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乃木坂46ファンも聖地巡礼! 最大6時間待ちのおにぎり専門店『ぼんご』の行列が絶えないワケを女将に聞いてみた

集英社オンライン / 2023年2月5日 10時1分

「おむすびは、人の心と心を結ぶものです」東京の下町・大塚にそう語る名物女将がいる。おにぎり専門店「ぼんご」の代表を務める右近由美子さん(70)だ。ぼんごを訪ねた1月17日は、28年前に阪神大震災が起こった日であり、その際に炊き出しによって多くのおむすびが届けられたことで、「おむすびの日」に制定されている。そんなおむすびゆかりの日に女将が語ったおにぎりへのこだわりとは——。

テレビやSNSで話題沸騰! 創業60年を超える老舗のおにぎり専門店は開店前から行列

女将の右近由美子さん。おにぎりは、中身の具材が「印」としてトッピングされている


「ぼんご」は昭和35年の創業から63年続く老舗であり、超人気店だ。創業者だった先代の右近佑さんとの結婚を契機に、女将は長らくおにぎり作りに携わっている。

そんな「ぼんご」と女将に昨年、転機が訪れた。2022年9月に旧店舗を閉め、翌10月に新店舗へ移転したのだ。移転後も連日、大盛況。日本一と絶賛されるおにぎりを求め、サラリーマンや家族連れ、観光客など、全国各地から訪れた人々が長蛇の列を作っている。

TBSの「情熱大陸」、「マツコの知らない世界」でも紹介。営業時間11:30~23:00(日曜定休:祝祭日は営業)

店の前には開店前から行列ができる。平日でも3時間待ちは当たり前。寒い日はスタッフが温かいお茶を配るほど。行列への感想を求めると、女将は照れくさそうに微笑んだ。

「本当にありがたい話ですよね。日本人にとっておにぎりは特別なものなのかなと思います。県外や海外の方も来てくださって。今まで、5時間待ちが最長でしたが、昨年末、ついに6時間を超えてしまいました。寒いのに頭が下がります」(由美子さん、以下同)

具材の仕込みから「ぼんご」は手作りにこだわる

長く営業していると客層も移り変わってゆく。女将も「変わり過ぎです」と笑う。

開店当初、昼は会社員、夕方は家族へおにぎりを買って帰る地元客、夜は飲み帰りの客が多かった。一方で現在の客層は20代が占める。女性客が中心だが、中には男性アイドルファンも1日に5人程度やってくる。

乃木坂46のメンバーが2019年に「乃木坂どこへ」(日本テレビ系、2020年に放送終了)のロケで来店したことで、SNSに情報が拡散された。今では乃木坂ファンが「聖地巡礼」に訪れているという。

当時、店を訪れた乃木坂46のメンバーが食べた「ぼんご」のメニューは以下のとおりだ。

遠藤さくら→「明太マヨネーズ」
賀喜遥香→「卵黄」
筒井あやめ→「明太クリームチーズ」「卵黄」
清宮レイ→「卵黄+豚キムチトッピング」
早川聖来→「唐揚げ+豚キムチトッピング」
掛橋沙耶香→「さけ」「ベーコン」「うめ」

乃木坂46の冠番組『乃木坂どこへ』で取り上げられたことから乃木坂ファンもよく訪れるという

「乃木坂のイベントがある日だと、ファンの男の子がたくさんいらっしゃいます。みなさん、お目当ての女の子の食べた食材と同じものを食べるから誰のファンかわかります(笑)」

不動の人気一位と根強い人気メニューとは?

おにぎりの価格は1つ300円から600円。50円、100円を追加して、別の具材をトッピングすることもできる。

乃木坂46のメンバーには「卵黄」と「豚キムチ」が好評だったが、不動の1位はやはり「さけ」だ。次に「すじこ」「卵黄」と続く。注文時は店内に貼られるランキング表を見て参考にしてもいいだろう。値段は税込。

具材人気ランキング堂々1位は「さけ」

「ぼんご」のおにぎりは、1日に1000個~1500個も売れる。具材はなんと57種類。その豊富さにもかかわらず、どの具材も売切れにならないように気を配る。

「お客さんに『今日これ食べたかったのにないの?』って言われるのがすごく気の毒で嫌なんです。だから従業員のみんなには、57種類あっても絶対に欠品しないでくださいと伝えています。お客さんの声が一番ですから。

トッピングを始めた理由? 最初は『ネギを入れて』と常連さんに言われて『他のお客さんには内緒だよ』と隠れてやっていましたがバレてしまって。お金儲けしたいわけじゃないけど、具材を2つ入れてほしいというお客さんがいたら、それを叶えてさしあげたいなと」

女将の粋なサービスが生んだトッピングシステムによって、「豚キムチ+納豆」や「まぐろ角煮+はとうがらし」など、味のバリエーションが各段に増えた。当然、それぞれの具材の仕込みにも全力を注ぐ。
一番人気の「さけ」はオーブンで焼いた鮭から小骨を抜き、丁寧に鮭フレークを作っていく。

