手延そうめん界の重鎮が一堂に 業界活性化へ協力訴え
食品新聞 / 2024年2月16日 9時46分
そうめん商戦の本格化を前に恒例の「ト定祭」が5日、三輪で催され、主催者の奈良県三輪素麺工業協同組合と奈良県三輪素麺販売協議会のほか、兵庫県や小豆島、淡路島など各手延べそうめん産地の代表者が参集して、商戦の盛況を祈願した。直会では、主催者や来賓が、大要次の通り話した。
奈良県三輪素麺工業協同組合 小西幸夫理事長
手延そうめん業界を取り巻く環境は、生産者廃業の増加や売上減少に伴い、行き先が不透明な状態が続く。
様々な課題が山積して非常に厳しいが、安全安心なそうめんを提供し、商品や価格を高める。昨年6月に、業界の将来を考える場として「第3回そうめんサミット」が小豆島で開催され、市場活性化、情報発信、麺のPR、消費拡大のための取り組みが行われた。
われわれも奈良県や桜井市、商工会、銀行の協力のもと、組合と販売協議会が一体となって、将来のあるべき姿、方向性を考え、市場の拡大に取り組む。
井上猛氏(日本手延素麺協同組合連合会)日本手延素麺協同組合連合会 井上猛会長(兵庫県手延素麺協同組合理事長)
各産地が、地域の地形や環境を有効に生かした麺づくりに励まれている。われわれ播州は食べて美味しいものを求めて、さらに磨き上げようとしている。
原料小麦粉は手延べの価値を生かしてくれる重要な要素であり、製粉会社には引き続き良い品質のものの提供をお願いしたい。また将来的な人材不足を予想して、長年地元麺機業者と協力しながら、人の手で作ることを大事にしつつ、機械を上手く採り入れることも試みてきた。
販社とは一体となって手延そうめんという多様性の難しいものを売るために努力を続けたい。
池田利一氏(奈良県三輪素麺販売協議会)奈良県三輪素麺販売協議会 池田利一会長
三輪そうめんは2016年に「地理的表示(GI)保護制度」を取得したが、GIの認知度はまだ7%しかなく、消費者に伝わらないのが現状。「揖保乃糸」でも認証取得に取り組まれているが、他の産地もチャンスがあれば登録してもらい、力を合わせて付加価値の訴求につなげたい。
三輪そうめんは5年後、10年後の産地振興を目指して取り組むが、減産に歯止めがかからない。生産者には作れば儲かるという夢を持ってもらえるように盛り上げる。「変わらないものを守るがために変えていく」。手延べ生産は伝統と技術に培われているが、変革が大事。自治体や高レベルの機械など技術のバックアップを受けながら、業界の活性化に努める。
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