ごみから作った楽器で地域環境PR 児童ら発信「大浦未来学」地域に浸透
食品新聞 / 2024年2月2日 12時44分
地域の環境美化に取り組む小・中学校を表彰する「環境美化教育優良校等表彰事業」(主催:公益社団法人食品容器環境美化協会、略称・食環協)。24回を数える今年度、最優秀校に選出された学校紹介特集の3回目は、環境大臣賞を受賞した京都府舞鶴市立大浦小学校だ。表彰式は1月26日、浅草ビューホテル(東京都台東区)で開催された。
〈環境大臣賞〉京都府舞鶴市立大浦小学校
若狭湾国定公園に指定された大浦半島一帯を校区に持つ同校では、恵まれた環境を生かした活動を行っている。長年にわたり取り組むのが、住民とともに漂着したペットボトルなどを回収する「クリーン作戦」。近年は、大量の漂着ごみに加え、マイクロプラスチックも目立ち、地場産業の漁業に悪影響を及ぼしている。それがきっかけの一つとなり、同校では「大浦未来学」と名付けて、持続可能な社会づくりを目指す体験学習を取り入れている。
マイクロプラスチック回収では、大学や観光協会の指導を得ながら実施。その後、カラフルな回収マイクロプラスチックの特色を生かして、児童はピンバッジなどを作成し、イベント時に身に着けて啓発活動を行っている。
漂着ごみから作った楽器で演奏会さらに、学校近くの海岸周辺では、ポイ捨てなどのペットボトルの散乱が問題になっていた。漁師が苦慮しているのを知った児童は、回収に励む傍ら、多くの人に現状を知ってもらうために、ペットボトルなどで楽器を作りアピールする取り組みにも挑戦。完成した楽器は住民の前で披露し、作るときの工夫や苦労を語り、実際に演奏会を行った。児童の積極的な発信はごみへの意識改革に直結。
野原観光協会の環境部会長川渕清一さんは、「マイクロプラスチックになる前の、形がある段階でごみ回収することが大切です。こうした活動が全国に広がればいいなと思います」と願いを込める。
これらの取り組みを経て、プラスチックのことを詳しく学んだ児童は、酢と牛乳で生分解性プラスチックを作り、いろんな実証実験を行っている。そのために必要な資金は、アルミ缶回収の収益金でまかなった。自分たちでチラシや動画を作成し、地域に広く呼びかけて、多くの住民の協力が得られた結果だ。
井野遥斗(はると)さん(小6)は、「アルミ缶回収で得た資金は今後も、大浦地域をよりよくするために使っていきたいです」と微笑む。3年前にスタートした大浦未来学を通した児童の発信や行動は住民の心を動かし、協力の輪が広がっている。
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