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「課題炎上付箋」「四角いガムテープ」はなぜ生まれた? 「見立てる」「ちょっと変える」2つの発想法が喜ばれるアイデアを生み出す

集英社オンライン / 2023年3月9日 11時1分

アイデアクリエイターのいしかわかずやさんいわく、アイデアは「ちょっと変える」「見立てる」の2つの手法で生み出せるという。著書『「ありそうでなかったアイデア」のつくりかた』より、アイデアを生み出す発想法を一部抜粋・再構成して紹介する。

大半の人が、「発想法」を意識せずに、闇雲にアイデアを考えているのではないでしょうか。
類似アイデアを見て真似したり、使い慣れていない発想法をいくつも使って、苦しいなかでアイデアを考えていたり。
「なにを考えるか」の前に、「どうやって考えるか」に迷ってしまう人が大半です。

一方で、自信の持てる発想法を知っていると、考えるスピードは格段に早くなり、アイデアを考える負荷も軽くなります。


「どうやって考えればいいのだろう?」と迷いながら考えるのではなく「まずはあれを考えて、そこから次はこれを考えて」と、やるべきことが明確になります。
思考がシンプルになり、考える際のストレスも軽減されるため、アイデアを考えることに注力できるのです。
それでは、私がおすすめする「人とかぶらず、ありそうでないアイデアを生み出す最強の発想法」をみなさんにご紹介していきましょう。

「要素」と「要素」を組み合わせる

お伝えしたい発想法は、「見立てる」と「ちょっと変える」のたった2つです。
まずは「見立てる」発想法についてご説明していきます。
これは「既存の要素どうしの組み合わせ」でアイデアを生み出す手法であり、おもに「製品×他事象」の化学反応で成り立ちます。
「5秒で伝わるアイデア」を考えるにあたってとても有効な手法のひとつです。

では具体的に、なにをどう見立てるのか。
見立てる発想法で生み出したアイデアをいくつか紹介していきます。

ひとつめは「課題炎上付箋」です。これは「付箋」を「炎」に見立てたアイデアです。
解けない問題があるページに炎型の付箋を貼ることで、課題が燃えて教科書が炎上しているように見えます。
そして燃えているのを見て、焦って消火(勉強)したくなる効果があります。
このアイデアは、どんな手順で生まれたのでしょう。簡単に説明します。

まずこのアイデアは、「課題を解決する」アプローチで考えています。
「付箋」の課題を考えてみたところ、「貼られている付箋の意味がわからない」「そもそも勉強や宿題をやらない」といったことが見えてきました。
そこで、解決法として「焦らせることで勉強させる」付箋ができたら、価値のあるアイデアになると考えました。

では、それを実現するにはどんなアイデアが必要か。
ここで「見立てる発想法」の出番です。
「焦る」という言葉からイメージするものを考えます。
そこで浮かび上がったのが、「炎」でした。
この「炎」を「付箋」で見立てたことで、「炎に見立てた付箋」のアイデアが生まれました。

また、付箋を炎に見立てたことで、「炎上させて焦らせることで勉強や宿題を促す」という価値が生まれましたが、それで終わりではありません。より「強いアイデア」にするには、その他の付加価値も必要です。
「炎の大きさによって問題の優先順位を可視化できる」
「消火と、知識として消化することがかかっているから、意図がわかりやすい」
こういった価値も見えてきたため、いいアイデアだと感じました。

見立てた事例「お米の両面テープ」

見立てる発想法で生み出したアイデア、2つめの事例は、「お米の両面テープ」です。
これは、見たとおり「お米」に見立てた「両面テープ」です。
指にくっつけることで、指1本で本のページをめくることができます。
乾燥肌の人にとって、とても嬉しいアイテムです。
このアイデアは、どんな手順で生まれたのでしょうか。

このアイデアも、アプローチの種類としては「課題を解決する」でした。
製品の課題ではなく、「指が乾燥して、本のページがめくりづらいときがある」という、行動における課題に着目しました。
そしてこの課題は、「指に紙がくっついてくる」「指1本でめくれる」アイデアによって、解決できると考えました。
そこで、「指にくっつくものといえば?」と考えたところ、浮かんだのが「お米」でした。
こうして、お米に見立てた「指につける両面テープ」というアイデアが生まれました。

このアイデアの価値も、「指1本でページがめくれる」だけではありません。
「お米に見立てたことで、くっつくアイテムだとすぐにわかる」
「乾燥肌の人用に、粘着力が強いもち米。女性用に、細いタイ米など、みんなが使いやすいようにお米にバリエーションを設けられそう」
といった付加価値も見えたため、いいアイデアだと感じました。

