相模屋食料 鳥越淳司社長 技術あるメーカーを覚醒 新しい豆腐を創造して10年
食品新聞 / 2023年2月24日 10時44分
豆腐トップの相模屋食料が「新しい豆腐の世界の創造」に取り組み始めてから10年が経った。また、豆腐文化を守るための事業継続支援もスタートから10年が経過した。鳥越淳司社長に昨今の取り組みを聞いた。
◇ ◇
今2月期のグループ合計の着地見通しは366億円前後だ。昨春、グループ入りしたもぎ豆腐店の売上10億円が乗る。あと30億円伸長しているが、これは昨秋実施した価格改定の効果より販売増の方が大きい。
秋冬商戦は木綿と「ひとり鍋」の販売が好調だ。木綿は1ライン増やそうか迷っている。「ひとり鍋」は値上げ幅が大きかったので敬遠されると見ていたが、色々な仕掛けを行った結果、10月の売上は過去最高の4億1千万円となった。
「ひとり鍋」「とうふ麺」「BEYOND TOFU」などが当社売上の3分の1を占めるまで成長した。今は豆腐売場で新しい商品が出ると、立ち寄った消費者が「試してみようか」という雰囲気になっている。
もし10年前に「うにのようなビヨンドとうふ」を発売していたら、「面白そう」ではなく「まずそう」という反応で終わっている。この10年、「ザクとうふ」から始まり色々な形で取り組んできた結果、新しい物を試そうという消費者のハードルが下がった。しっかり作り込めばヒットする土壌ができた。
来期はベーシックな商品のおいしさを維持しながら供給キャパを上げていくことが一番のポイントになる。新しい商品の開発にも引き続き取り組んでいく。新商品の販売数は読めないが、ヒットの可能性は間違いなく上がっている。
新商品の「まかないめし」シリーズは豆腐や揚げを主役に据える狙いがある。ご飯と一緒にまかない飯のようにかき込める。小麦が暴騰する中、コメを見直す機運も出てきた。きつね丼は穴子丼をイメージしており、この揚げは京都タンパクでないと作れない。商談の反応は非常に良い。
日の出の豆腐製造事業を譲り受けた。同社では手作りの櫂寄せができた。これは量産メーカーではできない製法で、櫂寄せを知る日の出の職人が健在なので、匠屋の職人とともに櫂寄せの復活に取り組んでいる。この技術を生かした堅木綿を、3月か4月にはスーパーへ卸したい。
当社の企業再建活動も10年が経った。もともと高度な技術を持っていたメーカーを覚醒させることができるようになった。今後も豆腐文化の維持や継承に注力していく。
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