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【フェイクドキュメンタリー「Q」だけじゃない!】リアルすぎるし、怖すぎる。盛り上がりがとまらない「モキュメンタリーホラー」傑作5選

集英社オンライン / 2023年2月22日 18時1分

YouTubeのホラー番組『フェイクドキュメンタリー「Q」』の大ヒットを皮切りに、再び盛り上がりを見せている「モキュメンタリー」テイストの作品。数々のホラーコンテンツをレビューする、人間食べ食べカエル氏に、ファン見逃し厳禁の傑作モキュメンタリーホラーを紹介してもらった。

今、モキュメンタリーホラーが超アツイ!

1999年に映画『ブレアウィッチ・プロジェクト』が公開されて以降、モキュメンタリー(フィクションをドキュメンタリー映像のように演出する表現手法)は一気に世界へと広まった。このジャンルでは、「Mock(疑似)」と「ドキュメンタリー」を組み合わせたその名前のとおり、まるで本当のドキュメンタリーのような体裁でまったくの架空の出来事を描く。そして近年、ここ日本でもモキュメンタリーホラーに再び注目が集まっている。



その大きな要因は、YouTubeで公開されているホラーシリーズ『フェイク・ドキュメンタリー「Q」』だろう。呪いのビデオを調査する映像を皮切りに、次々とおぞましく禍々しい新作が公開され、多くの人を恐怖で凍り付かせた。今や、Jホラーで最も勢いがある存在へと成長している。

その勢いに続くように、いとうせいこう氏ら3人の出演者が昔のテレビ番組を今の視点で視聴・コメントするうちに異常が起こっていくBSテレ東『そのテープもってないですか?』など、ユニークな作品が次々と製作されている。

実は今、モキュメンタリーはホラーコンテンツの中でもかなり熱いジャンルになっているのだ。そこで今回は、是非この機会に観てほしい5本の名作モキュメンタリーをピックアップして紹介する。

どこまでがマジで、どこからが架空なのか?

まず1本目は『境界カメラ』。前述した『フェイク・ドキュメンタリー「Q」』の製作にも関わる寺内康太郎氏が手掛けた心霊モキュメンタリーだ。

この作品の特徴は、何といってもタイトルのとおり、虚構と現実の境界を徹底的に曖昧にさせるところである。本作は、ニコニコ生放送でスタートした同名の番組内で度々取り上げられた「ナリモトD失踪事件」を元に、DVD全4巻にわたって編集されている。

『境界カメラ』(プロデューサー:有馬顕、監督:寺内康太郎) 画像出典:amazon.co.jp

心霊ドキュメンタリー製作の裏事情やチャンネルの収益といった生々しい情報が赤裸々に語られ、現実の厳しさをこれでもかと突きつける。登場人物たちのやりとりも、さらにリアルさを強化する。

そんな中で発生する人の失踪、さらには超常現象。どこまでがマジで、どこからが架空なのか…その境目が次第にわからなくなっていく。この不安感は中々味わえるものではない。正しくモキュメンタリーというものを体現している。

度々映される怪映像も非常に恐ろしい。そして、ここで描かれる恐怖は『フェイクドキュメンタリー「Q」』に受け継がれ、進化することとなる。

「本当に映っちゃった?」と思うくらいリアル

続いては『ノロイ』を紹介する。2005年に公開された本作は、国産モキュメンタリーを代表する1作だ。

監督は『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!』シリーズなどで知られる白石晃士氏。あちこちに伝搬していく呪いの連鎖を怪奇実話作家の小林雅文という男が追うさまを、ドキュメンタリー風に描くという内容だが、その様子だけでなく、テレビ番組や別視点のカメラ映像などあらゆるシーンがバラバラに描かれ、それらが1つの邪悪な真相に収束していく。

『ノロイ』(監督:白石晃士) 画像出典:amazon.co.jp

この作品も非常にリアルで、筆者は学生時代に鑑賞してから3年くらい実話だと思っていた。アンガールズが出演する番組映像も実際にありそうだし、そこに現れる影なども「本当に映っちゃったんじゃないか?」と思うくらい嘘臭さがない。

ただリアルなだけでなく、数多いキャラを巧みにさばきながら“呪いの大元”を探っていくストーリーそのものも面白い。110分とこの手の作品にしては少々長いが、それでもまったく飽きない濃厚な内容である。

もし本作を観るなら、特別版DVDを入手することをお勧めする。特典が特盛で、劇中に登場するワード「カグタバ」をいじりまくる映像や、大量の未公開邪悪シーンなどが収録されており、本編同等の見応えがある。