見立てる発想法について説明しましたが、じつはこれ、みなさんが日常の中で無意識に実践している考え方なのです。
それは、会話するときの「たとえ話」です。
私たちは、ある内容をわかりやすく相手に伝えるために、「別のモノに見立てて話す」ということを無意識に行っています。
そう考えると、さらに簡単に感じると思います。
「たとえ話」を考える感覚で「見立てるアイデア」を実践してみると、案外スムーズにアイデアを生み出せるということです。

製品の特徴をちょっとだけ変える

もうひとつ、最強のアイデア発想法をご紹介します。
それは、既存の製品を「ちょっと変えて」アイデアを生み出す手法です。
日常を便利にしたり、課題を解決したりするアイデアは、発明といったものではなく、意外にも「ちょっとの工夫」で生まれていることが多かったりします。
人間が五感で感じる「形」「色」「香り」「素材」などを少し変えることで、「課題を解決する」、あるいは「特徴をさらに伸ばす」。
これが、ちょっと変える発想法です。
この手法によって生み出したアイデアをいくつかご紹介しましょう。

ひとつめは、「四角いガムテープ」です。
当たり前に使っているガムテープですが、「これ、なんで丸いんだろう?」と思ったことはありませんか?
ガムテープの形を変えるだけで、なにかよくなることがあるのではないか?
こう思ったことがアイデアを考えたきっかけになりました。
そこで考えてみようと思ったのが、「ガムテープの課題を解決するアイデア」です。
ガムテープはみんなが使うアイテムなので、使いづらい課題を解決すれば、みんなに「共感」と「驚き」を与えられるのではないかと考えました。
そして、まさにこの「四角いガムテープ」は、それを達成できたアイデアだと思います。
形を「丸」から「四角」に変えただけで、「転がってしまう問題」を解消し、「均等な長さで切れる」や「陳列しやすい」といった付加価値が生まれました。

ちょっと変えた事例「フリクション判子」

「ちょっと変える」発想法で生み出したふたつめのアイデアは、「フリクション判子」です。
私もそうですが、自分の名前をうまく書けないと悩んでいる人は結構多いと思います。
そして、それは自分のせいだと諦めている人も多いのではないでしょうか?
でも、私は諦めませんでした。
ちょっとの工夫で「自分の名前をきれいに書く方法」があるのではないかと、思ったのです。
そこで、名前をうまく書けないという「日常の課題を解決する」というアプローチで、アイデアを考えてみました。

そして生まれたのが「フリクション判子」です。
判子のインクを消せるようにすることで、上からペンでなぞるだけで確実に名前をきれいに書くことができます。
ご祝儀袋などの失敗できない場面で活用いただけるでしょう。

「ちょっと変える」発想では、「どの部分を変えたのか」によって生まれるアイデアもまったく異なってきます。
たとえば鉛筆のアイデアを考える際に、「形を変えたアイデアなのか?」「色を変えたアイデアなのか?」「素材を変えたアイデアなのか?」によって、同じ「鉛筆」という対象でもまったく違うアイデアが生まれます。
つまり、変える部分のバリエーションの幅をもっていると、ひとつの製品に対して複数のアイデアを生み出せるようになるのです。

「見立てる」発想法と「ちょっと変える」発想法で生まれたアイデアを紹介してきました。
見ていただいておわかりのように、どのアイデアも、この2つの発想法でシンプルに考えられたものばかりです。
思考の過程をお見せしてしまうと、意外と単純なことなのです。
みなさんのアイデア発想に役立てていただけるとともに、「アイデアを考えることって、難しいことじゃないんだ」とも思っていただけましたら幸いです。
これを実践していただければ、かならず「ありそうでなかったアイデア」が見つかることでしょう。

「ありそうでなかったアイデア」のつくりかた

いしかわかずや

2023/1/20

定価:1,848円

ページ数:336ページ

ISBN:

‎ 978-4-295-40790-4

「なにか良いアイデアだしてよ」

会社でこう言われること、ないでしょうか?
いまは「アイデア」がとても重要な時代です。
ビジネスで求められるアイデアのハードルも高くなり、
新商品の企画が社内で募集され、何日もかけて必死で考えたにもかかわらず
「それ、ありがちだよね」「なんか驚きが少ないなぁ」と言われるのがこのご時世です。
しかしじつは、方法さえ知ってしまえば、誰でも良いアイデアは考えられます。

「課題炎上付箋」→「コクヨ」主催デザインコンペファイナリスト
「筆跡がわかるえんぴつ」→「シャチハタ」主催デザインコンペ受賞
「四角いガムテープ」→20.5万いいね、2.9万RT
「繁華街になる付箋」→11万いいね、1.8万RT

著者が生み出し、大きな話題をよんだこれらのアイデアも、
「たった2つの発想法」によって生み出されています。
本書では、このほかに「30のアイデア」を紹介しながら、その発想法をお伝えします。

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