環境激変の酒類 「黄金の2年間」生かせるか ビールに投資集中強まる 新ブランド多士済々
食品新聞 / 2024年1月15日 9時48分
ビール業界の新年度が始まった。26年にかけてビール類の酒税改正が段階的に進むなかでも、今年と来年は酒税率の変更がない。じっくりと腰を据えて各社各様の戦略に取り組むことができる、最後の貴重な2年間。酒類を取り巻く環境激変に、どう立ち向かうのか。大手4社が事業方針を明らかにした。
「不確実、多様性の時代、いろいろなことが変わる。ボリューム最大化を追うのではなく、お客様に価値を認められる商品、サービスを展開したい」(アサヒビール・松山一雄社長=写真右上)。
「ときに上質なものを、あるいはときにコスパのよいものを。その時々の心理状況にフィットした賢い消費が、昨年は顕在化した。新しいものへのチャレンジ、画一的でない多様性を認め合う風潮も加速した」(キリンビール・堀口英樹社長=同左上)。
「市場変化のスピードは加速。30年前はビール類が大半を占めたが、現在は他の構成比が半分くらいに迫る。お客様の価値観が多様化し、幅広いカテゴリーが楽しまれるようになった」(サントリー・鳥井信宏社長=同右下)。
「酒税改正で家庭用ではビールとRTDのウエートが増している。物価上昇もあり、お客様の消費行動が少しずつ変化しているのを肌で感じている」(サッポロビール・野瀬裕之社長=同左下)。
1月11日にかけて行われた事業方針発表会で、各社のトップは昨今の消費変化を口々に語った。
昨年10月に実施された2回目の酒税改正では、増税となった新ジャンルに逆風が強まる一方、減税のビールには追い風。26年まで税率据え置きとなるRTDも、新ジャンルからの需要流入で一層の成長が期待される。
今年も激戦が見込まれるのが、主戦場のビール。各社とも投資を一層集中させる。
注目されるのが、このほどキリンビールが発売予定を明らかにしたスタンダードビールの新ブランドだ。商品の詳細や発売時期などは未公表だが、会見では質問が集中。「酒税率が変わるなかで狭義ビールの成長が見込まれる。新商品はある種の『攻め』。このタイミングがいいと考えた」(キリン堀口氏)。
スタンダードビールは「一番搾り」一本槍で攻めてきた同社。昨今のニーズ多様化を背景に、ここにもう一つの柱が加わる。アサヒビールが「スーパードライ」に次ぐ柱として21年に発売し育成中の「アサヒ生ビール」(通称マルエフ)、スタンダード帯が手薄になっていたサントリーが昨年に投入した「サントリー生ビール」は今春にリニューアルを行うとともに業務用の瓶・樽を全国発売するなど、市場のど真ん中を狙うブランドの活発な動きが続く。26年にかけて、売場の風景は一変する気配をみせる。
プレミアム帯のビールでも、攻めの姿勢が鮮明だ。
サントリー「ザ・プレミアム・モルツ」は“ごほうびビール”としてのアピールを強めるとともに、飲用時品質のさらなる追求でおいしいプレモル体験を拡大。東京・恵比寿に4月オープンする新ブルワリーで顧客接点強化を図るサッポロビール「ヱビス」は、同月に8年ぶりのリニューアルを予定。山田裕貴さん起用の新コミュニケーションも展開する。キリンビールのクラフトビールブランド「スプリングバレー」もリニューアルを計画。
同様に成長市場とみられるRTDでも、新チャレンジが続々。この分野で出遅れていたアサヒが本気を出した。レモンスライスを丸ごと入れた「未来のレモンサワー」のほか、昨年にエリア限定でテスト展開して手ごたえを得たジンベースの無糖柑橘サワー「アサヒGINON(ジノン)」も全国発売を計画。巻き返しに挑む。
40億円を投じて仙台工場に新導入したRTDラインが昨秋稼働したサッポロ、「氷結無糖」で無糖チューハイのトレンドを牽引するキリン、ハイボールやジンなどチューハイ以外でも幅広い選択肢を展開するサントリー。カテゴリーの可能性はますます広がりそうだ。
この記事に関連するニュース
-
『アサヒGINON』年間販売目標の6割超となる200万箱突破
PR TIMES / 2024年7月26日 15時15分
-
ビール4社、上半期販売7%増 構成比、16年ぶりに5割超
共同通信 / 2024年7月10日 15時14分
-
「金麦」なのにサワー!? 増税で市場低迷の新ジャンル ブランド生き残りへ次の一手 サントリー
食品新聞 / 2024年7月10日 11時5分
-
サントリー、ビール事業で「金麦ブランド」を強化 “サワー”の味わい持った発泡酒を新投入
OVO [オーヴォ] / 2024年7月9日 16時27分
-
『プレモル』から限定"ハート缶"登場、『サン生』CMのジョッキがもらえるキャンペーンも開催 - サントリーの夏戦略を取材
マイナビニュース / 2024年7月9日 9時17分
ランキング
-
1〈最低賃金1054円に〉過去最大増なのにパート、アルバイトから大ブーイングのワケ「扶養控除ライン据え置きはオフサイドトラップ」「政治家の報酬だけは世界トップクラスだけど、賃金はオーストラリアの半分」
集英社オンライン / 2024年7月26日 18時56分
-
2G20、「デジタル課税」早期実現への決意示す…3会合ぶりに共同声明採択し閉幕
読売新聞 / 2024年7月27日 15時0分
-
3「子どもが野菜を食べてくれない」悩みへの回答 科学的に正しい「野菜嫌いをなくす5つの方法」
東洋経済オンライン / 2024年7月27日 15時0分
-
4「半端な対策では命にかかわる」 山善の”プレミアム水冷服”がたちまち完売、現場のニーズとどう合致した?
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月27日 6時20分
-
5NY市場サマリー(26日)円急上昇一服、株価上昇 利回り低下
ロイター / 2024年7月27日 6時48分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)