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無味のミネラルウォーターが若年層に好まれる理由 23年過去最高の販売実績を記録した「サントリー天然水」 ブランドの牽引役は天然水本体

食品新聞 / 2024年5月12日 17時1分

2023年の「サントリー天然水」ブランドの販売数量は、前年比7%増の1億3830万ケースとなり過去最高を記録した。

土台となるナチュラルミネラルウォーター(天然水)の「サントリー天然水」本体が成長したことに加えて、「きりっと果実」シリーズと「特製レモンスカッシュ」の展開品の好調が拡大を後押した。

天然水が伸びている背景について、4月10日取材に応じた佐藤匡ブランドマーケティング本部課長は「亜熱帯化による気温上昇に加えて、あくまでも我々の仮説ではあるが、洋食化もあると考えている。お米を中心とした和食には水分が多く含まれているが、洋食は和食ほど水分を含まず味つけも濃いものが増えている」との見方を示す。

佐藤匡ブランドマーケティング本部課長

購買層については「あらゆる層が満遍なく伸びているが、その中で10代・20代の若年層の伸びがコロナ禍以降、他の世代と比べて少し高くなっている」という。

若年層に好まれる理由としては、健康や美容意識の高まりに加えて無味を挙げる。

「私も現職に就き天然水の飲用機会が増える中で“味がないほうが楽”という若年層の気持ちが理解できるようになった。今の若年層は、家庭内に2LPETの水の常備が当たり前の世代であるため、“無味の水に抵抗がない”というのがベースに、健康意識や美意識の高まりによって飲用量と飲用頻度が拡大している」とみている。

また、パーソナルユースとして1Lサイズにも着目する。

「そもそも『サントリー天然水』の飲用量が少しずつ増えているが、特に1Lの調子がいい。500mlや2Lとカニバリを起こすことなく、1Lのお茶などからの流入の動きもみられることからNBとしてコスパがよいものに受け止められている可能性がある。朝に多く買われる傾向も見られ、オフィスなどに置かれ1日かけて飲まれていることが推察される」と語る。

「ウォーター・ポジティブ」という概念を前面に押し出したコミュニケーションでも若年層支持拡大の手応えを得る。

「ウォーター・ポジティブ」は、水の使用量を減らすだけではなく、取水量以上の水を水系に積極的に育んでいく考え方で、海外では注目されつつある。

「ウォーター・ポジティブ」のコミュニケーションは、23年6月から「新しい地図」を起用したCMを放映。同12月から芦田愛菜さんを起用したCMを放映している。

「『ウォーター・ポジティブ』の好意度は全体的に高いが、中でも若年層の好意度が高い。学校教育でSDGsが染み付いている世代なので受入れやすいのかもしれない」と述べる。

各世代へのコミュニケーション全般の手応えについては「『サントリー天然水』が水資源に対してよいことをしていることは以前に増して理解されるようになったが、森を育むことで天然水が生まれることは伝わりきっておらず、TVCMだけに頼らず伝えていく必要がある」と説明する。

商品を通じた啓発も強化の構え。「サントリー天然水」のラベルデザインを変更して6月以降順次発売していく。

新デザインは「ウォーター・ポジティブ」に込めた想いをより分かりやすく伝えることを意図している。

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