食料・農業・農村基本法改正へ意欲 適正な価格転嫁へ理解醸成も 宮下農水相が初会見
食品新聞 / 2023年9月15日 13時18分
13日に発足した第2次岸田再改造内閣で、農林水産大臣に宮下一郎衆議院議員が就任した。宮下大臣は14日に就任後初の記者会見に臨み、食料・農水産業に関する政府の方針を説明した。主な発言は次の通り。
〈就任にあたって〉
農林水産省の最も重要な使命は、国民に食料を安定供給すること。昨今の食品原材料、穀物、肥料、生産資材の高騰はいうまでもなく、食料や生産資材の多くを海外に依存するわが国は、世界的な人口増加、気候変動などによる食料安全保障上のリスクにさらされている。将来にわたる強力な生産基盤の構築が重要だ。
〈食料・農業・農村基本法の改正に向けて〉
農業や食品産業を取り巻く情勢が大きく変化するなか、基本法は改正されることなく二十数年が経過。国内市場縮小、生産者の減少・高齢化など、この間に産業構造が大きく変化した。また食料安全保障上のリスクの高まり、世界的な気候変動など、わが国の農業を取り巻く情勢は制定時に想定しなかったレベルで変化しており、危機感を持っている。来年度の通常国会への改正案提出に向け、年度内をめどに工程表をとりまとめるよう岸田総理から指示された。
〈適正な価格形成のための施策づくり〉
持続可能な食料供給実現へ、生産、加工、流通、小売といった各段階での適正な価格形成が不可欠。各段階の関係者が協議する場として、適正な価格形成に関する協議会を8月29日に設置した。適正取引推進への仕組み構築へ協議を行うとともに、適正な価格転嫁へ関係者の理解醸成を図る。
〈中国による日本産水産物禁輸への対応〉
東京電力による処理水放出開始を受け、中国が日本産海産物を全面輸入停止した。わが国の水産事業者を断固として守るため、風評被害への対策、輸出先転換、国内加工体制の強化などを柱とする政策パッケージを関係省庁と連携しながら速やかに実行する。科学的根拠に基づかない輸入規制に負けずに、わが国の水産業が安定して継続できるよう対策に全力を尽くす。
◇ ◇
宮下氏は名古屋市出身、65歳。東大経済学部卒、住友銀行を経て、父である宮下創平防衛庁長官(当時)の秘書官に就任。03年の衆院選で長野5区から自民党公認で出馬し初当選。第2次安倍内閣で財務副大臣、内閣府副大臣を歴任した。
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