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「子ども1人につき1000万円配ったらプラスしかない」…ひろゆきが考える、世界競争力ランキングで過去最低にまで落ちぶれた日本が採るべき少子化対策とは

集英社オンライン / 2023年2月21日 11時1分

「5つの無料化」をはじめとする少子化対策が実を結び、大注目されている兵庫県明石市。2023年4月に任期満了予定の明石市長・泉房穂氏と英語圏最大の匿名掲示板「4chan」管理人・ひろゆき氏による共著『少子化対策したら人も街も幸せになったって本当ですか?』(KADOKAWA)より、ひろゆき氏の項の一部を抜粋、再構成してお届けする。

少ない若者が高齢者を支える構造が問題

日本においては残念ながら、今後も少子化が続くことが予想されます。でも、そもそも、子どもが減ると何が問題なのでしょうか。

ひろゆき氏

「子どもが減ったって、普通に暮らせるなら別によくない?」という声が聞こえてきそうなので、少子化の具体的なリスクについて考えてみます。



まず挙げられるのが、生産力の圧倒的低下です。

当たり前の話ですが、子どもの数が減れば、それだけ人口も減っていきます。日本国内で商品を売る企業は、消費者が減れば毎年の売上も下がります。売上が下がれば、研究開発などへの投資もできず、労働者に対する給料も下がり、すべてが悪循環のまま貧乏な国へ一直線です。

すると次に、国外の企業に働き口を求め、優秀な人材が海外へ流れていきます。その結果、日本に残るのは平凡な労働者のみで、そんな日本企業に投資する海外の投資家もいなくなり、経済悪化の悪循環が始まります。やがて多くの企業が倒産し、失業者が増え、道端には路上生活者の人たちが溢れかえるかもしれません。当然、治安も悪化します。地方の過疎化がさらに進み、住民に対する基礎的なサービスの提供が困難になることもありえます。

国内の消費者が減るなら、海外市場に注力すればいいのでは? という考えもあります。現に、少子化が進むシンガポールや韓国では海外輸出を意識した経済政策がとられているので、人口が減っていても経済成長を続けています。ところが、日本においては、あまり実現性がありません。そもそもの話、日本はすでに国際競争に取り残されている状況だからです。

世界競争力ランキングの急降下

国際経営開発研究所(IMD)が作成している「世界競争力ランキング」というものがあります。このランキングは、「企業にとってビジネスをしやすい環境がどれだ け整っているか」を基準に順位付けしたもので、 2022年は、世界の主要63カ国・ 地域の経済力を、「経済状況」「政府の効率性」「ビジネスの効率性」「インフラ」の4つの指標から測定しています。

参考:「世界競争力年鑑」各年版(IMD)

1990年前後に栄えある 1 位を獲得した日本でしたが、2022年の順位は過去最低の34位。特に「政府の効率性」(とりわけ「財政」の項目では62位)と「ビジネスの効率性」で評価が低く、今や「ぶっちゃけ、日本とビジネスするのは厳しいよね」というのが世界の見解です。

ちなみに、経済成長を続ける超少子化国家のシンガポールは、ランキング3位。人口減少による経済縮小においては、高い国際競争力で海外市場に価値を置くことが不可欠になりますが、残念ながら、日本は失速が止まらない状況なのです。

もう1つ、日本の人口ピラミッドからも少子化の問題点が見えてきます。1950年、2015年、2050年(予想)の人口を年齢別に見たものです。

出典:国立社会保障・人口問題研究所ホームページ

人口ピラミッドの驚異的な変化

第1次ベビーブームの直後である1950年は、子どもの割合がかなり多くなっています。それから 65年も経つと、当時産まれた人は定年を迎えて高齢化が加速し、その一方で少子化が日本を襲い、高齢者と若者の比率が逆転に向かいます。実はここが大きなポイント。日本の少子化は単なる人口減少にとどまらず、高齢化という問題を孕んでいるから厄介なんです。

高度経済成長期の60年代は、高齢者1人の年金や税金を現役世代が9.1人で負担するという社会構図でした。ところが、少子高齢化が進んだ今となっては、1人の高齢者を2.06人の現役世代が支える、いわゆる「騎馬戦型」の構図になっています。

出典:国立社会保障・人口問題研究所ホームページ

さらに2060年には、ほぼマンツーマンで高齢者を支える「肩車型」になると予想され、現役世代の負担はえげつないものになります。そもそも、年金や社会保険などの公的制度は、人口増加と経済成長真っただ中につくられたものなので、どちらも見込めない今の時代に機能するはずがないんですよね。

