筆者は、オーディオライターとして日頃から数多くの製品に触れていますが、久しぶりに心躍る新製品に出会いました。それは、充電ケース部分にスマートタッチディスプレイを搭載したJBLの左右独立型ワイヤレスイヤフォン「Tour Pro 2(ツアープロ2)」です。
【3/10発売】世界初「ディスプレイ付き充電ケース」を付属。JBLの最新ワイヤレスイヤフォン「Tour Pro 2」にオーディオマニアが心躍る理由
集英社オンライン / 2023年3月9日 12時31分
米国発の老舗オーディオメーカー・JBLが、最新の完全ワイヤレスイヤフォン「Tour Pro 2(ツアープロ2)」を明日3月10日に発売する。本製品の特徴は、充電ケースにスマートタッチディスプレイを搭載していること。このディスプレイによって、日々の音楽リスニングはどう変わるのか。オーディオライター・山本敦がレビューする。
世界初「スマートタッチディスプレイ」付きの充電ケース
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JBLの「Tour Pro 2」では、充電ケースに搭載されたスマートタッチディスプレイで、音楽再生やイヤフォン機能をリモート操作できる(https://jp.jbl.com/TOUR-PRO-2.html)
Tour Pro 2の価格は3万3000円(税込)と、同カテゴリの製品としてはハイエンド寄りの製品ですが、人気のApple純正の完全ワイヤレスイヤフォン「AirPods Pro(第2世代)」よりも7000円近く安価なのが魅力です。
本稿ではAirPods Proとの比較を交えながら、新鋭の左右独立型ワイヤレスイヤフォンの魅力に迫りたいと思います。
充電ケースがイヤフォンのリモコンになる!
JBLの「Tour Pro 2」は、AirPods/AirPods Proなどと同じく、スティック型のデザインを採用しています。
機能面では、こちらもAirPods Pro同様に、音楽リスニングや通話音声以外の不要な環境雑音を消す「アクティブ・ノイズキャンセリング(ANC)」や、外を歩きながら安全に音を聞くために重要な「外音取り込み」機能に対応しています。
そのほかにも、2台のデバイスに同時接続可能な「マルチポイント」やワイヤレス充電に対応するなど、今どきのワイヤレスイヤフォンに求められる機能は幅広く網羅している印象です。
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「Tour Pro 2」はブラックとシャンパンゴールドの2色展開
そして本製品最大の特長は、なんといっても「充電ケースがリモコンになる」こと。本稿執筆時点(2023年3月3日)で、同様の機能を搭載する左右独立型のワイヤレスイヤフォンは、筆者が知る限りほかにありません。
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曲送りや音量のアップ/ダウンが、充電ケースだけで操作可能
充電ケースには、小さなスマートタッチディスプレイ(カラー表示)が搭載されており、これを操作することで、イヤフォンのあらゆる挙動をコントロールできます。
たとえば、音楽再生の曲送りや音量のアップダウンはもちろん、ノイズキャンセリングと外音取り込みモードの切り換え、イコライザーによる音のバランス調整、立体感を加える「空間オーディオ」モードの選択、そして液晶を強く光らせてフラッシュライトとして使う機能など、対応する機能もとても充実しています。JBLによると、今後ソフトウェア・アップデートによって機能が追加されていくようです。
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ノイキャン機能のオン・オフ、イコライザーの選択など、現在のステータスが視覚的に確認できる
イヤフォンの「操作が覚えられない」問題が解決
本当のことを言うと、筆者は当初、イヤフォンの充電ケースにディスプレイが搭載されることの価値がよくわかっていませんでした。ところが、本製品を一度使ってみたら「もう充電ケースにディスプレイが付いていないイヤフォンに戻れない」と思うほど気に入りました。
冒頭にもお話ししたとおり、筆者は職業柄、普段から多くのワイヤレスイヤフォンに触れています。ところが、いまだに「ワイヤレスイヤフォンのリモコン操作」を覚えることが苦手です。
