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少子化対策が街の経済好転につながった明石市の市長が、就任後、最初に取り組んだこととは? 子ども予算確保にネックだった2つのポイントとは? 〈ひろゆきが聞く〉

集英社オンライン / 2023年2月21日 11時1分

子育て政策に積極的に取り組んだことで街の経済にも好影響をもたらした兵庫県明石市の行政が注目されている。明石市長・泉房穂氏が12年前に市長に就任した際に一番最初に取り組んだこととは…? 泉氏と「4chan」管理人・ひろゆき氏による対談を収録した『少子化対策したら人も街も幸せになったって本当ですか?』(KADOKAWA)より一部を抜粋、再構成してお届けする。

子育て政策でフォローすべきは高齢者と商売人

ひろゆき いきなりですが、児童手当って、市の権限で勝手に止められるものなんですか?

厚生労働省に掛け合いました。最初は「児童手当を止めるのはやりすぎです」って反対されて。それでも粘ったら、「銀行振り込みを現金手渡しにすることは可能です」と。だから、子どもと一緒に来てくれたら渡しますっていうルールにしたんです。


明石市長・泉氏とひろゆき氏

ひろゆき オムツ定期便もそうですけど、表向きの政策の見えないところに「子どもを守る」っていう本当の目的があって、そのつくり方が非常にうまいですよね。

それは本当に大きなポイントで、やっぱり表向きの見せ方が大事なんですよ。子育て政策っていう大枠で言うと、「この政策をやることで、あなたも美味しい思いをします」って言わないと、子育て層以外の人たちに応援してもらえないから。

ひろゆき そのあたりは少し気になっていました。子育て政策をするにあたっては、やっぱり高齢者とか、子どもを持たない家庭の人とかで、「子どもばっかり優遇して」って怒る人もいるじゃないですか。そういうのはどうクリアしていったんですか?

やっぱり最初は、高齢者と商売系の方の反発が激しかったですね。高齢者からは「わしらの金を減らして子どもを優遇するんか」、商売されている方からは「この不景気で子どもを応援する余裕はない」って言われて。特に高齢者は声も大きいし、街の雰囲気をつくる存在なので、気を遣いました。

ひろゆき 今の時代、高齢者を敵に回すと普通なら勝てないと思うんですが、よくこれだけの子育て政策が実現できましたよね。

市長に就任直後は「すべての地区を回り説得」

最初は失敗もありましたよ。市長に就任したばかりの頃は財源もなかったんで、子育て政策をやるには高齢者のお金を削らないと無理だと思っていたんです。で、何をしたかって言うと、すべての地区を回り説得しました。
年配の人を100人くらい集めて、「皆さん、今までディナーのフルコース食べて、そのうえデザートまで食べてきませんでしたか。これからの時代は、あなたたちのお孫さんがお腹を空かせていますので、ディナーの後のデザートは、ちょっと我慢いただけないですか。その浮いた分で、お孫さんにおにぎりをあげたいと思っています」と。

明石市の名物「明石焼き」

ひろゆき 言い得て妙な表現ですね(笑)。

でも、これが大失敗で。「イヤや! デザートは別腹や! わしらは両方食う!」の一点張り(笑)。地域を15カ所くらい回ったんだけど、ホンマに全部そんな感じなんですよ。まあ今思えば、私もバカなことをしたなと思いますけどね。そこで、高齢者のお金を削るのは無理だと諦めて、方向転換しました。
「あなた方のお金は減らしません。ただ、ちょっと待ってください。子育て政策やってから、必ず力入れていきますので」と。だから明石市は、高齢者のお金は全然削ってなくて、子育て政策が軌道に乗った後は高齢者サービスを充実させているので、今ではむしろ感謝されているくらいです。コミュニティバスの無料化とかね。

ひろゆき 高齢者のバス無料化は、福岡市なんかもやっていますよね。人口増えてうまくいっているところは、むしろ高齢者への待遇も手厚いのかも。

あと商売方面ですが、これも「絶対に儲かるから、ちょっと待っとってください」とお願いしました。子育て政策がうまく機能して家族連れが増えれば、おのずと経済が回ることはわかっていたので。結果、コロナで大阪や神戸に行かんと、地元民が地元でお金を落としまくったので、明石駅前では過去最高の好景気です。今では商売人からの反発もなくなりました。

