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「防犯ステッカーは気休め」「ダミーカメラは見破られている」…日本防犯学校のプロが教える、本気の空き巣・強盗対策

集英社オンライン / 2023年2月26日 11時1分

相次ぐ強盗事件の影響で、巷では急激に防犯グッズが売れているという。空き巣や強盗を寄せつけないための防犯効果の高い定番グッズとは? 逆に役立ちそうで実はさほど役立たないものは何か? 防犯アナリストの桜井礼子さんに訊いてみた。

防犯グッズでは強盗の侵入を防げない!?

──早速ですが、どんな防犯グッズが防犯効果が高いのでしょうか?

防犯グッズで強盗の侵入を防ぐということはあまり考えない方がいいかなと思います。空き巣のような泥棒には、効果があると思うんですが、昨今の強盗事件では強硬な手段で襲撃してくるので、簡単には防ぐことが難しいでしょう。やはり、日ごろからの防犯意識を高めることが重要です。

──日ごろから防犯意識を高めるとは、具体的にどういうことでしょうか?



自分たちが生活をしていく上で、犯罪被害に遭わないための「生活の仕方」を徹底することです。これを私ども日本防犯学校では「防犯生活」って呼んでいます。

結局、防犯はお金をかけるか、手間をかけるかになるんです。後者の手間をかけて防犯するのが「防犯生活」にあたります。すぐにできることばかりです。

例えば、都市・地方関係なく、盗難被害にあった半数の家がカギをかけていないという事実があります。簡単なことですが、まずは人がいる時でも鍵をかけた生活をしてください。

鍵をかけた生活習慣が身についてくると、「うちは鍵をかけただけで大丈夫なのかしら?」と新しい意識のスイッチが入るんですよ。そうすると次のステップが見えてきて、さらに防犯意識が高くなるわけです。防犯グッズ、ひいては防犯システムを考えるのはそこからです。

加えて、ご近所さんに道端で会ったときは「ちゃんと鍵かけて生活してる?」って気軽に声をかけて、みんなで確認し合うようになっていただければ、地域住民全体で防犯意識が高まり、犯罪者につけ入るすきを与えません。

──つまり、地域住民の意識で、強固な防犯システムをめざすわけですね……

ご近所は顔見知りが多いわけですから、そこで「最近、変な人がウロウロしているね」とか「見たことのない車がたびたび止まっているね」っていう話題を地域全体で共有すると、「ちょっと心配だから、これ警察に通報した方がいいわよね」って、そういう風にもなるわけですよね。

110番通報をすると必ず警察は来ますから、犯罪者からすれば、このエリアは住民の目が光っていてヤバいな」となる。そうして地域全体が犯罪者のターゲットから外れるわけです。

実際、逮捕された泥棒に警察がアンケートを取ったんですが、“人に顔を見られて、声をかけられる”のが一番嫌だと。不審者・不審車両を見たら、顔を見て会釈するとか、あいさつなどの声掛けするととても効果的です。

──狛江市の強盗殺人事件では、事前に不審者や不審車両2台が現場付近を下見していたとみられていますね。

犯罪者はターゲットの家に入る前に必ず下見をします。だからこそ、地域の目で危険を察知し、情報を共有することが重要なんです。

防犯グッズは使い方が重要!

──ひとり暮らしの多い場所や引っ越して間もない場合など、近所付き合いが難しい場合もあると思うのですが、そんな時はどうすればよいですか?

防犯生活をした上での話ですが、防犯カメラを設置しましょう。その地域の人の目の代わりになるのが防犯カメラです。犯罪者は捕まりたくないっていうのが、一番最初に来るわけです。だから、カメラに映り、自分の顔を覚えられるのが嫌なわけですから、抑止効果になります。

その一方で、ダミーカメラはあまり抑止効果はないです。最近は精巧な作りになっていて、はっきりと本物との見分けがつきませんが、ダミー1台つけても、防犯対策をしていない箇所が目立ってしまい、犯罪者にはバレてしまいます。
防犯はあくまでも総合的でなければなりません。また、ダミーカメラばっかりもなしでしょう。たくさんある本物の防犯カメラの中の1台に混ぜるのは意味があるかもしれませんが……。


──防犯ステッカーは安価で、貼るだけなので手軽ですが、いかがですか?

防犯ステッカーだけだと、やはり、いろんな角度から見て、防犯対策が施されていないことが、目で見てわかってしまうので。そこに住んでいる方たちの気休めレベルにしかならないと思います。

──防犯ライトとか、防犯砂利とか、カメラのほかに有効なものありますか?

もちろんありますが、防犯グッズ単体でどうとかではなく、使い方が重要なんです。ただ設置すればいいというものではないんです。

今回の一連の強盗団のターゲットは、戸建て住宅が多いわけですが、その家が高いブロック塀や生垣で囲まれていて、住宅の敷地の中が見えにくい状態になっていたりすると、それが逆に犯罪者にとって、都合のいい環境になるんです。通りからまったく見えないわけですから。そういった見えにくい環境を犯罪者は見ています。

そこで敷地に、大きな音の出る防犯砂利をたっぷり敷いておくわけです。窓の下、勝手口の周りなど。そうすることで防犯グッズが活かされるわけです。ただやみくもに砂利を敷いても意味がありません。
また、音がよく出るように、砂利の下には防草シートをしきつめ、土の中に砂利が埋もれないようにするのがいいでしょう。また、センサーライトも設置して、敷地の明るさを補強してください。

防犯アナリストの桜井礼子さん

他にもある要注意な犯罪の予兆

──家がどんな環境にあるのかを把握して、手薄な場所を補完するように防犯グッズを使うのですね……

今は、「防犯環境設計」って言葉があるくらいなんですよ。家を建てる周りの環境に沿った防犯設計をしましょうと。設計の段階で防犯を入れ込んでおくと、それだけで防犯性の高い住宅が出来上がるわけです。たとえば、塀や生垣の場合は1200~1400ミリの高さにする。出来れば見通しの良い縦線のフェンス(高さは1800~2000ミリ)にすることをお勧めします。これは外からの見通しをよくするためです。

防犯をきちんと学んだ建築屋さん、工務店さんに相談なさっていただきたいです。


──ちょっと最後にお聞きしたいのですが、知り合いの一人暮らしの女性が、引っ越し先のガスメーターにアルファベットが書いてあって、泥棒に下見されているのかと怯えていたのですが、こういったケースはどう対処すればよいですか?

マーキングですね。ターゲットの下調べ情報を暗号みたいな形で残すわけです。空き巣や悪質な訪問販売などで使われたりします。
例えば、女性の一人暮らしだったらウーマンの「W」。シングルの 「S」とか「1」。この人は8 時に出て行って、18時に帰ってくるっていうことであれば 「8 ~18」。パッと目につかない場所(水道メーターやガスメーター)に記しておくわけです。

対策としては、不審ないたずら書きがあるっていうのがわかった時点で、すぐにそれは消してください。「ひょっとすると、なんか狙われているのかな?」という意識を持ってください。

それでも心配な方は「#9110」にかけてください。
犯罪や事故に当たるのかわからないけれど警察に相談したいことがある場合の警察相談専用電話です。電話をかけた地域を管轄する警察本部などの相談窓口につながります。相談すれば、的確なアドバイスがあるかと思います。

取材・文/集英社オンライン編集部

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