というのも、イヤフォンの内蔵リモコンは、本体のタップやスワイプなど「操作方法」が千差万別であるうえ、「左右のどちら側を何回タップすると曲送りになるか」といったことが製品によって全然違うのです(たとえば、現行AirPods Proの場合は、軸部分を2回押すことで「次に進む」)。
業界で決められた共通の規格やルールがないため、イヤフォンを買い換えるとなると、また操作方法をイチから覚え直さなくてはなりません。
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「JBL Headphones」アプリでは、イヤフォンをタップした際の挙動を確認できる
専用のモバイルアプリを使ってイヤフォンをコントロールできる製品も数多くありますが、「スマホを取り出す→画面ロックを解除する→アプリを起動する」といった手順を毎度踏むことになり、かなり面倒です。
その点、Tour Pro 2はケースの液晶を見ながら、音量や曲送りのコントロールが“着実に”行えます。今のところ、この快適さに勝るものはありません。
なお、Tour Pro 2を細かく設定できるモバイルアプリ「JBL Headphones」は、iOS/Androidの両方に対応しています。現時点でMacやWindows版アプリは提供されていませんが、充電ケースで必要な設定がコントロールできるので、PCによるビデオ会議のときにも重宝するでしょう。
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充電ケースだけで設定を操作できるので、PC利用時にも重宝する
サウンド&ノイズキャンセリング性能も充実
続いて、肝心の「音質」に関してです。
Tour Pro 2は10mm口径の大型ドライバーを搭載しており、これによって悠々としたサウンドを鳴らしてくれます。AirPods Proも解像度が高く、低音も力強く鳴らせますが、Tour Pro 2は音の立ち上がりが滑らかなところが特徴です。
さまざまなジャンルの音楽、動画の音声を聞いてみましたが、まるで足回りの良い高級車でドライブを楽しんでいるようにスムーズなサウンドが耳を潤してくれました。
また、アクティブ・ノイズキャンセリング機能のクオリティも良好です。バスや電車の低い走行ノイズから人の話し声、不意に飛び込んでくる甲高い環境ノイズまで、バランスよくシャットアウトしてくれます。
さらにモードを「外音取り込み」に切り換えたときにも、音楽の力強さを保ったままで、外の音がクリアに聞こえてきます。外出先でコンテンツ再生を楽しむ際には、充電ケースのリモコンなどを使ってまめにモードチェンジしてみてください。
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イヤフォン部分のサイズ感は、AirPods Proとほぼ変わらず。充電ケースはJBLのほうが少し大きめだが、それによって可搬性が失われることはない
内蔵バッテリーによる連続再生は、イヤフォン単体で約8時間(ANCをオンにした場合)、ケースで充電しながら使えば最長約32時間です。聴き疲れしないサウンドと、タフなスタミナを両立したことは、ユーザーにとって有り難い限りです。
JBLはアメリカを代表する老舗スピーカーブランド。最新の左右独立型のワイヤレスイヤフォンにも、長年に渡りJBLが培ってきた「音づくり」のノウハウがしっかりと注入され、「音質・デザイン・機能」の3拍子がしっかりと揃ったモデルがラインナップされてきました。
Tour Pro 2はJBLの最上位にあたるワイヤレスイヤフォンですが、本製品以外にも付属のイヤチップを交換することで「密閉型/開放型」のサウンドの違いを楽しめる「Tune Flex」や、ケースに蓋のない軽量・コンパクトな「Wave Buds」など、ユニークな個性派モデルが充実しています。
iPhoneと一緒に使うイヤフォンを買う際、“なんとなく”でAirPods Proを選んでしまう方も多い印象です。AirPods Proに決める前にぜひ、この「Tour Pro 2」を店頭などでチェックしてみてください。実際にモノを見てみるだけでも、刺激を受けると思いますよ。
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イヤチップの交換により密閉型/開放型のサウンドが楽しめる「Tune Flex」(写真右)と、“蓋のない充電ケース”を採用する「Wave Buds」(写真左)
文/山本敦
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