ニュージャージーの都市伝説を追うカルト作品

ここからは海外の作品を紹介していく。3本目は『ジャージー・デビル・プロジェクト』だ。

思いっきりブレアウィッチに乗っかっているタイトルはあくまで邦題で、オリジナルタイトルは『The Last Broadcast』である。しかもこの作品、実はブレアウィッチよりも先に作られている。

ニュージャージー州の有名な都市伝説「ジャージー・デビル」を調査すべく、森の中へと踏み入った4人の撮影クルーのうち、3人が殺害される。残った1人が殺人の容疑をかけられ逮捕されるが、それを疑問に思った1人のドキュメンタリー作家が真相を追う–––––その様子をカメラに収めたのが本作だ。

『The Last Broadcast』 画像出典:amazon.co.jp

これもドキュメンタリーの体裁を一切崩さず、架空の事件を、あたかも本当に起きたかのように追い続けていく。綿密に設定が練られており、観ればコレをイチから作ったのかと唖然とすること請け合いだ。

調査の過程も細かい部分まで描かれているため、架空と言われなければ嘘と見抜ける自信はない。そうして1時間以上にも渡り丁寧に積み上げてきた過程を自ら打ち壊し、恐るべき衝撃を与えるクライマックス! この急展開には、流石に「マジか!!!」と声が出てしまった。そら、カルトになるわけですよ。

というわけで、これもモキュメンタリーが好きなら必見の一作。ただ、日本国内ではVHSがリリースされたのみなので視聴はかなり困難だ。しかし、海外では最近になって豪華仕様のBlu-rayが発売されたので、英語オンリーでも問題ない方は、そちらを手に入れるのがよいだろう。

モキュメンタリーの魅力が120%炸裂

4本目は『Savageland』だ。この作品は日本には来ておらず、視聴手段は北米アマゾンなどで海外版DVDを手に入れるしかない。だが、そこまでしてでも観る価値はある、と個人的には思うほど気に入っている。

『Savageland』画像出典:amazon.com

アメリカの田舎町から一晩で住民たちが失踪した。警察は唯一生き残った男に疑いをかけるが、事件の裏には想像を絶する恐ろしい事実があった……。物凄く好奇心と恐怖を煽るストーリーだ。

関わりのある人へのインタビューや検証VTR、そして小出しにされる事件当日の写真や映像などあらゆる要素の作り込みが凄まじい。架空の事件を徹底的にマジっぽく描くというモキュメンタリーの面白さが120%炸裂している。そして事件の様子が映された写真の禍々しいこと! シンプルに怖いです。

正直、これがまだ国内に来ていないのが疑問でならない。来年の「未体験ゾーンの映画たち」とかでどうですかね!

夜に観たら電気を消せなくなる

最後は、オーストラリア発作品『レイク・マンゴー ~アリス・パーマーの最期の3日間~』を紹介する。『ツイン・ピークス』の親戚みたいな邦題だが、中身はそれとはまったく関係ない心霊ドキュメンタリー風ホラーだ。

ある日突然、女子学生のアリス・パーマーが失踪。家族と警察の懸命の捜索もむなしく、彼女は遺体となって発見された。それ以降、家族の住む家で不思議な現象が起こり始め……。

『レイク・マンゴー ~アリス・パーマーの最期の3日間~』 画像出典:amazon.co.jp

話そのものは王道のゴーストストーリー。それをドキュメント番組として描いていく。家族のインタビューや捜索シーン、手持ちビデオなど様々な角度から失踪事件が映される。事件後にたびたび姿を現すアリスの影が非常に不気味で、夜に観たら部屋の電気を消せなくなるほどの破壊力がある。

恐ろしいのはそれだけではない。アリスの死後、彼女を取り巻くとんでもなくドス黒い真相が明らかになっていく。死者も生者もダブルで恐怖を更新していく地獄みたいな内容だ。すべてが終わった後の虚無感は言葉では言い表せない。思わず、全身の力が抜けてしまった。とにかく怖くて物悲しい傑作だ。

***********

今回紹介した5本は、いずれも違った味わいの恐ろしさと魅力を持つ素晴らしい作品だ。一部入手が難しいものもあるが、頑張れば手に入らないこともないので、根気強く探してみてください。

ほかにもまだまだ面白い作品は埋もれている。また、今回はホラーだけ取り上げたが、コメディなどさまざまなジャンルでもモキュメンタリー作品は作られている。

虚構とわかったうえで、徹底された本物感を味わう……この楽しさは一言で言い表せないほど奥深く、一度クセになったら掘り下げが止まらない。現実に侵食してくる唯一無二のジャンルに、手を伸ばしてみてはいかがだろうか。


文/人間食べ食べカエル

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