地産地消から都産都消も 原料・製法にこだわる佃煮 遠忠食品
食品新聞 / 2023年9月13日 11時43分
遠忠食品(東京都中央区日本橋)は、大正2年江東区住吉町で佃煮・惣菜製造販売会社として開業。今年で創業110周年を迎えた。
主力商品の海苔の佃煮は、大量生産に適している蒸気釜が主流となるなか、創業当初から継承している直火炊き製法にこだわっている。それは製法だけに留まらず、三代目の代表取締役宮島一晃氏は原料へのこだわりも強い。持続可能な食生活を目指し地産地消への取り組みを進め、漁師から直接生海苔を仕入れることでより風味の高い佃煮が製造できるという。さらには調味料も国産のこだわった醤油や砂糖、水飴、発酵調味料を使用している。
宮島社長は、水産だけでなく農産も仲卸を介さず直接仕入れをすることで、日本の一次産業の課題も目の当たりにし「自給率の低い日本は、このままでは食糧難に陥る」と警鐘を鳴らす。一次産業を少しでも活性化させるためには「買い支えることが必要」と語る。
また新たな取り組みとして「都産都消」を掲げる。自給率1%に満たない東京都を少しでも元気にしようと、都産の味噌やゆずこしょうなどを商品化している。
店内で販売されるNB商品(遠忠商店)2010年には、宮島社長の思いが詰まった直営店「遠忠商店」を本社1階にオープンさせた。店内には自然派の食品を中心に1千アイテムほどが並ぶ。店内商品は、化学調味料・保存料不使用や精製塩・上白糖が使用されていない商品、野菜も慣行栽培は不可などのルールを決めている。オープン当初は厳しかったというものの、認知も上がりコロナ禍では売上が1.5倍にもなったという。
店内には自社商品も多数並ぶ中、イチオシの新商品は「横須賀一番摘み生炊きのり佃煮」。三浦半島の観音崎灯台のふもとで採れた一番摘みの生のりを冷凍せずに同社工場に直送し、フレッシュなまま炊き上げることで海苔の風味がより楽しめる逸品。
今後の販路展開について宮島社長は「価値を認めていただけるところに拡売していきたい。消費者の方とも直接触れているが、価値のあるものを求めている人はたくさんいると感じている」と語った。
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