──ミヤタ廉さんは性的マイノリティに関するセリフや所作、キャスティングなどを監修するLGBTQ+インクルーシヴ・ディレクターとして、Seigoさんはセックスシーンなどの「インティマシーシーン」における動きや所作を監修するインティマシー・コレオグラファーとして参加されました。『エゴイスト』に携わることになった経緯から教えてください。
ミヤタ廉 僕は鈴木亮平さんのヘアメイクをずっと担当していて、『花子とアン』(2014)の頃からのお付き合いなんです。『エゴイスト』に関しても、最初は作品全体のヘアメイクとして携わる予定でした。
──製作段階からLGBTQ+インクルーシヴ・ディレクターという役職があったわけではないんですね?
ミヤタ廉 そうですね。準備段階の台本を読ませていただいたときに、亮平さんから「違和感を抱く部分はありませんか?」など、ゲイの当事者としての意見を求められたんです。この段階では亮平さん演じる浩輔がゲイの友人と遊んだりするシーンが出てこなかったので、「原作でも描かれている友達との場面がもっとあるとリアリティが増すかもね」など、いくつか意見を伝えさせていただきました。
その後、監督や亮平さんたちが当事者に取材を重ねていく段階で、原作者の高山真さんを知るドラァグクイーンのドリアン・ロロブリジーダさん(浩輔の友人役として出演)を、知り合いを介してご紹介したりしました。
そういうことをしていくうちに、ヘアメイクを担当しながら続けることが難しいと思い、プロデューサーの明石さんに「ヘアメイクとしては登場人物のビジュアルデザインとして担当し、それとは別で監修というポジションで入っていいですか?」と提案したんです。