1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. 芸能総合

有村架純が演じる孤独を愛する元風俗嬢。自身も「戦うときはみんなひとり。孤独=寂しいとはまったく思わない」ーー映画『ちひろさん』

集英社オンライン / 2023年2月22日 10時1分

お弁当屋さんで働く元風俗嬢のちひろを主人公にした映画『ちひろさん』。タイトルロールの“ちひろさん”を演じた有村架純に、人間関係の築き方や孤独との向き合い方について話を聞いた。

20代の経験を踏まえて得た、人との付き合い方

©2023 Asmik Ace, Inc. ©安田弘之(秋田書店)2014

──映画『ちひろさん』で演じられたちひろさんは、ちょっと口が悪くてマイペースな、元風俗嬢のお弁当屋さんです。

共通点というか「理解ができる」と思ったところがあって、それはちひろさんの人との距離の取り方です。思い返してみると、私もちひろさんと同じく、相手に対してあまり踏み込まず、適度な距離を保つ方かなと。そうすることで、私生活で感情の振り幅が少なくなり、振り回されることもなく、とても心地よいんです。



仕事でたくさんの刺激をもらっているので、私生活はできるだけ刺激のない穏やかな生活にしたいなと思って。あと自分がグイグイと距離を詰めても、相手がそれを求めていない場合もあると思います。

例えば、悩みがあるから話を聞いて欲しいと言われた場合、あまりに親身になり、感情移入しすぎて「一緒に考えよう」という風になるよりも、適度な距離があった方が相談する側の友達としては楽かもしれない。そういうことをいろいろ考えていくと、ちひろさんの人との距離感は、演じていてとても心地いいなと感じました。

──いつ頃から、そのような考えになったのでしょうか?

20代前半の頃ですね。人との出会いがたくさんある中で、知り合う方みんなといい関係を持つことって難しいじゃないですか。組織の中で、ずっと同じメンバーで仕事をしていくのなら密な関係性は大切だと思うのですが、この仕事は、ひとつの作品で出会って、数か月一緒にお芝居をしたら離れ離れになるので。

もちろん撮影の間は、みんな同じ気持ちで臨んでいるけれど、いつまでもそこに止まっていたら先に進めない。だから撮影の間は一生懸命頑張って、撮影が終わったら「さよなら〜!」って(笑)。

そうやって人との間にいい距離を持っていかないと、自分自身の気持ちが持たなくなってしまうかもしれない。20代前半でそんな風に考えて、自分なりの距離感を持てるようになった感じですね。

──距離をガンガン縮めてくる相手に対してはどうするのでしょうか?

恐れないことってすごく勇気がいりますよね。自分に合うやり方、生き方を見つけるまでは、私も考え込んでしまうような苦しい時期はありました。でも、だからこそ、自分が心地よい感覚はここだったんだ!というのをようやく見つけたので、断る勇気を恐れないようになった気がします。

だから、強引に距離を縮めてこられて、ちょっと困ったなと思ったら、嫌われることを恐れず、断る勇気を持ちたいです。それで嫌われたら「そっか、仕方ないな」って。そこまでのご縁だった、と思えるようになりました。

“ひとり”を明るく救ってくれる、ちひろさんの言葉

──原作も映画も、生きるヒントとなるちひろさんの名言が多かったのですが、有村さんがいいなと思ったセリフはありましたか?

「みんなで食べるご飯も美味しいけど、ひとりで食べても美味しいものは美味しい」というセリフですね。ひとりって、孤独でネガティブな印象があるけど、私はそうではないと思っています。孤独を愛する人は世の中にたくさんいるし、ひとりのほうが楽ならば、それがその人の幸せだと思うんです。ひとりでいることへの許容が、その言葉にはあると思いました。

例えば学校で居場所がなくて、みんなとは別の場所でお弁当を食べることは、その子にとって救いだったりするんじゃないかと。ちひろさんみたいな人が「そういうひとり時間、すごくいいじゃん」と言ってくれたら、救われると思うんです。この映画にも原作漫画にも、心を救って気持ちを上げてくれる言葉がいっぱいありました。

孤独は寂しくない、孤独を楽しむ気持ち

──有村さんもちひろさんと同じ考えですか?

そうですね。私は孤独だからこそ、自分が大事にしたいことが見えてくると思っています。「これはオープンにしてもいいけど、こっちは秘密にしておくんだ」みたいな感じで。そんな風に楽しめるようになれば、孤独って意外と楽しいのではないでしょうか。

人間はお互い100%わかり合えることはないと思っているんです。それが家族でも友達でも好きな人でも、知らないことはたくさんあるはず。だからこそ「何を考えているのかな?」と思ったり、相手を思いやったり、人はそうやって学習していくと思う。そういう気持ちのベースにあるのは孤独なんじゃないかと思います。

──ひとりだからこそ考えられることもありますし、ちひろさんみたいに軽やかに生きられることもある。孤独は決して寂しいことではないですね。

自分に任された仕事をこなすのは自分ひとりじゃないですか。戦うときはみんなひとり。成績が学年トップの子は、それを維持するためにひとりで努力するし、アスリートの方もコンディションを維持していい結果を残すためにひとりで戦っていますよね。それは孤独なことかもしれないけど、ひとりで体験したからこそ見えてくる景色もありますから、孤独=寂しいでは全くないと思います。

取材・文/斎藤香 撮影/MISUMI ヘア&メイク/尾曲いずみ スタイリスト/瀬川結美子

有村架純
1993年2月13日生まれ。兵庫県出身。2010年ドラマ『ハガネの女』(EX)で俳優デビュー。2013年連続テレビ小説『あまちゃん』(NHK)の好演が話題になり、2017年連続テレビ小説『ひよっこ』(NHK)では主演を果たす。2015年主演映画『ビリギャル』の演技で日本アカデミー賞主演女優賞、新人俳優賞などを受賞。2021年『花束みたいな恋をした』で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞。ほか出演映画は『前科者』『月の満ち欠け』(いずれも2022)など多数。近作はNHK大河ドラマ『どうする家康』(2023)

映画『ちひろさん』


風俗嬢の仕事を辞めて、海辺の街のお弁当屋さんで働いているちひろ(有村架純)。元風俗嬢であることも隠さず、ホームレスのお爺さんから近所の子供まで誰にでも分け隔てなく接するので、彼女に惹かれる人は多い。中でも厳格な家庭に息苦しさを感じている高校生のオカジ(豊嶋花)とシングルマザーのヒトミ(佐久間由衣)の愛を求めている小学生のマコト(嶋田鉄太)とは次第に家族のように仲良くなっていく。人懐っこくて朗らかなちひろだが、彼女自身も家族関係が複雑で孤独を抱えて生きていたのだった……。

2月23日(木・祝)Netflix世界配信スタート!&全国劇場にて公開!
配給:アスミック・エース
公式サイト:https://chihiro-san.asmik-ace.co.jp
©2023 Asmik Ace, Inc. ©安田弘之(秋田書店)2014

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください