縮小一途の新茶市場に一矢 高級茶葉使用し魅力を訴求 伊藤園
食品新聞 / 2023年3月20日 11時7分
伊藤園は13日から、リーフ製品「生新茶」の予約販売をネットの特別サイトで開始した。茶の樹が冬の間に貯め込んだ栄養分により、旨み・甘みが強い新茶は新芽独特の爽やかな香りが特徴。以前は新茶が初夏の風物詩となっていたが、最近は茶離れもあって新茶セールも動きが鈍い。伊藤園の試みで、新茶に変化が表れる可能性がでてきた。
「生新茶」は80g入りで2千160円(税込み)というかなりの高級品。昨年までは、新茶に合わせてセールスがパンフレットを持って特定の得意先を回る細々とした営業スタイルだったが、今年から原料となる荒茶の手当にめどがつき、ネット限定ながら一般開放が可能になったという。同社の動きを歓迎する生産者、茶商は少なくない。
80g・2千160円は荒茶価格にして1kg4千円台の茶葉だと思われる。以前は7~8千円台から新茶取引が始まり、10日ほどかけて2千円台になるという相場の動きだったが、今は6千円台で始まり、次の日には3千円台、その次の日には2千円台という相場観になっている。新茶セールが鈍いからで、こうした茶価の低迷が農家が生産を止め放棄茶園が増え続ける原因となっている。「生新茶」がある程度の販売ボリュームになれば、他の茶商も同様の売り方を始めることが考えられ、茶価の下がり方が緩やかになることが期待できる。
伊藤園は、3月13日から4月3日までを予約受付期間とし、5月10日から順次届ける。ちょうど母の日のプレゼントに間に合うようなスケジュール感で、30~40代の生活者が母親に贈ることを想定している。「新茶期に芽吹く新芽のなかでも特に若く柔らかい『みる芽』を低温で『とろ火仕上げ』することで、みずみずしい『生』の旨味とおいしさを最大限に引き出した」とする「生新茶」。30~40代が贈るばかりでなく、自分でも飲むことで新茶のおいしさに感動し、新たなお茶ファンになることを期待するのは伊藤園ばかりではない。
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