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「電話を折り返してください」と必ず言う大富豪。億単位の遺産を相続しているお金持ちの、1円たりともお金を無駄にしない習慣とは

集英社オンライン / 2023年3月20日 16時1分

トップ3.5%の富裕層の習慣を書き出した、『元国税専門官がこっそり教える あなたの隣の億万長者 富裕層に学んだ一生お金に困らない29の習慣』(ダイヤモンド社刊)より、お金持ちたちの意外で参考になる習慣を一部再編集し、お届けする。(サムネイル、トップ画像:写真/shutterstock)

著者である小林義崇氏は、2004年東京国税局の国税専門官として採用され、都内の税務署、東京国税局、東京国税不服審判所において、相続税の調査や所得税の確定申告対応、不服審査業務等に従事。

2年連続で東京国税局長より功績者表彰を受けた過去を持つ。そんな小林氏が富裕層と関わる中で学んできた、彼らの習慣をこっそり教えてくれた。


「電話を折り返してください」

都内の税務署に若手職員として勤務していた私は、相続税について相談したいという女性から、たびたび電話を受けていました。その女性は、いつも名前と電話番号を私に告げるや否や折り返しを求めて電話を切るのです。

最初に相談を受けて話を聞いたとき、ざっと計算しただけで、その女性は数億円単位の財産を相続しており、確実に相続税の申告が必要であることがわかりました。

そのことを説明してから、たびたび電話で疑問点を尋ねてくるようになったのですが、そのたびに折り返しの電話を求めてきたわけです。

ある日、その女性との長電話を終えた私は、近くの席にいた50代のベテランの先輩に、「億単位の財産を相続しても、電話代が惜しいんですかね」と、ついこぼしてしまいました。

するとその先輩は、「コバちゃん、わかってないね。そういう奥さんがいたから、億単位の財産が貯まったんだよ」と笑い飛ばしたのです。

まだ新人だった私にはピンときませんでしたが、数十年にわたって相続税調査を経験した先輩にとって、お金持ちの人が折り返し電話を求めることは、けっして不思議なことではなかったのです。

相続税調査をはじめて経験したときも、富裕層の質素な生活ぶりにたびたび驚かされました。

当時の私にとって、富裕層の生活など〝未知の世界〟です。私が育ったのは福岡県北九州市の市営団地が建ち並ぶエリアで、周囲にお金持ちはいませんでした。

私にとってお金持ちのイメージといえば、漫画やアニメで見た『おぼっちゃまくん』の世界観です。

家には執事やお手伝いさんがいて、欲しいものはなんでも買ってもらえる。そんな自分とは別世界の人々だとしか想像できなかったのです。

富裕層の家には余計なモノが無い

はじめての相続税調査で富裕層の自宅を訪問するまでは、「億万長者だから、きっと派手な生活をしているだろう」と、不謹慎ながら豪勢な生活ぶりに触れることにワクワクしていたのですが、実際に調査に入ると、その期待はあっさりと裏切られました。

拍子抜けするほど、普通の暮らしぶりだったのです。相続税調査は、基本的に公務員の勤務時間内の朝10時頃から夕方の4時頃まで行われます。訪問先からは迷惑がられることが多いのですが、仕事なので仕方ありません。

午前中は相続人の方から聞きとり調査をして、お昼の休憩を挟んで、午後からは「現物確認」をするのが基本的な流れです。

現物確認というのは、相続税申告に関する資料などを確認する作業のことです。具体的には、預金通帳や土地の権利書などに目を通して、申告内容に漏れがないかをチェックします。そして、最後にあらためて質問をするなどして、その日の調査は終了します。

私は上司から指導されて、「現物確認のときは資料をもってきてもらうのではなく、資料の置き場所に案内してもらう」ということを徹底していました。

というのも、資料をもってきてもらうと、資料の一部を隠されるおそれがあるからです。そのため、あえて資料の置き場所まで案内してもらいつつ、部屋のなかに怪しいものがないかどうかもつぶさにチェックするのです。

