無糖茶飲料に新風 「北海道コーン茶」じわり拡大 “甘香ばしい”味わいと無糖・カフェインゼロで若年層を獲得 韓流ブームも後押し ポッカサッポロ
食品新聞 / 2024年5月26日 21時26分
ポッカサッポロフード&ビバレッジの「北海道コーン茶」が緑茶飲料をはじめとする無糖茶飲料市場に新風を吹き込むかのようにじわり拡大している。
“甘香ばしい”味わいの嗜好性と無糖・カフェインゼロという特性が、30~40代女性層を中心に受け入れられている。
前期(12月期)は販売数量で前年比2桁増の伸びを記録。今期出足の1-4月も2桁増で推移し3月11日のリニューアル発売以降、275mlの新サイズ発売の純増効果もあり前年比倍増と勢いづいている。
5月13日、取材に応じた鶴谷哲司マーケティング本部ブランドマネジメント部担当部長は「2012年に発売開始した前身の『やすらぎ気分のコーン茶』が、宅配カタログで女性・お子様向け商品の特集ページに紹介されて売れ始めたのがコーン茶の可能性の最初の気づきとなった。その後、21年に原料を北海道産とうもろこしにこだわり『北海道コーン茶』として新発売したところ、数字が顕著に伸びていった」と振り返る。
鶴谷哲司マーケティング本部ブランドマネジメント部担当部長好調要因は複数あるとみている。
その1つにカフェインゼロを挙げる。
カフェインゼロ飲料の中でも、複数の原料をブレンドしたものではなく、とうもろこしだけのシングル素材である点が支持拡大のポイントという。
「麦茶を代表とするカフェインゼロ飲料市場が注目される中で、シンプルに一つの素材を訴求した商品が、味わいが想起しやすく、今の若年層には分かりやすいのかもしれない」との見方を示す。
コーン茶は、急須で飲まれる日本茶や、水出しあるいは煮出して飲まれる麦茶とは異なり、多くのユーザーにとって家庭での飲用体験が皆無に等しい。これにより「今の若い人たちからすると自分たち向けの新しいお茶のような見え方をしている可能性がある」と語る。
実際、外食など家庭外でのコーン茶との新たな出会い・飲用体験が「北海道コーン茶」のトライアル促進に少なからず寄与。昨今の韓流ブームも後押しているという。
コーン茶は、とうもろこし茶などの名前で韓国では馴染みのあるお茶の1つ。
「過去、何度か韓流ブームがあり、当時学生だった方が親になってお子様に与える動きや、韓国料理をきっかけにコーン茶を飲用する動きなど、世代を越えて飲用経験が増えてきている」とみている。
「北海道コーン茶」は業務用1Lサイズも拡大の一途を辿る。
「コロナ禍でも伸び続け、行動制限が解除されアフターコロナに向かう中で一気に拡大している。業態としては、焼き肉店が一番多く、脂っこい料理のお供に、香ばしい割材として飲まれている」と述べる。
緑茶や麦茶などと比べてコーン茶そのものの飲用経験が少ない中で、北海道産契約栽培とうもろこしを使用して、おいしさや安全・安心の打ち出しも奏功しているという。
「外食以外にコーン茶を飲用できる機会が極めて少ない中で、北海道産はおいしさや安心感の背中を押してくれるような要素がある。」と説明する。
「北海道コーン茶」は、北海道産契約栽培とうもろこしを100%使用したカフェインゼロの無糖茶。原料となるコーンを粒のまま焙煎して香ばしさを引き出し、高温でドリップ抽出することで、コーンの香ばしく甘い香りとスッキリとした味わいを実現している。
現在、首都圏がメインで販売が加速している。今後も首都圏を中心に販路を拡大しつつ、ブランドとの接点の場としては北海道も重視。
「旅行では、できるだけ旅先に関連したものを消費したい方が多いと想定しており、北海道という場所もブランドの接点としては重要。実際、新千歳空港の自販機で『北海道コーン茶』は売れ筋上位となっている」と語る。
一般的な無糖茶飲料では珍しい、甘香ばしい味わいが、非日常や旅情感に合致している可能性にも触れる。
近年は、カフェインゼロや美容・健康などもSNSで自然発生的に取り沙汰されている。「コーン茶は市場規模が小さい割にSNSでの話題量が物凄く多い」と述べる。
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