飲酒ガイドライン策定へ 純アル量「男性40g 女性20g」 数値独り歩きに懸念も
食品新聞 / 2023年12月25日 11時20分
前向きな活用に関係者ら期待
不適切な飲酒によるアルコール健康障害の防止に向け、厚生労働省は「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」の策定を進めている。このほど専門家による議論を経てまとめた案を公表し、12月29日までパブリックコメントを募集中だ。施行は24年3月下旬予定。ただ適切な飲酒量に関する具体的な数値が示されることで、ネガティブに偏った情報の独り歩きにもなりかねない。酒類業界からは懸念の声が上がっている。
ガイドライン案では、過度な飲酒によって疾病発症や行動面のリスクが高まることを指摘。年齢や性別、体質の違いによって異なるアルコールの影響の受けやすさを踏まえたうえで「自分に合った飲酒量を決めることが大切」と説明する。
その際の基準として着目するのが「純アルコール量」。たとえば度数5%のビール500㎖缶1本であれば、500×0.05=25㎖のアルコールが含まれる。これに比重0.8をかけた値の20gが純アルコール量だ。
そして生活習慣病のリスクを高める飲酒量として示されるのが「1日当たりの純アルコール摂取量が男性40g以上、女性20g以上」との数値だ。「飲酒量が少ないほどリスクは少なくなるという報告もあり、飲酒量をできる限り少なくすることが重要」とも指摘する。
添付された参考資料では飲酒量と疾病別のリスクが示され、たとえば高血圧は「0g<大」。少しでも飲酒すれば発症リスクが高まることを意味する。
ひと頃に比べて需要が縮小したストロング系チューハイだが、度数9%の500㎖缶も一部ヘビーユーザーから根強く愛好されている。純アルコール量は36g。女性なら1本で1日当たり基準値を軽くオーバーし、男性の基準値にも迫る。ビールなら500㎖缶2本、ウイスキーはダブル2杯、日本酒は2合でほぼこの量に達する。
もとより適正飲酒推進には力を入れてきた酒類業界でも、こうした数値が独り歩きすることを不安視する声が出ている。
「WHOの動きやアルコール規制の流れのなかで、酒類業界にとってもっと厳しい内容になるリスクがあると懸念していた。できる限り客観的なデータに基づいた形での発表になったことについては、一定の評価をしている」と語るのはアサヒビールの松山一雄社長(12月15日の会見で)。
そのうえで「ただ男性40g、女性20gということが数字として出た。また純アルコール摂取量とがんの発生リスクとの関係についての報告が添付されている。全部しっかり読めば、そういう報告もあるというレベル感のものではあるのだが、あたかもそれを超えるとすぐリスクが高まるように一般消費者に誤解されてしまうと危険だ」と懸念を示す。
大手卸幹部からは「この内容のままガイドラインが出てしまうと、酒類業界にとって大きな需要減少につながるのではと危惧している。一番影響が出ると思うのは日本酒。割っておいしく飲めるようなものではなく、小さい酒蔵が淘汰されるきっかけになりかねない。各地の文化や伝統も一緒に失われる懸念がある」とする声も上がっている。
一方で「必ずしもネガティブなものとして捉えるのではなく、むしろうまくお酒をたしなむことで、より豊かな人生につなげられるというメッセージも発信したい。酒類メーカーとしてスマートドリンキングを推進してポジティブなアクションにつなげたほうが、より多くの賛同を得られるだろう。ライフスタイルのなかに定着できれば、社会全体にとってプラスになる」(アサヒ松山氏)との見方も。
今回の動きを前向きに活用することで、業界にとってのメリットを生み出す発想が必要になりそうだ。
この記事に関連するニュース
-
【レポート】世界の低/ノンアルコール飲料の新潮流を徹底調査! “続く熱帯夜” 睡眠不足改善の一助となるL-テアニンドリンク
PR TIMES / 2024年7月24日 12時15分
-
なぜ、ビール会社が「飲みづらいグラス」を開発したのか あえて“逆行”には意味がある
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月21日 8時5分
-
【飲み過ぎの原因は飲むペース】適正飲酒を実現する“飲みづらい”グラス「ゆっくりビアグラス」開発
PR TIMES / 2024年7月16日 13時45分
-
「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を受けて窮地のストロング系チューハイ! ユーザーの飲用は変化したのか?!
PR TIMES / 2024年7月9日 8時40分
-
海水浴にバーベキュー! 夏は「酒気残り運転」に要注意
バイクのニュース / 2024年7月4日 13時10分
ランキング
-
1「子どもが野菜を食べてくれない」悩みへの回答 科学的に正しい「野菜嫌いをなくす5つの方法」
東洋経済オンライン / 2024年7月27日 15時0分
-
2スズキ、コンパクトSUV「フロンクス」の最新情報を公開
財経新聞 / 2024年7月27日 16時36分
-
3G20、「デジタル課税」早期実現への決意示す…3会合ぶりに共同声明採択し閉幕
読売新聞 / 2024年7月27日 15時0分
-
4ホンダの「自動運転タクシーサービス」に衝撃! GMが自動運転専用車の開発凍結を発表!? 26年開始はどうなる?
くるまのニュース / 2024年7月27日 22時10分
-
5もはや「コカ・コーラ」は敵ではない…「シェア2位に急浮上」ドクターペッパーがアメリカで大ヒットしている理由
プレジデントオンライン / 2024年7月27日 16時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)