夏の風物詩「ラムネ」がピンチ! 猛暑でチャンス到来も…容器とビー玉が不足
食品新聞 / 2023年8月8日 12時2分
日本の夏の風物詩「ラムネ」は、コロナ明けによる祭り再開や猛暑到来により、今こそが稼ぎ時と思いきや、びん容器やビー玉など資材の需給ひっ迫に苦しんでいる。
ラムネガラスびんの生産量は2014年以降、拡大を続け、昨年度は前年比約3%増の1億1千362万本に達した。しかし生産量を支えたのは海外向けで、輸出量は過去5年で倍増を達成。各国で日本の伝統文化が認められ、輸出先は米国、中国をはじめアジア諸国、ヨーロッパなど多岐にわたっている。一方、国内需要は激減し、コロナ明けの需要回復や猛暑により好機到来ながら、千載一遇のチャンスを逃している。
海外需要が15年以降、大幅に増えている背景には、世界的な和食ブームの後押しがある。全国ラムネ協会の木村英文会長は、「ヨーロッパでは寿司売場の横に緑茶飲料とともにラムネが並び、台湾では日本食レストラン、フランスではラーメン店で売られている」と言う。また、味や容器の独自性やびんの場合は2年と保存期間が長く、店舗での扱いやすさ、保存しやすさなども一因している。
木村英文会長(全国ラムネ協会)農水省では食品輸出促進対策事業の重点品目に清涼飲料も挙げている。2025年までに全食品輸出目標を2兆円、2030年までに5兆円を設定しており、これにならい、ラムネ輸出も21年の輸出額77億円(2万2千㎘、1億1千万本)だったものを、26年で倍増の154億円を目標に置いている。
25年度は業界全体で2億本の生産量を目標にしているが、びん、玉付きキャップ、ビー玉、充填機、打栓機がネックとなり、今でも解決策は見つからない。さらに今年から一部のガラスびんメーカーが工場を閉鎖し、供給減は避けられない見通し。輸出ラムネでも、容器資材の供給が追いつかず、玉付きキャップ、ビー玉、充填キャッパー不足がネックとなり、輸出機会の損失が起こっている。
そこで木村会長は、「国内需要回復と輸出拡大の両輪で、日本の文化・伝統の炭酸飲料として、世界の標準語“ramune”を広め、ビー玉、資材などの問題ならびに製造・販売の問題を一つずつクリアしなければならない」と厳しい状況ながら前進していく方針を示している。
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