ヤオコー新中計 価値創出に集中 デジタル活用で作業負荷軽減
食品新聞 / 2024年5月24日 11時15分
ヤオコーは27年3月期を最終年度とするグループ中期経営計画に「シン・ヤオコー(昭和モデルから令和モデルへの構造転換)」を掲げる。
5月13日決算説明会に臨んだ川野澄人社長は「これからはいよいよ強い者同士の戦いになってくる。非常に尖った強みを持つ競合に対して、いかにお客様の支持を高められるかが大事。DgSやECなど他業種も着実に伸びているなか、同業以外との競争も意識していく」と語る。
強みである自社物流網やデリカ生鮮センターの活用とともに、フルセルフレジやAI自動発注などデジタル技術を強化し、価値を生み出す人材がより成果を発揮できる環境づくりにも注力する。
27年3月期を最終年度とするグループ新中計では、こうした取り組みのもと、1店舗当たり平均売上高30億円を目指す。
前中計については「この3か年は売上高、経常利益とも計画を大きく上回る実績を作ることができた。一方で、作業軽減が十分に進まず一人一人の負荷が増してしまい、働きやすさの面で課題が残った」と振り返る。
足もとの市場環境は「23年度既存店売上高の月別推移では、日本スーパーマーケット協会の平均値に対してヤオコーが毎月3~4ポイント上回っている。1店舗当たりの平均売上高は28億円を超えている。エイヴイやディスカウントストアの競合店に比べればまだまだ低いが、同じ業態の中では伸びてきている」との見方を示す。
ヤオコーの強みについては、「なんといっても人にある。やる気に溢れ技術を持ったメンバーがヤオコーの力のもとになり、販売、開発、デリカ生鮮センターでの製造ノウハウなどが価値を生み出す資源になっている」と述べる。
今後は価値を生み出すことに人手を集中させるべく、デジタル技術の活用を加速する。
24年3月末時点で24店舗に導入したフルセルフレジの導入をさらに拡大し待ち時間短縮につなげる。自社決済アプリ「ヤオコーPay」は、6月頃からアプリだけでなく物理カードでも順次支払いできるようにすることでスマートフォン操作が苦手なシニア層にも働きかける。
昨年2月に新設した草加物流センターでは、初の自社WMS(倉庫管理システム)や店舗および構内作業軽減のための順立てシャトル、GTPシャトルを導入。順次管轄店舗を拡大し安定稼働を図る。
店舗を超えた商品・サービス提供も力を入れる。
「DgSや大手ECサイトも伸びているなか、お店だけで価値を提供するモデルから『サプライチェーン全体で価値を生み出すモデル』に変えていく。ECなど店の外でも商品やサービスを提供していく」と方針を述べる。
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