小川珈琲、紙容器アイスコーヒーに勢い 「炭焼珈琲」好調 有機珈琲豆の新商品投入
食品新聞 / 2024年4月11日 8時29分
小川珈琲は3月、1L紙容器アイスコーヒー市場に向けてリキッドコーヒー「京都 小川珈琲 有機珈琲 無糖」(有機珈琲 無糖)を新発売する。
同商品で使用しているコーヒー豆は、有機JAS認証を取得しているエチオピアのコーヒーをメインにインドネシアやグアテマラをブレンドしたもの。
飲料化にあたり、長時間の熱処理殺菌でコーヒーの品質を損なわないように短時間で処理を行う無菌充填を採用。エチオピアのフルーティーな甘い香りとクリアな後味が特徴で、複雑さと厚みのある味わいに仕立てられている。
1L紙容器アイスコーヒーが、ボトルコーヒーなどと比べて高単価な価格帯も拡大していることと、有機珈琲への支持が広がっていることが投入の背景。
取材に応じた増田隆教総合開発部部長代理は「レギュラーコーヒーの『小川珈琲店シリーズ』が発売開始から20年過ぎて認知いただき全国に広がる中、アイスコーヒーもおいしいものを求められるお客様が増えてきており、『有機珈琲 無糖』も少しずつご支持をいただけるものと考えている」と期待を寄せる。
参考小売価格は700円。高単価の中でも上層の価格帯となる。チャレンジ領域ではあるものの、拡大傾向にあることから勝算を見込む。
増田隆教総合開発部部長代理「1Lのリキッドコーヒー市場を価格帯でみると150円以上300円未満がボリュームゾーンで全体の6割強を占め拡大傾向にある中、2割強を占める150円未満が前年を割っている一方、1割強を占める300円以上が伸長している」とみている。
同社では、有機珈琲の1L紙容器アイスコーヒーは、規模は小さいものの市場が既に形成され、20%程度の伸び率で拡大傾向にあると捉えている。
「有機珈琲 無糖」を、“質販店”と呼ばれる高品質商品の品揃えに重きを置いているスーパーに向けて提案していく。
有機珈琲のアプローチでも商機を見出す。家庭用コーヒーの前期(8月期)売上高は、有機JAS認証や国際フェアトレード認証をはじめとするエシカルコーヒーや豆商品が牽引して前年比より増加し、予算通りに着地した。
有機レギュラーコーヒーシェア率は8割強を維持。
「有機珈琲は健康志向や安心感から支持されていると考えている。レギュラーコーヒー全体に占める有機の構成比は3%台だが、毎年0.2ポイント程度の割合で伸び続けている」との見方を示す。
好調に推移しているリキッドコーヒー既存品の「京都 小川珈琲 炭焼珈琲」(炭焼珈琲)シリーズも提案強化していく。
同シリーズは「無糖」「微糖」「加糖」の3品をラインアップ。23年3-8月の販売金額は、ボリュームゾーン「無糖」が前年同期比2桁増を記録して同シリーズを牽引した。
「『炭焼珈琲』も300円台を超える高単価な商品だが、それでも選んでいただけるというのは、味わいと『小川珈琲』ブランドを信頼していただけている可能性がある」とみている。
市場動向を受けて希釈コーヒーにも再チャレンジする。
「希釈コーヒーはこれまでに何度もチャレンジしてきたが、回転(一店舗あたりの売上)が鈍く攻めあぐねていた。ただし最近では各社の動向から市場活性化の兆しがあり『炭焼珈琲』シリーズから再投入する」。
商品名は「京都 小川珈琲 炭焼珈琲 カフェオレベース 無糖」。他の「炭焼珈琲」シリーズ同様に、遠赤外線効果を持つ炭焼焙煎で焼き上げたコーヒー豆を使用し、手軽に牛乳と混ぜるだけで好みに合わせて調整できる無糖のカフェオレベースに仕立てられている。
「過去、加糖と無糖も展開したことがあったが、昨今、ペットボトルやボトル缶で無糖ラテが浸透していることを受けて、無糖でチャレンジする」と語る。
レギュラーコーヒーでは、昨秋リニューアルした「小川珈琲 スペシャルティコーヒーブレンド シリーズ」を引き続き育成する。
昨秋、既存の粉商品に加えて、豆商品とドリップコーヒーの2形態を新たに取り揃えて拡充を図った。
ラインアップは「スペシャルティコーヒーブレンド002」と「同009」に大別され、それぞれで粉(150g)・豆(150g)・ドリップコーヒー(5杯分)をラインアップしている。
「002」と「009」はICO(国際コーヒー機関)の生産国番号で「002」はブラジル、「009」はエルサルバドルを表す。
「002」「009」ともにドリップコーヒーは1袋15g入り。一般的なドリップコーヒーよりも多い1袋15gをフックに新たな飲み方を提案している。
今後は「店頭に小型のデジタルサイネージを設置し、商品のPRを行う店舗も増えている。そこで展開できるようなPR動画も制作していく予定」。
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