店内のカウンター越しに見える具材の数々に心が弾む。たらこ系具材も豊富だ

「スタミナ焼肉」や「豚キムチ」「肉そぼろ」といった具材は大きなフライパンで炒めるので、力も必要だ。

スタミナ焼肉の香ばしい香りと濃いめの味が、おにぎりとよく合う

豚キムチは男女問わず大人気の具材。納豆のトッピングは秀逸だ。

人気具材の「卵黄」は、冷凍した卵から卵黄を取り出して3~4時間ほど冷蔵庫の中で醤油漬けにする。醤油漬けした卵黄がおにぎりに3個入る贅沢な一品だ。

味つけは醤油のみ。解凍した卵黄は乾燥を防ぐためラップをかける。

卵黄醤油漬けが生まれたきっかけはNHK

人気メニュー、卵黄の醤油漬け。卵はおにぎりの具材で扱うには難しい食材のはずだが、どのようにして生まれたのか。

右が卵黄。中に2つ、上に1つ乗せた贅沢なおにぎりだ

「たまたまスーパーで卵かけご飯風おにぎりを見つけて、『私もこれをやりたい!」と。でも生卵は傷むし、形にならない食材。卵黄の味噌漬けを作ってみても、難しいし時間はかかるしで断念していました。
それでもどうしても商品化したいと思ってたところにNHKの番組で『卵が臭くて食べられないという人は、1回冷凍して解凍後に食べたら臭みがなくなります』と紹介されていて。

自分でやってみたら解凍した時に、黄身だけがポコって出てきた。卵黄が金柑みたいでかわいいし『これだ!』と思いましたよ。でもお醤油をかけたものをお客さんに味見してもらっても、反応はよくなかった。醤油に一晩もつけたら今度はしょっぱくて食べられません。そうやって失敗しながら漬ける時間を研究していきました」

ひとつの食材から複数の具材が生まれる「たらこ」の仕込みにも手間暇をかける。

人気メニューのベスト10にも「生たらこ」「明太マヨクリームチーズ」がランクイン。トッピングベスト10にも「ホッキサラダ+焼きたらこ」や「明太子+高菜」など、「たらこ」系具材の活躍が目立つ。由美子さんも「たらこ」のレパートリーを自画自賛する。


「生たらこ単体以外にも『明太マヨネーズ』『辛子明太子』『イカ明太子』『焼きたらこ』『明太マヨクリームチーズ』など、たらこを素材で使用する人気商品も多いので、消費はとても多いです。山のような量のたらこを、薄皮を開いて中身を出す作業をする必要があります。明太子も自分のところで作るし、全て手作業で仕込んでいます」

米、海苔、塩もおにぎりに合うものを厳選

丁寧な仕事が伝わる具材を引き立てるのは、こだわり抜いた米だ。

「以前は東京のブレンドこしひかりを都内の米屋さんへ注文していましたが、私の実家が新潟なので、紹介してもらった新潟のお米に変更して、もう何十年も使っています」

使用されるのは新潟県岩船産コシヒカリの棚田米だ。棚田は、山の傾斜地を階段状に区切って水平に作る水田を指す。朝晩の寒暖差が大きく、冷たくキレイな水が豊富な地域で生産される棚田米は、全てが手作業。出来上がった米を炊くと、甘味が強く、食べ応えも十分だ。

洗った米は2時間浸水。ガス窯を使い15分間で一気に炊き上げる。ご飯を混ぜて蒸気を逃がす

実際、ぼんごで使われる米は粒が立っていて大きい。ふっくらと炊きあがった口当たりの良いご飯は、具材がなくても旨味が際立つ。1つに米の量はおよそ150~170g。具材を入れると200gを超える大きさだ。それでも、訪れる客は2個、3個のおにぎりをペロリと平らげる。

店内でおにぎりを作る様子が見られるのも楽しみのひとつだ

もうひとつ、おにぎりに欠かせないのが海苔。しかし、女将は「海苔は難しい」と話す。

「 “かさだか”といってちょっと厚みがあって、それでいて歯切れや香りの良い海苔がおにぎりに合う。でも、海苔選びはとても繊細で非常に難しい。ですから、どの海苔を使用するかはずっと昔からお世話になってる海苔問屋さんにお任せしてます。さすが海苔屋さんはおにぎりに合う海苔の選び方をよく知ってらっしゃる」

香りを重視する海苔は、アミノ酸の含有量が多い有明産を使用。九州の一級河川・筑後川と矢部川から栄養豊富な水が流れ込む有明海で育った海苔だ。

新潟県産のコシヒカリに合う塩も日夜研鑽を重ね、塩加減を調節しているという。

「以前は普通の塩を使っていましたが、知人に沖縄の塩を勧められたので、それを使って握ってみたんです。そしたら最初に来たお客さんに『塩変えた?』と聞かれ、ドキドキしましたね(笑)。『うん、こっちにしなさい』とアドバイスをいただいたので、もうそれでこの塩を使い続けることに決めました」

この手で何十万、何百万という数のおにぎりを握ってきた

沖縄県産の塩はミネラルが豊富でクセのない旨味が特徴だ。由美子さんは指先二本分に塩を付けておにぎりを握る。米・海苔・具材・塩が奏でる絶妙なハーモニーはまさに絶品。行列が途絶えることがないのも納得だ。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

後編 最大6時間待ちのおにぎり専門店『ぼんご』の女将、右近由美子さんのおにぎりづくりの秘訣とは


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