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「2024年問題」解決の一助となるか 1日400台のトラック入出荷を可能とするコカ・コーラボトラーズジャパン巨大DC 全貌に迫る

食品新聞 / 2023年4月14日 21時15分

 コカ・コーラボトラーズジャパンは、埼玉県と兵庫県で「メガDC」と称する巨大在庫型物流センターを有し、この2つのメガDCを物流体制最適化の重要拠点と位置付けている。

 トラックドライバー時間外労働の上限規制が適用される「2024年問題」が取り沙汰される中、トラックドライバーの負担軽減や物流効率化は喫緊の課題になっている。

 メガDCでは、いかにして物流の最適化・効率化を図っているのか――。

 4月7日、その全貌に迫るべく、国内最大消費地である東京都と埼玉県全域の物流を担う「埼玉メガDC」(埼玉県比企郡吉見町)を取材した。


埼玉メガDCは2021年2月、埼玉工場隣接地にメガDC第1号として稼働した。

 工場倉庫とDC(在庫型物流センター)の機能を兼ね備え、新設倉庫と既存倉庫を合わせた在庫保管容量は6万パレット(288万ケース*1パレット=48ケース換算)。これにより年間で8500万ケースの製品出荷能力を備えている。

 1日400台のトラック入出荷を可能とし、埼玉工場で製造された製品ほか全国17工場から入荷される製品を保管し、保管製品を東京と埼玉のクロスドック導入拠点(TC=在庫機能を持たない通過型物流センター)などに出荷している。

 この出荷の際、「高性能ケース自動ピッキングシステムがルート別に複数の製品をまとめてピッキングしてくれるのが、これまでの工場倉庫ではなかった機能」と語るのは埼玉メガDCセンター長の城丸嘉央さん。

コカ・コーラボトラーズジャパンの城丸嘉央SCM本部ロジスティクス統括東日本物流グループ統括部埼玉メガDCセンター長

 一般的には1つのパレットに1種類の商品がケース積みされるが、埼玉メガDCでは「コーク・ワン」と呼ばれるコカ・コーラ独自のSAP(一元管理システム)を組み合わせて、カスタマーのオーダー別にケース単位で仕分けを行い、一つのパレットに複数種類のケースを積み重ねて出荷できるようになっている。

 仕分けは21台のアームロボットが行い、省人化が図られている。

 取材時は、自販機ルート向けのピッキングが行われていた。アームロボットが高速で稼働し、コンベヤで運ばれてくる「コカ・コーラ」「ジョージア」「綾鷹」の各種の段ボールを1ケースずつ掴み取り、縦・横と置き方を変えながらパレットに積み上げていた。

 「ピンキングは朝から日中にかけて自販機ルート向けに実施し、OTC(手売り)向けは夜間に行っている。メガDCの最大活用を考えると、時間帯別でもっとできることがあり、その点を現在メンバーと検討している」と語る。

アームロボット

 埼玉メガDCでは、入荷製品をパレットごと受け入れ、8台あるレイヤーデパレタイザーでパレットの上から1段ずつケースを自動的にバラし、バラされたケースを総延長約4キロのケースコンベヤで走らせてから42レーン(左右に21レーンずつ)の保管庫に格納していく。

 製品の受け入れから保管庫までの距離を長くとり、その間、調整を行うことで42レーンの中に均等に補充していく。
 「セールスセンターなど出荷先への到着時間から逆算して入荷から保管までの事前準備には時間をかけ、保管庫から出荷するときは迅速に行っている」という。

 メガDCでカスタマーのオーダー別にケース単位で仕分けを行うことで、中間拠点であるセールスセンター(TC)の作業負担を軽減。
 セールスセンターの入荷・保管・ピッキング・積み込み・出荷の5つの基本工程のうち保管とピッキングの2工程が省かれる。

ケースコンベヤ

 メガDC側も、自動格納ラックや自動ピッキングシステムなど設備の自動化を推進することで、従来の約半分のスペースでの製品の保管や出庫にかかる時間や人員による作業工程を短縮している。

 カップ自販機用の紙コップや砂糖などの原料、フード販売機能を持つ自販機向けのお菓子といった細かいピッキングもメガDCに集約することで各拠点での業務の効率化を実現している。
細かいピッキングはユニットピッキングエリアで人手によって行われている。

出荷エリアでは、パレットフローラック50車両分100レーンを完備し、複数のトラックへのスムーズな積み込みを可能にしている。

高さ30mの自動格納ラック

 出荷用バース(荷積みスペース)は、RORO(ロールオン・ロールオフ)ステーションを含めて計11台分を設備している。

 メガDCは、陸上物流では珍しいRORO方式も導入しているのも特徴となっている。

 海上輸送の場合、船と陸との間でのコンテナーの荷役方法には,クレーンでコンテナーを積み卸すリフトオン・リフトオフ方式と,岸壁から船内へトレーラーやフォークリフトを直接乗り入れて積み卸しするRORO方式がある。

 メガDCのROROステーションには、入荷・出荷の両方に対応した2つのバースがあり、30パレットを一気に自動でRORO専用トレーラー(現在5台稼働)に入出荷できる。
「出荷の場合、準備した30パレットを4本レールで持ち上げてトレーラーに積み込む。出荷・入荷能力は1時間あたり70パレットで、実際に入出荷に要する時間は5分もかからない」と語る。

RORO(ロールオン・ロールオフ)ステーションの内観(上)と外観(下)

 トラック・トレーラーの輸送車両には、予め入出荷の時間を告知。
 「どこ向けに何時に出発するとよいかということを知らせて、決められた時間の前後30分に到着していただくようにしている。輸送車両の受付から出発までに要する時間を45分以内にするように努めている」と述べる。

2024年問題への対応については、メガDCでさらなる自動化を推進していくとともに、迅速な意思決定をサポートする財務情報へのアクセス強化やコミュニケーション強化の取り組みであるS&OP(Sales and Operations Planning)プロセスの精度向上やローカルメーカーの活用など全社で取り組んでいく。

 なお、22年7月に稼働した明石メガDC(兵庫県明石市)は埼玉メガDCとほぼ同様の機能を有している。

出荷エリアにはパレットフローラック50車両分100レーンを完備

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