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〈男一匹車中泊の旅〉立ち寄った真冬の京都では、カスタム軽バンからシェアリング電動キックボードLUUPに乗り換え、大正解

集英社オンライン / 2023年2月10日 10時1分

西を目指した車中泊の旅。立ち寄った京都で少々散策するのに、車ではどうも取り回しが……そんなときうってつけだったのがシェアリング電動キックボードLUUPだった。

琵琶湖の湖畔で目覚めた3日目の朝。
頭はすっかり旅モードに切り替わっていた

目的地は定めず、とにかく西へと進路をとった僕の“男一匹車中泊の旅・ゴーウエスト編”。
2日目(2023/1/14)は、夜もふけた頃にたどり着いた琵琶湖のほとり、湖岸緑地南三ツ谷公園の駐車場を寝ぐらとした。
ここはキャンプやバーベキューもできる無料の開放公園で、駐車場にはお仲間の車中泊組の車も何台か停まっていた。

寝床に就いた時点ではまだあまり寒くなかったが、やはり深夜になると車内の気温がかなり下がり、ゾクゾクしてきたので電気毛布のスイッチをオン。


おかげで以降は暖かく快適で、ぐっすり眠り気持ちの良い朝を迎えることができた。

湖畔の公園の駐車場で目覚める

上機嫌で湖畔を少し散歩したのち車に戻り、前日にコンビニで買っておいたインスタント味噌汁のカップに、一人用電気ケトルで沸かした熱いお湯を注ぐ。
琵琶湖を眺めながら飲む、朝の味噌汁の味は格別だった。

静かな冬の湖畔を朝の散歩

車中泊の旅はもう3回目で慣れたものだが、やはり出発して1〜2日目はペースがつかめず、どうしてもワチャワチャしてしまう。
でも3日目くらいからは頭がすっかり旅モードへと切り替わり、心に余裕が生まれてくるものだ。

昨夜、琵琶湖に着いたのは夜中だったので、湖岸道路を走っていても、間近にほの暗い湖の存在を感じはするものの、真っ暗で何も見えなかった。
朝になって再び湖岸道路を走りはじめると、右手に広がる湖の大きさに圧倒された。

琵琶湖に来るのは初めてではないが、以前は子供の頃だったので遠い記憶の彼方だ。
さすが日本一。こんなに広いのか。
湖岸の道を走っても走っても、ひたすら続く湖。
いくら眺めても飽きない、雄大な景色だった。

テントでキャンプしている人もちらほら

道の駅で買った、一袋100円の焼栗

琵琶湖の湖畔からほど近い道の駅草津に立ち寄り、家族へのお土産や自分用のお茶などを購入した。

道の駅草津

駐車場に戻ろうと歩いていると、“焼きいも”ののぼりを立てた露店がある。
何気なくのぞくと、焼きいものほかにもいろいろ売っており、その中で「焼栗100円 SALE」「本日ならではのお買い得!!」というポップが目についた。

100円焼き栗のお店

100円とはずいぶん安いなと思って、お店のおばちゃんに聞いてみると、「正月用に仕入れすぎてねえ。売れ残っちゃったから慌ててるの。100円じゃあ売っても売っても赤字だけど、売らないともっと大赤字!」と言って、陽気にケラケラと笑った。

赤字だと言いながら悲壮感がまったくないおばちゃんの言葉に、なんだかこっちまで愉快な気分になり、一袋買って車内で食べた。美味しい栗だった。

本当は「おばちゃん。じゃあ一袋おくれよ。なあに釣りはいらねえよ」と500円玉でも渡すのが良かったのかもしれないが、そんな寅さんのような粋な真似ができる性格じゃない。
普通に100円玉を渡して買った。

売れ残りの栗、美味しかったです

そして僕の車は近江大橋を渡り、大津を経て山科から京都へと入っていった。

今回の旅ではもっともっと西へ進みたかったので、京都観光をするつもりはない。
ただ、寄りたいお店が数軒あったので、京都の中心地である三条のコインパーキングに車を停めた。

京都三条のコインパーキングに落ち着く

京都三条を散策するなら、
電動キックボードを借りるに限る

Googleマップで確認すると、事前にチェックしていたお店は、近いながらもこの三条周辺に点在していて、歩いて回るとまあまあ時間がかかりそうだ。
かといって車で回るほど遠くはない、微妙な距離感だ。

さて、どうしよう。

そこで僕はあることに気づいた。
そうだ、京都にもアレがあるはずじゃないか!

