回復途上のコンビニ インフレ影響 本番は下期 「価格と価値」バランス腐心
食品新聞 / 2022年10月26日 13時39分
人流の回復から客足が徐々に戻りつつあるコンビニ業界。各社の中間決算では日販の着実な改善が見て取れる一方、エネルギーコストの上昇や相次ぐ食品値上げによる逆風も急速に強まる。消費動向をにらみながらの慎重なかじ取りが迫られる下期だ。
各社の既存店業績をみると、客単価が堅調を維持するとともに、前期までマイナスが目立った客数も次第に改善しつつある。ただしコロナ前水準は遠い。日本フランチャイズチェーン協会のデータから試算すると、今年3-8月のコンビニ全店客数は19年同期比約9%減。店舗数はこの間に2%ほど増えていることから、既存店ベースではいまだ二ケタ減にとどまっているものとみられる。
回復道半ばの業界に、コスト高騰の暗雲が垂れ込めてきている。
セブン-イレブンでは上期、水道光熱費の上昇による本部の負担が75億円増加。ファミリーマートも40億円増加した。「下期もほぼ同様の数値になるだろう。来年それが戻るかといえば、現段階では分からない。さらに上がっていくことを一番心配している」(セブン-イレブン・ジャパン永松文彦社長)。
さらに怒涛の食品値上げによる影響も、下期は本格化しそうだ。「お客様の心理状態がどう動くか、現段階では読めない。売場面積も他業態と比べて小さく、薄利多売の商売はしにくい。価値ある商品をきちっと作って、お客様の再来店につながる商売をしなければならない」(永松氏)。
SEJではイトーヨーカ堂の価格訴求PB「ザ・プライス」の導入を進める。セブン&アイHDの井阪隆一社長によれば、年収300万円以下の世帯が多くスーパーがないエリアのセブン-イレブン店舗で同PBの販売が好調であることが確認できたといい、こうした立地の店舗から導入を進める考えだ。
井阪氏は、IYのPBをSEJに導入する狙いについて「急激なインフレのなかで生活防衛意識が高まっている。いろんな選択肢でお客様に商品・サービスを提供できる態勢を築くことが、グループにとってのメリットになる」と説明する。
ファミリーマートでは「ファミチキ」などを値上げしたが、「今のところ目立った買い控えなどはなく、受け入れられているとの認識。ただ、単純値上げの商品は売上が落ちているものもあり、下期は価格以上の価値を提供することに努める」(経営企画部長竹下誠一郎氏)。
昨秋にPB「ファミマル」を投入した同社。上期はPB日販が継続して前年を上回り好調に推移した。下期はカップ麺・ワインなどのカテゴリーを拡充し、「価格以上の付加価値」をアピール。
ローソンの竹増貞信社長は「行動制限の解除による消費意欲増大と、値上げによる消費減退が、上期はうまく打ち消し合い影響はあまりみられなかった。ただ、下期も毎日のように値上げのニュースが報じられ、冬を迎えて暖房費もかかってくる。慎重に消費動向を見ていかねばならない」と語る。
同社では「ローソンベーシック」として指定する生活必需品70品の値上げを極力抑えながら、スイーツなど付加価値のある商品については消費動向を見極めながら価格を決定する方針。「安易な値上げは受け入れられなくなる。企業側の努力、付加価値がより求められることになる」(竹増氏)。
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