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作り手の尊厳

食品新聞 / 2024年2月2日 11時10分

漫画のドラマ化をめぐる事件が話題になっている。原作者の意向に反し、忠実に再現することを前提にした契約は不履行され、脚本家とテレビ局側が改変。終盤の脚本を漫画家自らが書いたことを、脚本家がSNSを通じて暴露・非難したことが発端となった。

▼筆者もこの漫画の一ファンだった。コメディタッチのヒューマンドラマだが、登場人物の光と影の部分を繊細に表現していて実はとても深い。それぞれが壁を乗り越えていく姿勢は、笑いあり涙あり、時に心に刺さる。新刊を心待ちにしていただけに、先が読めないのは残念至極だ。

▼この件をきっかけに、漫画家をはじめ原作者の立場の弱さが明るみに出た。ゼロから形にする原作者、骨組みを作る脚本家、映像化するテレビ局。本来は「三方よし」でなければいけないが、視聴率を重視するあまり、パワーバランスが崩れている。

▼製配販三層からなる食品業界においても同じことが言える。大手小売の業績好調が続くが、中小メーカーでは利益改善に苦心する。そこに作り手の尊厳は守られているのだろうか。

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