子ども予算確保にネックだった2つのポイント

一方で、いまだにネックな部分が2つあって。1つは、子どもも高齢者もいないご家庭。もう1つは、下水道業者とか道路関係とか、公共事業に依拠しているような企業層ですね。なぜかと言うと、ここから予算をかなり削ったから。

明石市の名物「明石城」

ひろゆき あ、子ども予算確保のために、公共事業のお金を削ったんですね。確かに、どこかを削らないと動かせませんから。

さんざん言われていることですけど、公共事業ってホンマに無駄が多いんですよ。例えば、以前、予算600億円の下水道の整備計画があったんです。内容を聞いたら、100年に一度あるかないかのゲリラ豪雨に備えて、市内全域の下水道管を入れ替えると。それをやらなかったらどうなるんって聞いたら、「大変なことになります。10軒くらいのお家が床上浸水の被害に遭います」と。

ひろゆき 100年に一度あるかないかの災害で、被害が 軒の床上浸水。床上浸水してしまったお家に1000万円支給した方が早いですね(笑)。

そんなん、「私が10軒回って謝りに行く」と言いました。そのために600億円って、どんなバランス感覚やねん。結局、入れ替えじゃなくて重点化して、予算を150億円に抑えました。 150億円で済むことに、過度に予算をかけすぎてるんですよ。
災害対策もそうです。災害対策って言ったらみんな反論できないと思っているのか、何十億もかけてハードを整備したりするんですよ。それで実際に災害が起きて、結果、1軒の民家が助かりました、と。

そんなの、災害のときにはお家の方はすでに逃げてはるし、数千万円で家を建て直すことだってできるのに、何十億も使ってどないすんねん。でもやった人たちは、「市民の財産を守った」と、いかにもそれが正しいみたいなスタンスなんです。明らかにコストバランスが合っていないじゃないですか。

子どもも高齢者もいない家庭や独身者からの反発は?

ひろゆき まあぶっちゃけ、工事をやることが目的ですからね。

その通りです。山奥の道路整備や災害対策をやって、土建業者にお金を落とす。そんなこと続けていたらお金がいくらあっても足りないんで、そのあたりを適正化した感じですね。

明石市の名物「明石大橋」

ひろゆき 子育て政策に関しては、子どもも高齢者もいないご家庭や独身者からの反発も、結構あるんですか?

反発というか、やっぱり納得いかない方はいらっしゃるでしょうね。でも、正直なところ、何かに特化した政策を成し遂げるには、どこかに我慢が生じるのは避けられないんです。やっぱり「みんなハッピー」的なパッケージの政策は、効果もなかなか出づらいので。

ただ決して諦めているつもりはなくて、「順番だから、少々お待ちを!」って言っている状態かな。どうしようかなぁと思いながらね(笑)。

『少子化対策したら人も街も幸せになったって本当ですか?』 (KADOKAWA)

泉房穂 ひろゆき

2023年2月1日

1540円

240ページ

ISBN:

978-4046059741

明石市長の泉房穂とひろゆきの少子化をめぐる本音トークの対談!

2011年、兵庫県明石市の市長選で当選し、10年以上、「市民のため」の政策を実現し続けてきた泉房穂氏。
「5つの無料化」をはじめとする少子化対策はこの10年で目に見える成果が出て、今、メディアでも大注目されている。
そして、2023年4月の任期満了をもって、市長を引退する。そんな泉氏とひろゆき氏との対談が見事に実現!

「市長やめる前に聞いておきたいのですが、少子化対策したら人も街も幸せになったって本当ですか?」

少子化対策をすることで、出生率が上がり、人口が増え、税収も増えた。
今では他自治体も少子化対策に乗り出し、2023年には「こども家庭庁」が発足する。
今、その機運が大きく高まっている。

日本が少子化になってどんな問題が起こっているのか。
なぜ市長になってから真っ先に少子化対策に乗り出したのか。
少子化対策と言いながらなぜ経済効果まで現れているのか。
このまま少子化が続くと日本の未来はどうなるのか。

今、すべての人が読むべき一冊がここに誕生!

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