとみられる」と発表して以降、猛暑日が続いた。
乾麺にとって天候は最大のプロモーションであり、細物のそうめんを中心に需要が急伸。予想外の夏の到来に市場ではうれしい悲鳴も、供給に不安感が漂った。食品卸では在庫を抑えているため量の確保が少なく、追加発注が相次いだ。急な要請を受けて、機械麺メーカーは一部商品で追加生産に動いたが、最盛期の稼働率はもともと上限に近い状態。仮に麺は生産できたとしても、包装資材がひっ迫している。加えて包装加工作業が間に合わないなどの実情もあり、単純に増産とはいかない。メーカーによっては早々に対応不能を宣言したところもあった。
一方で、夏は生産を休止する手延べそうめんは、市場在庫が非常にタイトになっている。近年特に生産者の廃業や働き手不足が影響して全国的に生産量が漸減傾向にあり、在庫はもともと潤沢ではない。
ガリバー商品「揖保乃糸 上級品300g」を生産する兵庫県手延素麺協同組合では、梅雨明けから7月16日までの約2週間の組合出庫量が過去最高を記録した。次年度に主に贈答用に販売する、一年熟成の「古(ひね)」にまわす分の原麺確保も必要なことから、在庫をすべて販売することができず、卸を通じて各小売に特売を控えるように要請した。
中元ギフト向けの販売が多い奈良県の三輪そうめん産地でも、「通常なら中元解体セールで値引きを行うが、今年は見合わせている」(奈良県三輪素麺工業協同組合)という。
家庭用、贈答用とも販促を抑制したことにより、7月後半から市場がやや落ち着いている。しかし8月に入り再び連日の酷暑が訪れ、需要が衰えることはない。商戦が終息する盆まで、供給ぎりぎりの体制が続く。
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