ローソン 3店舗に紙パック回収箱設置 リサイクル×販促を検証
食品新聞 / 2023年12月13日 15時51分
ローソンは、都内3店舗で牛乳など使用済み紙パックを回収し、特典としてクーポン配信を行う実証実験を開始した。11月30日から2か月間、店舗に回収ボックスを設置し、立地や客層による回収量やクーポン使用率など検証する。
電通と電通プロモーションプラスが開始したリサイクルプロジェクト「で、おわらせないPLATFORM」に参画するローソン、明治、ナカダイHDの5社が協同で行う。
投函までの流れはこうだ。
①紙パックを開いて洗って乾かす
②設置店舗のQRコードから専用サイトにアクセスし紙パックのJANコードを読み取る
③投函後に完了ボタンを押して「明治おいしい牛乳」の割引クーポン受け取る
最大のポイントは、販促とリサイクルを組み合わせた点にある。電通サステナビリティコンサルティング室の堀田峰布子氏は「様々な回収ボックスの設置は増えている一方、コスト面や回収網の構築、次の購買につながらず収益化できないなど課題がある。企業と消費者の双方が参加しやすい循環プラットフォームにした点がポイント。普段は回収に参加しない人が参加した行動変容率やクーポン使用率などを検証し、販促スキームに貢献していく」と狙いを語る。
明治グローバルデイリー事業本部牛乳・飲料マーケティング部の井上健吾氏は「ペットボトルなどリサイクル意識は高まっている一方、牛乳をはじめとした飲料紙パックの回収率はここ10年改善されていない」と課題点を明らかにする。
投函に応じてクーポン(見本)が受け取れるなかでも家庭の使用済み紙パック回収量は、21年度に前年比で約2千t減少、回収率は全体の3割弱まで落ち込んだ。回収ルートの半分以上を占めるコンビニやスーパーの店頭回収減少が背景にあるとし、「消費者への明確なメリットや販促につながる仕組み作りが重要」との認識を示す。
年末に向けた牛乳の消費拡大にも期待がかかる。「クーポンの販促で一定の効果が得られれば、酪農業界にとって大きな課題である牛乳消費拡大にもつなげることができる」(同)。
ローソンデジタルマーケティング部アシスタントマネージャーの滝澤修氏は、「消費者にとって身近なローソンが拠点となってリサイクルを促進することで、環境の取り組みにつなげたい」と展望する。
紙パックの回収は北大塚一丁目店、ゲートシティ大崎アトリウム店、四谷左門町店で実施。結果をもとに今後の方向性を検討していく。
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