業務用・家庭用の値上げ発表へ 輸入塩メーカーも決断 日本食塩製造
食品新聞 / 2022年10月7日 12時41分
日本食塩製造(神奈川県川崎市、福家顕一社長)は、業務用塩の価格を来年1月1日から改定する。<煎ごう塩><洗浄塩>ともに末端ユーザーでは20〜30%以上の値上げとなる模様だ。
なお、上げ幅は「以上」の表記としており、為替変動や船便の燃料サーチャージを含んでいないため今後の環境変化ではさらに上昇する可能性がある。
また併せて、家庭用塩の卸価格も<煎ごう塩><洗浄塩>ともに価格改定を発表した。同社は塩事業センターの食卓塩等製品の納入もしている。家庭用塩はここまで、各メーカーとも値上げが出来なかっただけに、今回の発表を口火に市販向け塩製品の値上げが本格化することになりそうだ。
今回の価格改定は、製塩に必要なエネルギー(電気・天然ガス)、物流、資材、包材など諸コストの上昇によるもの。業務用塩は、ウクライナ紛争による石炭価格の急騰などの諸要因から、イオン交換膜法で製塩する大手3社が11月1日出荷分からの値上げを発表している(ナイカイ塩業13円以上、ダイヤソルトが14円以上、鳴門塩業14円以上)。
大手3社および日本食塩製造の値上げ幅は過去最大。生産原価が卸価を上回る逆サヤとなり「現行価格では売れば売るほど赤字」となっているからだからだ。
日本食塩製造は輸入塩を原料に、天然ガス、電力で製塩するメーカー。2年ごとに価格改定が行われる輸入塩は、来年1月1日から新価格の施行が予定されている。メーカーは通常、新価格確定後に自社製品の上げ幅を決定するが、福家社長は「塩元売や顧客に少しでも早く説明し、1月1日からの価格改定を徹底したい」との考えから、輸入塩の価格決定前での値上げ発表に繋がった。
業務用塩は、みそ、醤油、漬物、水産をはじめとする食品加工に不可欠な原料の一つ。だが、今春の価格改定では一部で値上げの時期ずれが生じた模様だ。メーカーの経営環境が死活問題にまで発展している以上、オール食品がこの状況を理解することが期待される。
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