海苔加工メーカー 「第二の柱」構築に本腰 生産側と連携、効率化も
食品新聞 / 2022年9月2日 10時18分
海苔メーカーが事業の「第二の柱」を構築しようと、本業を生かして新たな領域に進出する動きが活発になっている。海苔は人口減少や食習慣の変容、贈答文化の衰退を背景に、国内の総需要は最盛期から減少基調。頼みの綱であるCVSおにぎり需要も新型コロナウイルス禍による大打撃を受け、コロナ前の水準に戻るまでは時間を要する見通しだ。一方、生産サイドに目を移すと、養殖における人手不足や海況の悪化などを受け、年々生産枚数の水準は下降気味。生産効率化や資源の有効活用を目的に、長年続いてきた生産・出荷にかかわる習慣を見直す取り組みが始動する。
ニコニコのりは8月、海苔成分を活用した化粧品ブランドの設立を発表。品質的な問題で未利用な海苔を有効利用することなどを目指し、フェイスミストを商品化。若い女性にアプローチし、海苔の消費拡大につなげていく。
白子は、既存のレトルト食品事業の強化に乗り出している。自前のレトルト工場と海苔製造で培った知見・技術をフル活用し、本年度内をめどに新商品を発売する計画。
急成長中のオートミール市場に参入したのは大森屋。秋発売製品の目玉の一つと位置付け、オールインワンタイプ商品を投入し朝食訴求に注力している。
販売面だけでなく、メーカー側が生産側に関与する動きも顕在化する。7月1日付で資本業務提携を締結した山本海苔店と髙岡屋は、乾海苔の製造までを手掛ける1次加工会社を設立した。松谷海苔は地元の兵庫県で、今漁期から効率的な出荷工程を試験的に始める予定。
生販ともに各社の取り組みは三者三様だが、業界の先行きに対する危機感への具体的なアクションという点では一致している。和食文化の一翼を担ってきた伝統が色濃い業界が、時代や社会の変化に即した変革の風を柔軟に取り入れ上昇気流に乗ることができるのか、新たな挑戦の成否に注目が集まる。
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