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〈特殊詐欺グループ逮捕〉暴力団関係者が語る、渡邉優樹・今村磨人両容疑者らを待ち受ける日本刑務所の“洗礼”とは? 「仲間に罪をなすりつけていたらいじめの対象になる」

集英社オンライン / 2023年2月24日 20時5分

2月9日までにフィリピンから日本に強制送還、逮捕された渡邉優樹・今村磨人の両容疑者を含む4人の特殊詐欺グループメンバー。取り調べでの具体的な供述は明らかになっていないが、「臆することもなく落ち着いた様子だ」「示し合わせたように黙秘している」と、いくつかのメディアが報じられている。しかし、彼らが指示役であることを認めないと様々な“デメリット”があるのだとか。暴力団関係者が語る。

罪をなすりつけ合う渡邉容疑者ら

「すごいね、あの人たちって」

彼らに直接会ったことがあるというフィリピン、マニラの警察官が、そう言って驚いていたと、ある暴力団関係者は明かした。
「何がすごいのか」と聞けば、「罪のなすりつけ合いがすごかった」というのだ。



「その警察官は少し日本語がわかるから、『ここからここまでは自分がかぶってやるが、ここからはお前がかぶれ』とか『××円払うから、こうしてくれ』といった会話を聞き取っていたようだ。日本から記者がやってくるようになると、罪のなすりつけあいがエスカレートしていたらしい」(暴力団関係者)

ビクタン収容所に集まる日本人記者たち

渡邉優樹容疑者と今村麿人容疑者の収容先だったフィリピンのビクタン収容所内で口裏合わせをする動画が2月11日に「サタデーステーション」(テレビ朝日系)で公開されたが、暴力団関係者は「その警察官が見た時は、こんなものではなかったらしい」と話す。
渡邉容疑者は動画の中で、終始、自分が指示役として報じられることを嫌がり、今村容疑者も「俺が指示役だって言うのはやめてよ」と話していた。その様子を見た暴力団関係者は「罪を押し付けあっても、刑期はあまり変わらないのにな」とあざ笑う。

指示役はこの男たちなのか、それとも黒幕がいるのか。
裏に暴力団組織がいるとも囁かれているが、「たとえどこかの組がケツ持ちをしていたとしても、(その組は表に)出てこないだろうな」と、ある暴力団幹部は話す。

暴力団組織が嫌うのは、この件で新たに逮捕される人物がいたとして、その中に現役組員が含まれていることだ。組織はどこも特殊詐欺を禁じ、見つければ処分して組長が使用者責任を問われることを避ける。渡邉容疑者らが組織と関係を持っていたのは20代の頃で、それ以降の関わりはまだ見えてきていない。

いじめは陰湿なものから暴力までさまざま

暴力団幹部は「黒幕にマニラ在住の日本人の名が挙がっている」と言うが、たとえ黒幕がいたとしても、渡邉疑者も今村容疑者も重い量刑となることは免れないだろう。

「詐欺だけでもすごい件数だが、強盗だけでも何十件という数だから有期刑なら刑期の最長は懲役30年。それに人殺しが加われば求刑は無期懲役だろう。もしそいつが指示役なら死刑が求刑される可能性もある」(暴力団幹部)

懲役刑ですんだとしても、自由を金で買えて、やりたい放題だったビクタン収容所での暮らしとは雲泥の差となる。

ビクタン収容所内部の様子

「ビクタン収容所はあんな汚い所だが、清潔な日本の留置所よりはるかに自由がある。
一方、日本の刑務所暮らしは単調な日々。他の囚人らと関わらなければならないし、出役(しゅつえき=工場での刑務作業を指すムショ用語)しなければならない。
食事でそばが出たとしてもすする音さえしない、食器同士がぶつかって音がしたら全員がそっちを振り向くほどの静けさだ。鼻をすすれば『失礼しました』、工場の清掃では動くたびに『前を失礼します』などと先輩囚人に言わなければならない。1人でも飛ばしたら、最初からやり直しだ」(暴力団幹部)

刑務所内では犯した罪によってヒエラルキーがあり、上から殺人、強盗、放火などとランク付けされる。性犯罪や詐欺はランクが低くて他の囚人からいじめられやすいと聞くが、暴力団幹部いわく、

