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猫まんまにカリカリ、かつおぶし…猫は本当にお魚好き? 猫ごはんにまつわる意外すぎる3トリビア

集英社オンライン / 2023年3月4日 11時1分

気まぐれツンデレな猫は、毎日のごはんも気分しだい…? 猫のごはん事情で困る飼い主のお悩みに応えるべく、『猫はなぜごはんに飽きるのか? 猫ごはん博士が教える「おいしさ」の秘密』から一部内容を抜粋・再編集してお届けする。

「一杯目のビールはおいしい」は猫も一緒?

猫には「新しいもの好き」(ネオフィリア)という性質があります。これは肉食動物に共通する性質でもあるのですが、同じものを連続して食べると「おいしさ」が極端に減退してしまうのです。例えば、猫が二匹のネズミを連続して捕食したとすると、二匹目の味覚的な目新しさが極端に弱くなり、おいしく感じなくなります。人間でいうと、ビールの一杯目はおいしいのに、二杯目はそうでもなくなる……という感覚ですね。


©︎深川直美

では、いったいなぜ、猫は「新しいもの好き」になったのでしょうか?

人間と同じで、猫も同じものばかり食べると栄養が偏ります。ネズミを捕食するだけでは、猫の体に必要な栄養素を十分に補うことはできません。猫が適切な栄養バランスを保つには、さまざまな獲物を捕食する必要があるのです。

また、肉食動物である猫が獲物とするネズミなどの小型哺乳類は、猫よりも数が豊富だとはいえ、植物に比べると格段に少ないのです。もし猫が新しいもの好きではなかったら……「なんだろうこの生き物、見たことないぞ。うーん、食べるのはよそう」と、貴重な捕食の機会を逃すことになってしまいます。

つまり、野生の猫は「新しいもの好き」の性質のおかげで、特定の種類の獲物ばかりに執着せず、幅広い獲物を食べて栄養バランスをとりながら生き延びてきたのですね。

猫の理想の食事回数は1日3食…ではない?

皆さんのお宅では、1日何回ごはんをあげていますか? 一般的な家庭では、猫(成猫)の食事回数は1日2、3回程度と言われています。キャットフードメーカーの多くも、同様の回数を推奨しています。
しかし、野生の猫の食事回数はというと……なんと10回以上!

ある研究では、いつでもごはんを食べられるようにしておいたところ、1回6〜8グラム程度の量を、1日あたり13〜16回食べていたという報告も。このように、本来猫は頻回小食、つまり「ちょこちょこ食い」の動物なのです。

こうした習性から、猫の胃は、他の動物と比べて大きく膨らまず、食べ物をため込むことが苦手です。たとえば、大型哺乳類を捕食するライオンやオオカミは、体重の4分の1から5分の1の量を「食いだめ」できますが、猫はカリカリを12時間程度しか胃の中にとどめることができません。しかも、短時間に一気食いすると、吐き戻してしまいます。

つまり、「1日に2〜3回」という猫の食事回数は、人間が1日10回も食事を用意するのが難しいため、現実的な妥協点として設定されているのです。なので、猫がカリカリを少しかじってどこか行ってしまうようなことがあっても、「おいしくなかったのかな?」と慌てないでくださいね。これが猫本来の快適な食事スタイルなのです。

最近では一袋あたり3〜5グラム入りの「小分け」のおやつも販売されているため、うまく使えば1日の食事を猫本来の食事回数に近づけることができるかもしれません。

「猫は魚好き」のイメージは日本だけ?

猫の魚好きは日本各地に残る猫伝承の中にも垣間見られます。みなが貧しい生活を送るなかで、毎日魚を与えられてかわいがられた猫が、和尚さんのお寺を繁盛させたり、生き別れの父子を再会させたりと、その恩に報いるという伝承は各地に残っています。反対に、魚をぬすむ泥棒猫のエピソードも数多くあり、日本では「猫=魚好き」というイメージが古くから根付いていることが伺えます。

このように根付いてきたイメージもあって、お店に並ぶ国産のキャットフードには、チキンやビーフなどの肉味以上に、マグロやカツオ、タイなど魚味の商品が目立ちます。ところが、海外のキャットフードは肉味が主流で、日本以外では猫が魚を食べるイメージにあまりピンとこないようです。これはいったいどうしてなのでしょうか。

©︎深川直美

実は、日本に根付いている「猫=魚好き」というイメージは、古くからの日本の魚食文化に影響を受けたからだといわれています。日本の猫が爆発的に増えた江戸時代まで、人々は仏教の五戒の一つである「不殺生戒(殺生の禁止)」から肉食が禁止され、タンパク質を魚から得ていました。人間と一緒に暮らしていれば、その食の好みは大きく影響するもの。それゆえ、日本の猫は魚好きとなったと考えられています。一方、古くから狩猟文化が根付いていた西欧諸国では、猫はもちろん犬も肉食だと信じる人が多く、獣の肉こそが「自然」な食べ物だと考えられていました。

つまり、「猫=魚好き」というイメージは日本人の食生活に猫がなじんだ結果であって、海外の方にはこのイメージが理解出来ないということのようです。

猫はなぜごはんに飽きるのか?
猫ごはん博士が教える「おいしさ」の秘密

岩﨑永治

2023年2月22日発売

1760円(税込)

四六判/176ページ

ISBN:

978-4-8342-5362-7

本書では、ペットフードメーカーで日々猫の栄養学を研究する「猫ごはん博士」である著者ならではの視点で、猫の感じる「おいしさ」について丁寧に解説していきます。
「肉食」である猫ならではの食性から、食事以外の「ハンター」としての猫の習性まで、様々な面から猫について理解を深めていくことで、猫と今以上に良い関係を築いていけることでしょう。

また、「猫が思うようにごはんを食べてくれない」、この問題を解決するためには、ご自宅の猫がどのようなタイプなのかを把握することが大切です。
そのため、本書では巻頭に猫ごはんのお悩み別にタイプ分けを行う診断チャートを掲載しています。
ご飯を食べてくれない原因が何なのかを把握することで、一歩お悩みの解決に近付くはずです。

さらに、本書の巻頭と巻末には「ネコロポリス計画定例集会」の著者であり本書のカバーイラストも手掛けている、深川直美氏による描き下ろし猫マンガを掲載。
各章末にはくすっと笑える一コママンガも──。楽しく読める一冊になっています。

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