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ひきこもり、ニート、障がい…働けないまま中高年になった子どもは親の死後、お金をどうすればいい?

集英社オンライン / 2023年2月16日 11時1分

80代の親が50代の子どもの生活を支える、いわゆる8050問題。ますます高齢化が進み、いまや9060の家庭も珍しくない。親亡き後のひきこもりの子どものお金対策はどうすればいいのか? 「働けない子どものお金を考える会」代表、ファイナンシャルプランナー畠中雅子さんに解説いただいた。

一生働けないことを想定する

「働けない子どものお金を考える会」は、ひきこもり、ニート、あるいは障がいをお持ちのお子さんを抱えるご家族の生活設計を考える、ファイナンシャルプランナーの集まりです。
『サバイバルプラン=長期的な生活設計』を立てて、アドバイスしています。

私自身、この活動をスタートさせたのは、1992年くらいなんですが、その当時はお子さんのひきこもりで悩む親御さんに対して、親が亡くなった後の子どもの生活設計についてのセミナーや講演をすると、「縁起でもないことを言うな」とクレームを受けることもありました。


その頃はまだ、親御さんは60代から70代くらいで、お子さんも30代後半や40代くらいだったので、まだお子さんが働くことを諦めていない方が多く、ご自身が亡くなった後の備えなんて考えられないという感じだったんです。

ですが、ひきこもりについては社会問題として大きく扱われるようになり、ひきこもりのお子さんの高齢化が進み、いわゆる8050問題が浮き彫りになってからは、ご相談件数が年々増えていっています。

ご家庭の事情に合わせてアドバイスさせていただいますが、まずはひきこもりの子どもが正規の仕事に就いて自立することは現実的ではないことを覚悟いただくのが大切です。
「働くべき」「ほかの子と同じように」という考え方を変えて、子どもの生涯にわたり、親の経済的支援を必要とすることと考えていただきたいのです。

その上で、子どもがひとり残されたときのお金や生活面、手続きなどのサポートについて体制を整える必要があります。

資産の整理、住まいの確保を優先に

働けない子どもの将来のライフプランとして親がすべきことや整理すべきことは、
① 資産の整理
② お子さんの住居
③ 兄弟姉妹との話し合い
④ 生活面のサポート

です。

まずは資産の整理。
これは親が平均寿命まで生きた場合、子どもが一生働けないことを前提に、自分たちの資産、不動産など、どれくらい子どもに残せそうなのか計算することです。
具体的には1年間の収支を計算したり、自分たちが持っている金融資産の棚卸しをしたり、不動産をお持ちなら売却価格を調べたりしましょう。
そうすることで漠然とした不安を「見える化」することができます。

親の資産だけで足りないとわかれば、子どもに
「月●万円収入がないと●歳のとき資産が底をつく」と具体的に経済状況を説明でき、どう補うのかを考えられます。
例えば月5万円くらい稼げばいいと具体的にわかれば、子どもが今後仕事に就く場合の心理的なハードルは下がりますし、仕事も探しやすくなります。

次にお子さんの住居についてです。
住まいの確保は、働けない子どもにとって安心して暮らせるどうかの要といっても過言ではありません。
多くの親は、持ち家の場合、今住んでいる住居にそのまま子どもが住めるようにしたいと考えています。

ですが、築年数が古いと子どもが一生住めるかどうか、心配な面があります。
水回りなど修理が必要な場合、ひきこもりのお子さんが自ら修理を呼んだり、作業したりすることができない可能性もあります。
そんな場合は、持ち家を売却して安い物件に住み替えるなどすれば、その差額分を子どもに残すことができます。
どうしても住み替えができない場合、親が元気なうちに親子で経営している工務店を見つけて、何回か修理を頼んでおき、将来、お子さんがひとりになったときにも修理を頼める体制を作っておくようにアドバイスをしていますが、親亡き後の住まいをどうするかは早めに検討しておきましょう。

在宅ホームレスになる危険性

3つ目は兄弟姉妹との話し合いです。
ひきこもりのお子さんに兄弟姉妹がいる場合、不公平な相続を受け入れてもらえるかどうかを確認する必要があります。
ひきこもるお子さんが一生働けない可能性があるため、できるだけ多くの資産を残したいことや住んでいる家はその子の財産になるなど、親が元気なうちに他の兄弟姉妹と話し合っておいてください。

また、自分たちが亡くなった後、兄弟姉妹にひきこもるお子さんのさまざまな手続きのサポートを頼めるかも確認を。
税金、国民健康保険料、年金などのさまざま手続きは、ひきこもっていると自分ではできない場合が多いので、そのサポートが必要になります。
兄弟姉妹が難しい場合は支援団体や行政機関に頼れるかを確認しておきましょう。

最後は、生活面のサポートです。
親が食事、洗濯など身の回りの世話をしているケースが多く見られますが、できるだけで自分のことは自分でできるように教えておくのがおすすめです。
せめて、ご飯の炊き方、洗濯機の使い方は教えておいてほしいです。

また、食費にかける予算の管理を。月3万円程度に抑えるのが理想なので、1週間ごとに5000円ずつ渡すなどして、親亡き後も無計画な買い物をさせないようにしましょう。

さらに早めに電気、ガス、水道の支払い口座を子ども名義に変えておきましょう。
親名義にしたままだと、親が亡くなったあとにライフラインが止まり、子どもはお金があっても使えない状態になる可能性も。
私が知っている中でも、公園で顔を洗ったりトイレをしたりしているという、一時的ではありますが、在宅ホームレス状態を経験した人は何人かいます。
家の名義は変更すると贈与税が課せられますが、ライフラインの口座の変更は問題ないので、早めにやっておきましょう。

これらは親が元気なうちにやっておいてほしいことです。
私の相談者さんの中には、親が介護状態、引きこもりの子どもが70代というケースがあります。
そうなると、親自身が動きたくても動けないです。

今日明日困るわけではないかもしれないですが、あまり先送りせず早めに動いていただければと思います。



取材/百田なつき

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