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「勉強の結果だけを求めると子どもの問題行動につながることも」名門塾SAPIXが教える、気をつけたい保護者の子どもへの接し方

集英社オンライン / 2023年3月23日 8時1分

首都圏難関中学の受験で数多くの合格者数を誇る塾・SAPIXの講師陣に取材を重ねて執筆された『10万人以上を指導した中学受験塾SAPIXだから知っている頭のいい子が家でやっていること』から一部を抜粋、再構成して、家庭学習における重要メソッドをお届けする。

勉強の過程と結果、どちらを大事にする?
結果→✖️ 過程→◯
子どもの言い訳をきちんと聞いて共感する

子どもにとって小さい成功体験はとても重要です。スモールステップで、「これができたじゃん! じゃあ、次に進んでみよう」という一段一段の階段を上がっていく過程(プロセス)が学びへのモチベーションになります。

つまり、大事なことは「過程」。
結果だけをみて追い立てるようなことは絶対にNGです。



テスト結果で大事なことは、できたこととできなかったことを確認して、そこから学力を伸ばしていくためには何が必要かを一緒に見直していくことです。間違えた部分に関しては、転記ミスがあったのかもしれませんし、計算ミスをしてしまったのかもしれません。できなかった理由は子どもなりにたくさんもっています。

間違えてしまった原因を聞き取って、見直しにつなげましょう。
逆に、こうした言い訳に聞く耳をもたず、点数だけで一刀両断してしまっては、子どもは何も話さなくなりますし、前向きさも失われてしまいます。

過程を認めてあげるうえで大事なことは、子どもの話を聞いて「共感する」ことです。計算ミスをしていた場合、「惜しかったね。どこを間違えていたのか一緒に考えてみようか?」と声をかけます。

子どもが「計算ミスをした」と言っていても、どこでミスをしていたのか正確には気づいていない場合が少なくありません。親が寄り添っていくことで、改めて筆算をして、ミスに気がつくことができます。

また、字が汚くて筆算の縦の列がきちんと並んでいないから、違う桁の数字を足してしまって、うっかり間違えることもよくあります。その場合は、「大きくきれいに数字を書くことが大事なんだ」と学びます。

重要なことは自分で確認をして、今後ミスをしないように注意すること。子どももミスをしたくてしているわけではありません。どうすれば改善するのかを考えさせていく体験を大事にしましょう。

残念ながらSAPIX小学部でも、「結果だけよくしよう」とする子に遭遇することがあります。子どもたちに悪気があるわけではなく、保護者の価値観が投影されているのだろうと感じます。

こうした「結果偏重」になると、「点数さえ取ればいい」と考えて、カンニングなどの問題行動につながるケースもあります。子どもの倫理感がゆがんでしまう前に、早急に家庭での接し方を見直すことが大切です。

子どもに問題を教えたあとにかける言葉は?
「これでわかったよね?」→✖️ 「わからなかったら、また聞いてね」→◯
「わからない」が言える雰囲気づくりを心がける

家庭学習をしているなかで、お父さんお母さんが子どもに問題の解き方を教えることがあるでしょう。何回も教えていることだったり、ほかにもやらなければいけない家事があったりすると、つい「わかったよね?」と念押しして話を終わらせてしまうことがあるかもしれません。

少しでも親の言葉から「圧」を感じると、子どもは「うん」としか返事ができなくなります。「わかったよね?」に対して「わからない」と言ったら、「なんでわからないの!?」と返されるのが目にみえているからです。

「わかったよね?」という保護者からの言葉は、保護者にそのつもりがなかったとしても、コミュニケーションを切ることにつながります。本当はわかっていないことも、子どもは「わかった」としか言えない雰囲気になってしまうのですから。

大事なことは、どうやったら「わからない」が言える雰囲気をつくれるかということです。「わかったよね?」ではなく、たとえば「じゃあ、説明できるようになったかな?」とうながしてみると、子どもが本当に理解できているかがみえてきます。

「わからなかったら、また聞いてね」でもいいですね。100%の理解ができていなかったとしても、また聞ける環境さえ整っていれば、子どもは再度確認してきます。ときには、「おおまかにわかっていればOK」といったスタンスで接していくことも必要だと思っておきましょう。

教えたそばから忘れる子どもにイライラしたら?
「自分の子ども時代はもっとできていた」と説教する→✖️
子どもはすぐに忘れるものと思って接する→◯
忘れること前提で何度も繰り返せばOK

子どもは忘れる生き物です。びっくりするくらい忘れます。
そして大人になると、こんなにも子どもの頃に忘れていたこと自体を忘れてしまうんですよね。だから、親としては「昨日言ったばかりでしょう!」「もう何回も言っているじゃないの!」とイライラしてしまいます。

でも、「子どもは忘れる生き物なのだ」と思っていれば、少しだけ気持ちがラクになりませんか?

