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老舗料亭の繊細で雅な味を自宅で。「おお、青柳だ!と」思わず叫んだ「おうち懐石」の実力とは?

集英社オンライン / 2023年3月19日 12時1分

コロナ禍を経て、ますます過熱するおうちグルメ。定番化しつつあるお取り寄せにも新機軸が続々登場中。ついにあの老舗料理店も始めた、自宅でも手軽に懐石料理を楽しめるキットが話題だ。フードジャーナリスト高橋綾子氏もうなったその実力とは。

最先端の冷凍技術で実現した
「おうち懐石」のお取り寄せ

青柳の「おうち懐石

コロナ禍をきっかけに、飲食店が続々とお取り寄せやテイクアウトに参入してきましたが、高級料理店はなかなか腰を上げなかったものです。その最大の理由は味のクオリティが落ちることを懸念したから。
お客が口に入れる瞬間がいちばんおいしくなるように調理している料理人にとって、いつどんな状態で食べてもらえるかわからないということは不安でしかないわけです。


ところが名店「青柳」は踏み切った!

なぜか? それは“青柳の味”を再現できる冷凍技術に出会ったから。

家の食卓が高級料亭になる!

「青柳」は明治43年に徳島の料亭として誕生し、現在は徳島の本店と東京・麻布台に店を構える老舗の日本料理店です。主人の小山裕久さんは鳴門の渦潮にもまれた筋肉質な鯛のうまみを引き出す「へぎ造り」という技法を編み出し、“鯛なら青柳”と称賛された日本料理界の重鎮。

その「青柳」が「懐石をもっと身近に感じて食べてほしい」と最新の冷凍技術を用いてこの「おうち懐石」を開発したとのこと。しかも全12回の「サブスク」っていうのも気になるところです。

同梱されてくる作り方の小冊子、献立、料理写真

あの繊細で雅な青柳の味が本当に家で再現できるのか

「おうち懐石」がどんなものかというと、毎月、季節を感じる茶懐石一式(「若蒸しのご飯」「汁」「向付」「煮物」「焼物」「強肴」「小吸物」「八寸」「湯の子と練湯」「香の物」)が冷凍で送られてきます。重箱にでも入ってくるかと思いきや、エコを意識しているのか意外に普通で、ちょっと拍子抜け。

併せて献立の内容、下準備から仕上げまでの調理方法が書かれた小冊子とひと品ごとの料理写真も入ってきます。写真は盛り付けの参考にもなって、とても便利、しかも美しい!

カチンカチンの冷凍状態です

とは言え、あの繊細で雅な青柳の味が本当に家で再現できるのかは甚だ疑問であります。その検証をするべく、早速トライ!

今回は向付の「鯛の昆布〆」、「若蒸しご飯」、「鱧とじゅんさいの煮物椀」、そして焼物は「鱸の油焼き」の4品を作ります。

向付の「甘鯛昆布〆 向酢 莫大 オクラ 山葵」

こちらは最初のひと皿となる「四ツ椀(向付、汁、飯)」のうちのひと品。小冊子に記載されている「仕上げ方」によれば、自然解凍させてから向酢を適量底に垂らして盛り付けるとのこと。
「ん? 自然解凍?」……ここでやっちまったと気づく。今までお取り寄せしたこの手の類は、ほとんどが単純にレンチンや湯煎で調理時間10分以内、それを盛り付ければ完成なのに、やはり「青柳」の味を作るのは容易ではないということか。

焼物の「鱸の油焼き 蓼酢 はじかみ生姜 酢蓮」

幸いまだ温かいものに手を出していなかったのでリカバリーできるはずと、まずは小冊子の下準備と仕上げ方を一読。手順を考え、甘鯛やら吸い地、添え物を解凍してから再スタートすることに。
時間がかかりそうな「焼物」から調理開始。鱸をレンチンで半解凍し、オーブントースターで焼きます。仕上げの焼き目をつける程度なので魚焼き器ではなく、オーブントースターやフライパンでいいとのこと。

煮物椀の「ぼたん鱧 じゅんさい サンド豆 青柚子」

その間に鍋で吸い地を温め、鱧とサンド豆をレンチン。具材をお椀に盛り付け、吸い地が熱くなるのを待ちます。

「若蒸しご飯」

鱸に焼き目がつき、吸い地が温まるのを見計らって半解凍の「若蒸しご飯」をレンチン。全てが整い、いざ実食へ!

「おぉ、青柳!」と声が出たほど美味しかったのは

家の食器だと定食感が否めない……

懐石料理の順番に従い向付→飯→お椀→焼物でいただきます。

甘鯛のシコシコとした食感はまさにお店で出てくる感じ! 解凍しただけでこの出来栄えならいいんじゃないかな。ただし山葵はうまく解凍できなかったので、自宅にあるものを使用した方がよいと思われます。
ご飯の香りは飛んじゃってますが、やわやわであの炊きあがったばかりの「煮えばな」を思わせます。食事としてのご飯にしたい場合は、自分でお米を炊きましょう。

お椀は、「おぉ、青柳!」と言ってしまったほどおいしい。私がお店に伺ったのはもう何十年も前なので、これが今の青柳の味かどうかは確かではありませんが、私には出せない味だし、鱧もふわふわでめちゃくちゃおいしい。ですが、じゅんさいはイマイチです。
そして焼物はと言いますと、鱸はオーブントースターで焼いたにしては上出来です。ただ、はじかみ生姜はヘニャヘニャにやわらかくていただけませんでした。

「おうち懐石」は湿度を保った冷気で包み込むように急速冷凍する特殊技術を用いた最新の3Dフリーザーを使い、8割5分仕上げた状態で届きます。残りの1割5分、つまり調理や盛り付けを家庭で仕上げることで最高の“瞬”を味わえるというわけ。

作ってみて高級料理店には料理だけでなく器やサービス、空間があってこその価値なのだと実感しました。でも、一方でこれだけの味を出せるならおうちご飯も楽しくなる。ご飯も写真と同じようにお椀に一文字に盛れば、それなりの雰囲気が出せたと思う。

価格は全12回で415,200円、つまり2人分のディナーで1食34,600円ってこと。さすが高級料理店、お取り寄せも桁違いですが、「青柳」で2人で食事したら……、って考えると料理と器の相性や盛り付け方も身につくはず!なので、これは意外にお得なのかも。

文/高橋綾子

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