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〈連続強盗犯指示役・帰国〉運び屋暴力団関係者が明かすビクタン収容所の驚きの実態。「職員は実はエリート。働いていれば年収の3~4倍の袖の下が…」

集英社オンライン / 2023年2月7日 13時27分

世間を騒がせる連続強盗事件。その指示役とされ、現在フィリピンの収容所に収監されている4人の日本人のうち2人がまもなく帰国する。しかし、なぜ彼らはフィリピンで身柄を拘束されていながら、遠隔で“バイト”を雇い、強盗事件を指示できたのか。フィリピン収容所の驚きの実態が暴力団関係者の口から明かされる。

収容所は映画『天国から来た男たち』そのままの世界

全国的に発生する連続強盗事件の指示役とされる日本人4人が収容されているフィリピンの入管施設「ビクタン収容所」で、施設の所長ら職員全員が交代した。警察と入国管理局が収容者に抜き打ち検査を行った結果、大量のスマホと現金が見つかったのだ。

施設関係者や元収容者らによって、金がモノを言うといわれた収容所の内部の様子や実態が、連日メディアを騒がせていたため、フィリピン側も改めざるをえなくなったのだろう。


賄賂の原資となる現金を、ビクタン収容所にいた収容者に直接運んだことがあるという暴力団関係者は、「収容所の中の様子を知るには『天国から来た男たち』という映画を見るといい」と教えてくれた。

『天国から来た男たち』

『天国から来た男たち』は吉川晃司主演で2001年に公開された映画だ。監督は三池崇史、原作は林洋司の同名小説。他に山崎務、大塚寧々、遠藤賢一らが出演している。
吉川演じる商社マン、早坂幸平は大統領候補に賄賂を渡す任務のために出張したフィリピンで、麻薬の不法所持の冤罪で逮捕されてしまう。現地の収容所に収容されるが、そこは看守に賄賂さえ渡せば自由な暮らしができる場所だった。ここで早坂は収容所内で贅沢に暮らす、山崎演じる吉田克明の仕事を手伝い始めるというあらすじだ。

作品を実際に見てみると、最近、日本のテレビでも見ることができる収容所内部の映像とよく似た景色が映っていた。所内を制限されることなく自由に動き回る収容者たち、飛び交う賄賂。部屋は日本人だけのいわゆるVIPルーム。食事も外出も金次第で、世話係の存在まで描かれている。

4人が収容されるビクタン収容所

「山崎が演じた人物には実在のモデルがいるようだ」と話す暴力団関係者は、収容者から「実際はあの映画よりもっとひどかったと聞いた。金さえ渡せば、収容者を使用人のように使うこともできたし、女の収容者が中で売春していたから女も抱き放題。金のない収容者は、そうやって収容所の中で稼ぐしかなかったらしい」と話す。

収容所職員の受け取る賄賂は年収の3~4倍

収容所内で自由を謳歌するどころか、金さえあれば本当の自由の身になれたという。暴力団関係者は続ける。

「あそこは刑務所ではなく収容所。当時は5000万円ぐらい所長に払えば、収容所から解放してもらえたそうだ。非常に高額だが、毎月、部屋代などをなんだかんだと払うことを考えれば、5000万円払って外に出たほうがいいという者もいたようだ。しかし、解放されたとしても日本に帰国するつもりは全くない」

収容所内の様子

その後、何年経っても収容所の堕落した体制はほとんど変わらず、スマホが普及しても、「収容者たちがスマホを何台持っていようと職員にはそんなことは関係ない。その電気代を払っているのは国。自分たちの懐が痛むことはない。部屋を個室のようにして収容者から家賃を取れば、それは自分たちのポケットマネーになる」

日本人なら、汚職が横行している施設は管理が杜撰とみなし、平気で賄賂を受け取る職員らを悪徳でだらしない人間と考える。『天国から来た男たち』のAmazon Prime Videoの作品紹介でも “日本人的尺度の通用しないアジアの混沌、犯罪者の巣窟”という表現が使われていた。

しかし、暴力団関係者は「それは日本人の感覚だ」と説明する。「職員を金で転ぶようなルーズな連中だと思うだろうが、施設の職員は向こうならある程度のエリートだ。選ばれた人間がなっている」という。

日本人収容者と職員

「収容所の仕事は、他で副業をやらなくても、自分の職場で副業ができる“おいしい仕事”なんだ。無理をしなくても、働いていれば年収の3~4倍は袖の下で入ってくる。担当した収容者が金持ちなら、なおラッキーだ。
職場で副業ができるのだから、賄賂が簡単になくなることはない。施設や職員としては今回のような騒ぎになってほしくなかったのが本音。今は日本のメディアが入って、世間や人目がうるさいから取締りを強化するというパフォーマンスをしたのだろう。ただし、実情は今しばらく賄賂を受け取るのはやめおこうというくらいだろう」

日本の刑務所や入国管理局の施設は、世界で最も管理や規則が厳しいといわれる。そんな日本とは感覚がまるで違うと暴力団関係者は話す。

500ユーロ札で運ぶのが一番効率的

収容者が様々な自由を得るには、収容所内でも現金が必要だ。それが職員たちの懐を潤していたのだ。面会に来た者が金を受け渡ししようと問題になることはなかった。

指示役の1人とみられている渡辺優樹容疑者は、交際していた女性を運び屋にしていた。女は現金2000万円を持ち出し渡辺容疑者に渡していたことがわかっている。2000万円を現金で運ぶとなると、1万円札ではかなりかさばってしまうし重い。プリペイド式の電子マネーを購入して運ぶにしても同様だ。

近く送還予定の渡辺優樹容疑者(下)と小島智信容疑者

ある暴力団の幹部は「信用できる運び屋なら、運ばせるのは電子マネーより現金。そこで使われるのは“ユーロ”だ」と話す。
「一番高額のユーロ紙幣は500ユーロ札。それを使う。1ユーロを145円とすれば、500ユーロ札1枚で72500円。100枚で725万円になる。2000万を現金で運ぶ場合、500ユーロ札なら280枚ほどですむ。マチ(収納力)のある財布ならたやすく入る。一万円札で考えないことだ」

円からユーロ、ユーロから現地通貨やドルに換えるには手数料がかかるが、他の方法で換金するより換金率は高く手間もない。前述した暴力団関係者同様、幹部がフィリピンに現金を持ち出した時は、円を500ユーロ札に換え、長財布に入れて持ち出したという。

「フィリピンなら日帰りしようと思えば日帰りできる。荷物も最小限なら、空港税関の荷物検査で引っ掛かることもない。金を自分の財布に入れていけば、税関も財布の中まで調べはしない。数百万を持ち出すのは簡単だ」

日本人的尺度や感覚では到底理解できない世界がそこにはあるようだ。

※「集英社オンライン」では、今回の事件について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。

メールアドレス:
shueisha.online.news@gmail.com

Twitter
@shuon_news

取材・文/島田拓 集英社オンライン編集部ニュース班

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