どんどん忘れていくことを念頭に置いて、根気よく、繰り返し学んでいくことが大切です。SAPIXのカリキュラムも子どもが忘れることを前提としてつくられています。だから、何回も何回も何回も同じ内容がでてきます。

覚えておいてほしい漢字や知識について、「絶対に忘れないようにね」と子どもに念押ししてもあまり意味がないでしょう。

それよりも、忘れていたら「また覚えよう」と前向きな声をかけていきましょう。忘れたことに一喜一憂するよりも、次は覚えていられるように、もう1回丁寧に繰り返していく。これが大事なポイントです。

イライラしないもう一つの方法として、お父さんお母さんが何かまったく新しい学びをスタートしてみるのもいいかもしれません。

案外、1週間前に習ったことも覚えていないものです。
リアルタイムに自分が忘れてしまうような体験をしていれば、「なかなか覚えていられないものだよね」とおおらかな気持ちになれるかもしれません。

『10万人以上を指導した 中学受験塾 SAPIXだから知っている 頭のいい子が家でやっていること』

佐藤 智 (著)

2023年2月17日

1760円

272ページ

ISBN:

978-4799329337

首都圏難関中学合格者数No.1進学塾のサピックスが初めて教える
「自ら学び続ける子に育てる」メソッドとは……?
国語・算数・社会・理科の教科別に紹介!

<こんな悩みはありませんか?>
・毎日「勉強しなさい」と言うのに疲れた
・子どものテスト結果がいつも悪い
・子どもに勉強を教えているとケンカになる
子どもが小学生になると「勉強」のことで頭を悩ませるご家庭は多いはずです。

本書では、そんな「勉強」に関する等身大の悩みを、難関中学への高い合格者数を誇る中学受験塾、
SAPIX小学部の先生たちにぶつけました。
もしかしたら、SAPIXの本というと、中学受験の攻略法や算数や国語の問題の具体的な解き方、
おすすめの中学校が掲載されていると思われるかもしれませんが、この本には載っていません。

本書は、もっとずっと手前にある「学びの本質」について書かれています。
・子どもが勉強に興味をもつには、どうすればいいか?
・学び続けていく子を育てるには、どういった習慣が必要か?
といった根本的に学びを好きになるには、家庭でどのような声かけや接し方をすればいいのかを紹介します。
具体的な例をあげて、「OKの声かけ・接し方」「NGの声かけ・接し方」をわかりやすく解説しています。

学びが楽しくなれば、子どもは自発的に勉強をはじめ、自然と学力につながっていくのです。
また、自分の頭で考えて試行錯誤する力もついていきます。

第1章では、子どもが学び全体に興味をもつための、家庭でできるアプローチ法を紹介します。
第2章以降は、国語、算数、社会、理科と各教科への関心を耕す具体的なメソッドをお届けします。
最後の章では、中学受験を検討する際に知っておきたいことをお伝えしていきます。

【こんな人におすすめ】
・小学1~4年生の子どもがいる
・子どもに「勉強は楽しいもの」だと思ってほしい
・子どもへの声がけに苦戦している
・中学受験を検討している
・中学受験のために塾へ通わせている

【目次】
1章 自発的に学び続ける「頭のいい子」
・子どもに問題を教えたあとにかける言葉は?
・教えたそばから忘れる子どもにイライラしたら?
・子どもの「得意」と「苦手」どちらに目を向ける? など
2章 国語ができる子になる習慣
・読解が苦手な子にどうアドバイスする?
・子どもにわからない言葉の意味を聞かれたら?
・自分の考えを表現できるようになるには? など
3章 算数ができる子になる習慣
・数字を身近に感じさせるには?
・計算ミスが多い子にどうアドバイスする?
・算数を得意にするには? など
4章 社会ができる子になる習慣
・社会科に興味をもたせるには?
・役に立ちそうもないことに子どもが夢中になっていたら?
・時事に興味をもたせるには? など
5章 理科ができる子にする習慣
・博物館や科学館などのミュージアムへは行くべき?
・植物や動物に興味をもたせるには?
・理科を得意にするには? など
6章 中学受験との向き合い方
・のんびりしている子は、中学受験に向いていない?
・先取り学習は必要?
・小学生のときに勉強しすぎると、あと伸びしない? など

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