さらには、その部屋に案内されている途中、ほかの部屋もさりげなく見て、骨董品や金庫などの財産がないか、目を光らせます。

このような経験を通じて感じたのが、富裕層の家には、あまりモノがなく整然としているということでした。

広い家が多いものの、高級家具や骨董品がたくさん並んでいるわけではありません。普通の家よりも、むしろスッキリした印象なのです。

富裕層に対する質素な印象は、その後、何度となく相続税調査をしてからも、大きく変わることはありませんでした。

お金を守ることに力を入れる

結局、東京国税局の職員を退職するまでの13年の間に、何台もの高級車やプール、プライベートジェットといった、いわゆる〝お金持ちアイテム〟を目にすることは一度もありませんでした。

国税職員が調査相手の暮らしぶりに目を向けるのは、遺産の金額を推測するヒントになるからです。

たとえば「被相続人が死亡する3年前に、不動産を売って1億円を手にした」という情報を得ていたとしましょう。すると、国税職員はその1億円が死亡日にどれくらい残ったかを推測するために、生活費などをヒントにします。

だからといって、いきなり「毎月の生活費の支出を教えてください」といっても警戒されますから、亡くなった被相続人の通帳を見せてもらったり、趣味を聞いたりしながら、生前のお金の使い方を推し量ろうとするのです。

話を聞いて豪華な生活をしていることがわかれば、「生前に財産を使い切ったのだな」「これ以上調べても相続税の申告漏れ財産はなさそうだ」と納得するのですが、そのようなケースは稀まれです。

むしろ、年金や不動産賃貸などによる収入以内に生活費を抑えて、亡くなる直前まで資産を増やし続けていたケースが少なくありませんでした。

「お金を稼ぐ」ことが富裕層の条件と思われがちですが、「お金を守る」ということにも力を入れなければ、富裕層として生涯を終えることは不可能です。

電話代のような細かい費用であっても、徹底して支出を避ける意識こそが、富裕層の第一条件なのかもしれません。

いくら安くても
価格に見合わなければ買わない

おそらく多くの人が思い浮かべる富裕層の生活とは、衣食住にお金をかけた、俗にいう〝贅沢な生活〟ではないでしょうか?

毎日のように高級レストランで食事をして、シーズンごとに流行のブランド品を身につける。そのような印象をもっているのなら、それは明らかに間違いなのです。

「お金が増えると生活レベルが上がる」というのが一般常識ですが、これは必ずしも正しくありません。

ノーベル経済学賞受賞者である心理学者ダニエル・カーネマンらの研究結果によると、収入と幸福度は比例するものの、年収7万5000ドル(約800万円)で収入アップによる幸福度の上昇は、ほぼ頭打ちになるといいます。

一般の人からすれば、お金はあればあるほどいいと思いがちですが、そうとは限らないのです。

たとえば食費を2倍かけたからといって、人生の幸福度が2倍に高まるわけではありません。食べられる量には限りがありますし、質素な食事でも十分に満足できる人もいるでしょう。

私が思うに、富裕層はお金をかけるべき物事を見極め、必要以上の食費など、効果の見込めない支出は控えています。

これはケチということではなく、「いくら安くても価格に見合わなければ買わない」といったふうに無駄な支出を意識的に避けているということです。

私が相続税調査のときにまず気になったのが、庶民的な服装でした。見た目だけでは、億単位の資産を相続した人には見えません。

身につけている洋服のブランド名を尋ねたわけではありませんが、ユニクロや無印良品などのようなカジュアルなファストファッション風の服装が多かったです。

もちろん、税務署の人が来るからといって、オシャレをする人はあまりいないと思いますが、それにしても見た目が普通であるのは驚きでした。



文/小林義崇

富裕層の意外な素顔 はこちらから(3月21日12時公開予定)
富裕層の趣味ランキング はこちらから(3月22日16時公開予定)

元国税専門官がこっそり教える あなたの隣の億万長者(ダイヤモンド社刊)

小林義崇

2023年2月8日発売

1,650円

240ページ

ISBN:

978-4478116517

「富裕層」と聞くと、どんなイメージが浮かぶでしょうか?

高級ブランドのファッションに身を包み、自宅のガレージに何台もの外車が並び、
アーリーリタイアを果たして頻繁に海外旅行に出かける――。
もし、あなたが富裕層に対してそのようなイメージを抱いているのであれば、
その事実はまったく違います。

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