「罪状に関係なく、ヤツらが堂々と自分が今回の連続強盗事件の指示役だと言ってムショに入ったなら、周りは誰も何も言わない。
だが、罪をなすりつけあっている様子がテレビに流れれば、見下げ果てたヤツと認識され、いじめの対象になりやすい。特に組織や仲間をうたわない(売らない)という鉄則がある暴力団組員の囚人からの目は厳しくなる」

※写真はイメージです(shutterstockより)

いじめは陰湿なものから、暴力的なものまで多種多様だそうだ。

「刑務所では毎月、預けてある留置金で日用品や書籍を自費で購入できるが、他の囚人たちから日用品や本をたかられるし、取り上げられることもある。
暴力的ないじめになると、みんなで耳を引っ張るなどはかわいいもので、殴られることも少なくない。殴られるのはアザが残らない腹だし、刑務官も長くいる囚人をひいきにするから、多少のことには目をつぶる。
出役した工場が溶接工場であれば、服で隠れる箇所に真っ赤に熱した溶接棒を押しつけられることもある。やる方も懲罰覚悟だが、生意気なヤツは運動、出役などで廊下に整列した途端に襲いかかられることもある」(暴力団幹部)

今村容疑者は“黒鳩を飛ばされる”…?

今村容疑者と少年刑務所で一緒だったことがあるという暴力団組員は、当時の今村容疑者についてこう語る。

「今村のことはみんな“今ちゃん”と呼んでいた。たぶん25~26歳ぐらいだったと思う。キャラが面白いこともあって、いじりやすかった記憶がある。確か刑期は2年ぐらいで、自分の罪名は言わなかった。他の囚人らと刑期から推測して、窃盗か取り子、オレオレ(詐欺)かと噂していた。詐欺で捕まればかなりいじられ、からかわれる。今村はすっげえいじられていたし、罪名を言わないからバカにされていた」

現地で報道される渡邉容疑者と今村容疑者

刑務所内では性犯罪と詐欺は他の犯罪と分けて見られ、特に強姦犯は名前で呼ばれることなく、二言目には“ツッコミ”(ムショ用語で強姦犯のこと)と呼ばれ、笑われてしまう。

この暴力団組員も、前出の暴力団幹部同様、今村容疑者の今後について「自分が全部認めてムショに入れば見方も変わるが、他の容疑者に罪をなすりつけるようだと舎房での扱いも悪くなる。そうなれば“黒鳩”を飛ばされることになる」と話す。

“鳩を飛ばす”とは伝書鳩に由来し、伝言を飛ばすことだ。
工場での作業中は基本的に会話が禁じられているが、囚人どうしでこっそり伝言を広めて、いじめのターゲットを定める。これを“黒鳩を飛ばす”という。
一方で、面倒を見るように伝言することを“白鳩を飛ばす”というそうだ。
暴力団組員によると「白か黒か、どちらが飛ばされるかはそいつの人間性しだい」とのこと。

指示役と認めることでメリットも

渡邉容疑者ら4人はスマホ13台とタブレット端末2台、強盗事件で逮捕された実行犯らの携帯も所持していたが、「今、ヤツらは押収されたスマホの情報がどれくらい“めくれる”(犯行が発覚する)か、冷や冷やしているだろう」(暴力団幹部)という。
もし一連の連続強盗事件の指示役だと自ら認めれば、あくまで刑務所内では今村容疑者らにとってメリットも大きいと前出の暴力団幹部は話す。

「待遇や周りの見る目はほとんど変わらないが、虐げられることはないだろう。むしろ有名人だから、自分が外に出たときは金銭面などで利用できるんじゃないかと、かわいがるヤツがいるかもしれない」

※写真はイメージです(shutterstockより)

事件の実態が明らかとなり、裁判で刑が確定し収監された時、今村容疑者らは他の囚人らの前で堂々と自らの罪名を語るのだろうか。

※「集英社オンライン」では、今回の事件について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。
メールアドレス:
shueisha.online.news@gmail.com

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@shuon_news

取材・文/島田拓
集英社オンライン編集部ニュース班

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