プラントベースフード 話題性の一方で課題も 「意識高い系」からの脱皮を
食品新聞 / 2023年4月21日 17時25分
健康志向を背景に、おそらくすべての日本の食品メーカーが大豆ミートに代表されるプラントベースフード(PBF)に興味を示し、商品開発も進んでいる。しかし市場拡大への歩みは遅い。将来的に一市場を構築することは間違いないが、商品認知や価格問題、味の問題などの課題も抱えており、各社の対応に関心が寄せられている。
欧米ではヴィーガンやベジタリアンが多く、PBFに対する歴史や文化、個々の生活者の思いは日本とは比較にならないほど大きい。アメリカの市場規模は70億ドルと言われており、日本とは大きな開きがある。日本でも、PBFへの取り組みは早く、インバウンドの高まりを背景に7、8年前から市場に出回った。しかし20年春から新型コロナが襲い、訪日外国人の来日がストップし、業界でも出はなを挫かれた。
拡大が遅い理由は何か。一つには流通の戸惑いもあるようだ。PBFは業務用と家庭用に分かれるが、ハンバーガーやレストランチェーンなど外食ではメーンメニューにPBFを採用し、店側もエシカル消費を看板に掲げ、PBFは格好な食材となっている。しかしスーパーで売られる市販品は、NB商品に埋もれてしまい目立たない。消費者を対象にしたアンケート調査でも「店頭のどこで売られているのか分からない」という回答が上位にきている。
しかも加工度が高いPBFは、NBに比べて価格も高い。特別コーナーを展開している店もあるが、展開例は少ない。昨年、新浦安に完成したイオンリテールの冷食売場の新業態「@FROZEN(アットフローズン)」や一部のナチュラルフーズ専門店では専用コーナーを開設しているが、店舗数は少ない。消費者の節約志向が高まっており、コスト高騰による厳しい状況の中でPBFの立ち位置は難しくなっている。
一部では、PBFの将来性に期待する理由として、食糧問題への危機意識やSDGs視点からみたエシカル消費の高まりを挙げている。だが、いつまでもZ世代を含めた「意識高い系」世代狙いでは普及の足取りは遅い。一般の加工食品と戦うには、まずはPBFの認知を広げ、価格を下げることも重要だろう。一部のメーカーは外食を通して認知を広げようとしており、ラーメンやスープなど他の食材との組み合わせで認知を上げる方法も考えられよう。
ただし、PBFの将来性は高いという点では各社の考えは一致している。日本でもコロナを契機に自身の健康管理を意識するようになり、PBFは今がチャンスとも言える。プラントベースドリンク市場では動物性から植物性由来商品へのシフトが進んでいる。この市場では、あえてプラントベースを意識せず、飲んでみたら植物性だったという訴求に変えようとしており、このあたりもヒントになりそうだ。
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