出典:国立社会保障・人口問題研究所ホームページ

さらに、高齢化社会だと、政策もそれに寄り添ったものにならざるをえなくなり ます。高齢者を優遇した政策を打ち出した方が、選挙で当選しやすくなるからです。
日本では不思議なことに、声が大きいのはいつでも高齢者です。政治家からしてみれば、子育て政策を打ち出したところで、少数からしか支持を得られないのであまり積極的になれません。加えて、子育て政策は結果が出るまでに時間がかかるので、その点でも賛同を得づらいというデメリットもあります。

自分がこの世にいない未来よりも今を何とかしてほしいと考える高齢者、そして、マジョリティである彼らに寄り添う政治家は、合理的と言えば合理的です。そんなわけで、日本で少子化を解決するのは、ますます困難になっていくわけです。

子ども1人につき1000万円配ればいい

さて、ここまでひたすら日本のネガティブキャンペーンをしてきたわけですが、悪口ばかりになるのも忍びないので、いいことも少し書いておきます。

2022年10月、いわゆる団塊の世代と言われる75歳以上の高齢者を対象に、医療費窓口負担を2割から3割に引き上げました。高齢化による若者の負担を減らすために頑張った、菅義偉前首相の功績です。この決定にあたっては自民党内でも賛否あり、公明党からは「高齢者負担増では選挙に勝てない」といった懸念もあったようですが、菅さんは現役世代の負担軽減にこだわり、実現にこぎつけました。

ちなみに、不妊治療の保険適用を実現させたのも、菅さんです。「暗い」「何を言っているのかわからない」など、首相時代は結構な批判を浴びていた菅さんですが、その短い任期の間に、現役世代を慮った政策実現に必死で取り組んだ稀有な政治家でもありました。

僕がもし、政治家なら。

これまでにもいろいろな場所で言っていることではあるのですが、例えば少子化対策として、「子どもを産んだら1人につき1000万円支給します」と言ったら、結構解決になるのではないかと思っています。

これを言うと、「そんな予算がどこにあるんだ」という批判が必ず飛んできます。でも、すでに社会保障の予算はなくて、年金をどうやって払うかの見通しも立っていないような状況なので、それこそ国債をバンバン発行すれば、十分に実現可能なんじゃないでしょうか。

国が1000万円を支給してもプラスしかない

1人の生涯賃金は大卒で2.7億円、生涯に払う税金は4000万円が相場だと言われています。よって、国が1000万円を支給しても、元は取れるどころかプラスでしかありません。2021年に生まれた子どもの数は81万1604人なので、8兆1160億円ほどを支給することになります。投資志向のない人ならこれを損失と考えるかもしれませんが、未来の利益を増やしてくれると思えば、むしろ安い金額だと思いませんか?

支給額が数十万円だと、すでに自治体が支給している出産祝い金や社会保障と大 差ありません。既存の社会システムを変えるときには、何かを劇的に変える必要があります。1000万円もらえるなら「毎年子どもを産めば、すごいことになるかも」と生き方を変える人が出てくるかもしれませんし、そうなると、社会システムに徐々に変化が訪れます。

子どもが増えると公共交通機関や商業施設などで親子連れのサービスが充実し、結果的に企業も潤います。住宅や不動産業界、教育機関をはじめ、さまざまな場所で雇用が生まれるでしょう。そうやって、大きな社会変革につながっていくわけです。

長きにわたって続く日本の少子化・高齢化社会に一石を投じるなら、そのくらいのインパクトが必要なんじゃないでしょうか。

『少子化対策したら人も街も幸せになったって本当ですか?』 (KADOKAWA)

泉房穂 ひろゆき

2023年2月1日

1540円

240ページ

ISBN:

978-4046059741

明石市長の泉房穂とひろゆきの少子化をめぐる本音トークの対談!

2011年、兵庫県明石市の市長選で当選し、10年以上、「市民のため」の政策を実現し続けてきた泉房穂氏。
「5つの無料化」をはじめとする少子化対策はこの10年で目に見える成果が出て、今、メディアでも大注目されている。
そして、2023年4月の任期満了をもって、市長を引退する。そんな泉氏とひろゆき氏との対談が見事に実現!

「市長やめる前に聞いておきたいのですが、少子化対策したら人も街も幸せになったって本当ですか?」

少子化対策をすることで、出生率が上がり、人口が増え、税収も増えた。
今では他自治体も少子化対策に乗り出し、2023年には「こども家庭庁」が発足する。
今、その機運が大きく高まっている。

日本が少子化になってどんな問題が起こっているのか。
なぜ市長になってから真っ先に少子化対策に乗り出したのか。
少子化対策と言いながらなぜ経済効果まで現れているのか。
このまま少子化が続くと日本の未来はどうなるのか。

今、すべての人が読むべき一冊がここに誕生!

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