アレとは、次世代のマイクロモビリティとして、公道走行の実証実験中であるシェアリング電動キックボードのことである。

昨今、急速に普及している電動キックボード。
現在は基本的に原付バイクと同じ扱いで、運転免許、ヘルメット着用、自賠責保険、ナンバープレート装着などの条件が課されている。
一歩通行や右折時などの交通ルールも、原チャリと同じものが適用される。

しかし2023年7月からは改正道路交通法が施行され、最高速度20km/h以下に設定された電動キックボードは「特定小型原動機付き自転車」という新しい区分に入り(従来の原付バイクは「一般原動機付自転車」となる)、16歳以上であれば免許不要、ヘルメット着用義務なしといった新条件が適用される予定だ。

そしてここからがややこしいのだけど、新ルールへの過渡期である2023年1月現在、最高速度15km/h以下に設定された申請済み業者による貸出専用キックボードは、「特例電動キックボード」と呼び、業者ごとに許可された特定地域において、特例ルールに従い公道走行が許可されるという実証実験がおこなわれているのである。

ふーっ。

以上の説明にはいろいろ不備があるかもしれないので、より詳しく正確に知りたい人は自分で調べてもらいたい。
とにかく、特例措置によるシェアリングサービスが数年前から始まっていて、公道を走ることができる電動キックボード。
いい年して乗り物好き&新しいモノ好きの僕は、この二つを同時に満たす電動キックボードがとても気に入っている。

僕が住んでいる東京都世田谷区は、特例措置により許可された業者、株式会社LUUPの活動区域内。
昨年の秋には自宅のすぐ近くにもポートができたので、よく借りて乗っている。
そしてLUUPが展開しているエリアは東京23区のほかに、横浜、名古屋、大阪、神戸とともに、この京都が含まれているのだ。

よし、それではLUUPを借りて、お店巡りをしようじゃないか。

さっそくスマホのアプリで検索してみると、LUUPのポートは停めた車のすぐ近くに見つかった。

発見した京都三条のLUUPポート

電動キックボードに乗り換えて、京都のショップ巡り開始

東京でチョイチョイ借りているので、アプリ手続きによる貸し出しはごくスムーズだった。

LUUPはこの京都の街を移動する足として、最適かもしれない。
走り出してすぐ、そんなふうに思っていた。

LUUPで京都街ブラにGO!

いかにも京都らしい古い町屋を改装した、オシャレショップが建ち並ぶ京都三条は、そぞろ歩きでお店巡りをしている人が多い。
歩行者が道に広がって歩いていたり、一方通行路だらけだったりするので、車の進入が禁止されていないエリアでも、慣れない者にとっては走りにくいのだ。

現在、特例措置が適用されているLUUPの走行ルールは、ヘルメット着用は任意、一方通行路への進入はOKとなっている。
原付免許は必要だが、限りなく自転車に近いルールなので、細い路地を含めて気軽に町中を走り回ることができる。

原動機付きの乗り物なのに、一方通行を逆走していいの?それにヘルメットなしで危険じゃないの?と思う人もいるかもしれない。
でも乗った経験から言わせてもらうと、それは杞憂だ。

何しろ最高でも15km/hしか出ない乗り物である。
15km/hがどのくらいのスピードかというと、人の歩く速度よりは早いけれど、全力の駆け足よりは遅い。
保育園のお迎え時間が迫り焦っているママチャリに、余裕で追い抜かされるスピードという感覚だ。

また、立ち姿勢で乗っているので、自転車よりも降りる動作がスムーズ。
「あ、危ない」と思ったらブレーキをかけ、一瞬で降りて手で押し歩く体勢に移ることができる。

こういう新しいモノが出てくると、イェーイとばかりにすぐ飛びつく僕のようなアホウがいる一方、「危険だ」「こんなモノ締め出せ」「町の迷惑ものだ」と言うカシコが現れるものだが、僕から言わせたら、イェーイと飛びつくアホウの力が文明を発達させてきたのだ。
危険察知能力は確かに生物の生存競争には必要だが、無闇に脳の扁桃体優位になったカシコの増殖が、日本を衰退の道に……。

まあいいや。
一人旅をしていると、いろいろと考えることが多いんだけど、今はそんな話じゃないのだ。

LUUP仲間ともよくすれ違った

京都ならではのアンティーク家具屋さんと、
知る人ぞ知る老舗店を訪れる

スイスイスイーとLUUPに乗って最初に訪ねたのは、アンティークショップの70B ANTIQUES。

70B ANTIQUESの前

地下1階の店内には、ヴィンテージ家具が所狭しと並べられていた。
イギリスを中心としたヨーロッパ各国やアメリカ生まれの、1880年代〜1960年代の家具が中心。
選球眼が確かなのだろう、とてもセンスのいい家具が、比較的リーズナブルな価格で販売されていた。

地下一階の店内につながる階段にも家具が並ぶ

いくつか本気で欲しいものがあったのだが、悲しいかな今は小さな軽バンで、車中泊の旅の最中。
家具なんて買ってしまったら、自分の寝場所がなくなる。
後ろ髪をひかれながらお店を後にした。

本当に欲しかったが今回は断念した家具

続いて見たかったお店が、國島器械株式会社。
実験をおこなう学校や企業に向けて、フラスコやメスシリンダー、天秤などの化学実験用具を販売する、明治20年創業の老舗だ。
特殊なお店なので何か買うというよりも、お店の雰囲気を味わいたくて立ち寄らせてもらった。

國島器械株式会社

なんて素敵な店構えだ。
古い棚に陳列された商品も、見ているだけでワクワクする。
すみません、何も買わなくて。
もしもいつか、何らかの実験をする必要に迫られ、揃えなければならない器具が出てきたら、必ず買いにきます。

男子ゴコロをくすぐる実験器具が並ぶ

なぜか財布のひもが固くなるのは、
無計画な旅ゆえの不安感からか

そしてもう一軒が、栃木レザーを使った革バッグ専門店のSLOW。
東京の自由が丘や神奈川の鎌倉にもショップがあるブランドで、そちらでは買い物をしたことがあるのだが、町屋をリノベーションしたという京都店をいつか訪ねてみたいと思っていたのだ。
思ったとおり、店内はとても良い雰囲気だった。

ちょっといいショルダーバッグを見つけ、かなり心揺らいだのだが、やっぱり今回はパス。
もう少し考えて、オンラインストアか自宅近くの自由が丘のショップで買います。
と心の中でつぶやいて退散した。

町屋をリノベーションしたSLOW京都店の店構え

って、いろんな店に行ってるけど何も買わんのかい! 冷やかしは困りますねーお客さんという声が聞こえてくるようだ。

日常からの開放感によって、旅先で散財する人が多いと聞くが、僕の場合は逆なのだ。
なぜか車中泊旅の間は、普段より財布のひもが固くなる。
これ、どういう心理によるものなのかな?
無計画な旅ゆえに、この先、どんなアクシデントがあって思わぬ出費があるかもしれない、という不安が心の枷になっているのだろうか。

そういう意味ではこの僕も、扁桃体優位な現代日本人らしい特性を持っているのかもしれない。

これから先の旅のお供になる文庫本を購入

最後に訪ねたのは、100000tアローントコという変わった名前の中古レコード&古本のショップ。
小さいお店ながら、レコードも本もレアものが豊富に揃えられていて、東京から来たサブカルオヤジ(僕のことです)を興奮させるお店だった。

10000tアローントコの入り口

だけど相変わらず財布のひもは緩まず、30分ほど吟味した挙句、どうしても諦めきれなかった文庫本を2冊だけ購入した。
我ながら、どうにもならないほどの渋ちんだ。

買ったのは、赤んぼ大将シリーズやコロボックルシリーズなどで有名な童話作家、佐藤さとるの童話集『てのひら島はどこにある』と『コロボックル物語④ふしぎな目をした男の子』だ。

佐藤さとるの童話

僕の車中泊旅はこの先、夜眠る前に佐藤さとるのファンタジーワールドに浸ることで、より一層豊かなものになるのであった。

つづく。


写真・文/佐藤誠二朗

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