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元・KANA-BOON→現・関西No.1熱波師が語る野望。「“サウナ界のヒカキン”になって子供たちに夢を見せたい。結婚のあいさつでアウフギーサーと名乗ると、彼女のご両親に安心してもらえるくらいまで社会的地位を上げたいです」

集英社オンライン / 2023年3月7日 20時31分

ロックバンド「KANA-BOON」の元ベーシストにして、現在、大人気アウフギーサー(熱波師)として活動する“素面のいいだ”さん。ライブ感覚で楽しめる「焼肉アウフグース」とは? 独占インタビューを「サウナの日」にお届けする。

世の中で自分が一番うまい熱波師だと思っていた

――ここ数年のサウナブームで、「アウフグース(熱波)」(サウナストーンに水をかけて蒸気を発生させるロウリュを行い、その蒸気をタオルで扇ぐ行為)や「アウフギーサー(熱波師)」という言葉が世の中に浸透してきましたが、いいださんはその黎明期から活動しています。前職でバンドマンをされていましたが、いつも明るく楽しそうなツイッター(@Aufguss_iida)も印象的です。



これが好きだと思ったらとことん突き詰めるタイプなんです。3年くらい前にアウフギーサーとしての活動を始めましたが、当時はまだ競う相手がまったくいなくて、世の中で自分がいちばんうまい熱波師だとマジで思っていました(笑)。

―― 2019 年の夏にドラマ『サ道』(テレビ東京)が放送され、サウナブームが加速しましたが、当時はなにをされていましたか?

当時は大阪・ミナミのサウナ&カプセルAMZA(アムザ)でアルバイトをしていたんですが、まだアウフグースという概念もまったく浸透していなくて。一緒に働いていたメンバーですら、タオルを振るのが楽しいという感覚の人はいなかったですね。僕が全員にマンガ『サ道』を読ませたりとかしていましたから(笑)。

でも、徐々にアウフグースが好きだというアルバイトの仲間が増えてきたんです。就職を考える時期になっても「まだ扇ぎたい」って言ってくれる子がいたので、「じゃあ扇げる場所を確保しよう」ということで僕がリーダーとなり、熱波師アウフグースチーム「素面」を立ち上げました。

――サウナMCバトルで優勝したいいださんを筆頭に、実力者ぞろいの関西No.1熱波師アウフグースチームですよね。

昨年7月のアウフグース大会「Aufguss Championship Japan2022」にも出場しました。僕がいちばんかと思ったら、同じチームのほかのメンバーが準優勝しました。「あれ? 俺じゃないんかい」ってなりましたけど(笑)。

でも、それでいいんです。温浴施設のアルバイトの子でもめちゃくちゃうまい子もいるんで。そういう人たちを全国に増やしていきたいんですよ。別にうまくなくても、「この子、めっちゃサウナ好きやな~」という子が全国のどこの温浴施設に行ってもたくさんいる、というのが僕の夢ですから。

サウナ室に入る前からアウフグースは始まっている

――いいださんにとって、アウフグースのこだわりはありますか?

僕のなかでは「アウフグース=熱い風を送る」というだけでは、もはやないんですよね。客層や時間帯によってアロマの匂いを変えたり、扇ぎ方を変えたりするのは当たり前。入口と排気口の位置で空気の流れが決まるので、空調を調節してベストなコンディションに整えたりもしています。

――お話を聞いていて思ったのですが、ミュージシャンがライブをするときのような感覚なのでしょうか?

その感覚にも似ていますね。ライブが始まる前に音響さんとやりとりするように、サウナ室に入る前にアウフグースは始まっているんです。女性のお客さんもいるイベントならベリー系のアロマにしたり、サウナ初心者の方が多いイベントなら室温を下げたりします。

――アロマの調合はアンプとかをイジるような感覚ですか?

そうですね。いくらアンプがよくてもライブハウスが小さかったら、音が鳴りすぎて耳が痛くなっちゃうように、いい匂いのアロマも適量じゃないと鼻が痛くなってしまいますから。

あと、タオル選びは楽器選びに似ています。世界大会で使われるスタンダードのタオルはけっこう長いんですけど、それだとサウナ室が狭いときは扇ぎにくいので、もう少し短いタオルを使います。それから、アウフグースを始める前に「口上」をしたり、アウフグース中もお客さんに向かってトークするんですが、ライブMCの経験がめちゃくちゃ生きています(笑)。

――まさにライブパフォーマンスですね。

アウフグースはエンターテインメントだと思っています。僕のチームでは、アウフグースを「演目」と呼んでいるんです。例えば、「焼肉アウフグース」というネタでは、お客さんをお肉として扱います。座っているベンチを網に見立てて、最初はタン塩をイメージしてレモン系のアロマ、次に燻製ベーコンをイメージしてブラックペッパー系のアロマ、締めに梅茶漬けをイメージして梅のアロマやほうじ茶のアロマを使います。

ロウリュをしながら、「まだ背中が生焼けですね。裏返しましょう」と言ったり、お客さんがしんどくなってきたら、「焼けましたね。では、食べられてきてくださーい」と外に出てもらったり。いろいろセリフも工夫しているんです。

――芸が細かすぎます(笑)。

テーマパークのアトラクションみたいなノリですね。ショーアウフグースというカテゴリーになるんですけど、去年くらいから徐々に広まりだして、大会も開かれるようになってきました。だから、最近は衣装にもこだわりだしているんですよ。世界大会では大道具を使う人もいるし、プロジェクションマッピングみたいなことをしている人もいますね。

ただ、僕は昔ながらの静かな熱波も大好きなんです。だから、いろいろなアウフグースを選べるというのが大事かなと思っていて。みんながみんな、ショ―アウフグースを好きになる必要はないし、好きなようにサウナを楽しめる環境が増えてほしいというのが僕の願いです。

やっとタオルだけで飯が食えるようになったけど、もっと売れたい

――数年前には温浴施設のスタッフですら馴染みのなかったアウフグースですが、ものすごいスピードで進化していますよね。

1年というか数か月ごとに変化してますね。サッカーや野球、音楽やお笑いは生まれたときからありましたけど、アウフグースはまったく新しいエンタメであり、スポーツだと思うんです。

サウナ業界もここからさらに成長していくと思います。すでに化粧水のメーカーにスポンサーになっていただいていますが、アウフギーサーのタオルやユニフォームに広告がついたりすれば、どんどんサッカーや野球に近付いていくと思います。

――それは夢がありますね。

僕はやっとタオルだけで飯が食えるようになりましたが、もっと売れる必要がありますね。感覚としては黎明期の頃の YouTuber のイメージ。僕も含めて、誰かがアウフグースでめちゃくちゃ稼ぐようになったら、アウフギーサーが憧れの職業になるはずです。

結婚のあいさつに行ってアウフギーサーと名乗ると、彼女のご両親に安心してもらえるくらいまで社会的地位を上げたいですね(笑)。まずは僕がサウナ界のキングカズとか、ヒカキンさんのような存在になって、子供たちに夢を見せたいです。

昨年の大会では優勝できなかったですけど、周りには「僕は1位になるまで出続けるからね」と言っていますから(笑)。プレイヤーとしてももっともっと精進していきたいです!

――いいださんのお話を聞いて、こちらまで元気が出てきました! アウフグースを受けていないのに整った気分です(笑)。

うれしいです! 人を癒すためにアウフグースをやっているので。ゆくゆくはサウナも必要なくなってくるかもしれないですね(笑)。

撮影/雨宮太郎

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