味の素 藤江社長 新製品創出へ「バットを振る」 品質保証は「守りと攻め」姿勢
食品新聞 / 2024年5月17日 9時52分
味の素の藤江太郎社長は9日の会見で、2024年3月期の決算概況と企業価値向上に向けた取り組みを説明。前年度は売上高・事業利益が新記録を更新し、中でもForge社買収の影響を除いても事業利益は前期比12.7%増を実現したことを報告した。
「前年度は中期ASV経営2030ロードマップに向けた初年度だったが、まずまずのスタートが切れた」とし、その背景として調味料・食品、冷凍食品の増益によりヘルスケアの減益をオフセットしたことなどを挙げた。
1年前に設立したマーケティングデザインセンターでは生活者やインフルエンサーと新たなコミュニケーションに挑戦。「国内で過去7~8年間は元気な新製品が出なかったが、Swing The Bat(バットを振る)により二ケタ億円を狙える新製品を創出」。
具体的には「Cook Do極(プレミアム)麻辣」「パスタキューブ」「白米どうぞ」などの新製品を挙げ、「近い将来、二ケタ億円が狙える出だしになった」。
今年度も増収・増益を見込んでおり、前年度の業績を牽引した食品事業の着実な成長と、ヘルスケアなどを成長軌道に回帰させる方針。中期ASV経営2030ロードマップを進化させるため、さらなる高みを目指すが、「全体の実力は向上しているが、2030にありたい姿がエベレストになっていない部門や法人が一部ある」とし、次のドライバー育成と、その次のドライバーの種まきに向けた「スピードUp×スケールUp」方針を掲げた。
スピードアップでは「北米冷食のトータルデリバリーコストマージンやグローバルの原材料市況と値上げなど徹底した『見える化』の推進と進捗の確認。Bad news firstによる初期動作の迅速化」などを指摘。
スケールアップでは「高速開発システムによるブラジルの餃子の立ち上げ、各国の事業再生の型作り、国内ではSwing The Batによる二ケタ億円を狙える新製品創出」を挙げた。
なお紅麹問題が発生している中で、「対岸の火事ではなく他山の石として捉え、品質問題にはネバーエンディングで力を入れ続ける」と語った。品質保証体制について執行役品質保証担当のスムリガ ミロスラブ氏は顧客ニーズや声に対応した取り組み、独自の品質保証システム(ASQUA)、経営のリーダーシップと社員の業務品質改善、品質アセスメントの4本柱で対応し、これらの仕組みには「守りと攻め」の姿勢で挑む方針を示した。
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