エバラ食品工業 森村剛士社長 モノづくりに積極投資 新制度でヒトづくりも
食品新聞 / 2023年8月3日 7時10分
エバラ食品工業は中期経営計画「Unique2023」(2020年3月期~2024年3月期)の最終フェーズを迎えている。特に力を注いでいるのがモノづくりとヒトづくりへの取り組みだ。森村剛士社長に話を聞いた。
モノづくりの姿勢について森村社長は「ニッチ&トップの独自性を持った商品でお客様の食生活に貢献していきたい。そこが根底にある」と語る。「調味料はあくまでも脇役。食材に合わせた使い方をご提案することでニッチ&トップをつくっていきたい」考えだ。
今年は焼肉のたれ「黄金の味」が発売45周年を迎えた。「原材料、容器・容量を含め、時代とともに絶え間ない改良が必要だ。常に手をかけていくという姿勢で取り組んでいる」。
2月に「濃熟」と「贅沢林檎」を新発売し、余ったたれを使い切る「黄金あまったれレシピ」も紹介する。ジャパンフリトレーから「マイクポップコーン エバラ黄金の味中辛あじ」を発売するなど他社とのコラボ企画にも取り組む。「調味料は買わないが菓子を買うという方もたくさんいる。未来のユーザーを広げられるのではないか」。
ポーション調味料も発売10周年を迎えた。売上は年間60億円を突破し、「プチッと鍋」が個食鍋ブランドで、「プチッとうどん」が個食うどんつゆブランドで、それぞれ売上ナンバーワンの地位を獲得することができた。「個食には可能性を感じる」。津山工場(岡山県津山市)にもポーション調味料の製造設備を導入することを決定し、24年10月に稼働を開始する計画だ。
タイに新工場を建設することも決定し、24年度に稼働を開始する予定だ。「海外はよりスピードを求められる。自社工場を建設することで、よりスピーディーに対応できるようにしていく」。海外事業については「シンガポールをヘッドクオーター、タイをシンガポールの子会社という体制が確立できたため、意思決定も海外でできるようにしていく」考えだ。
森村社長が20年の社長就任以来掲げているのが双方向コミュニケーションの重要性だ。「私たちが思っていることとお客様との間に『ずれ』がある」としたうえで、「『ずれ』を解消するために最も効果的なことはお客様と双方向のコミュニケーションを推進すること」とする。その一環として、SNSなどで自ら情報発信をしていただけるようなアンバサダー施策に今年から取り組み、熱烈なファンづくりに取り組む考えだ。
ヒトづくりについて同社長は「海外企業経営に機会を創出し、経営感覚を身に付けてもらっている。さらに、22年に社内提案制度(ACE)の運用を開始し、最終審査を通った人には事業化に取り組んでもらう。経営感覚を持った人材をたくさん育てていきたい」と語る。
今年から新人事制度も導入した。「エバラ流ジョブ型制度。中堅層以上は職務や役割に応じた報酬体系に変えた。意欲のある人が活躍できる制度に進化させていきたい」考えだ。
同社長はさらに「競争・共生・協業」の重要性も強調。「競争がなければ発展はない。地域との共生も大切だ。協業を推進し、ニッチ&トップ戦略の具現化、そして進化につなげていきたい」とする。
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