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糖質制限をしている人ほど危険? スリム体形なのに動脈硬化? それ、もしかして「脂質中毒」が原因かも

集英社オンライン / 2023年3月17日 15時1分

さほど脂を摂っておらず、体型がスリムなのに動脈硬化や腎不全、糖尿病などのリスクの可能性があるのが「脂質中毒」。どんな生活スタイルに脂質中毒の疑いが潜むのか、医学博士、岡部正先生の著書『脂質中毒 脳は「脂」を欲するようにできている』(アスコム)より一部抜粋、再構成してお届けする。

脂質中毒#2はこちら(3月18日 13時公開予定)

あなたは、もう脂質中毒になっているかもしれない

「長生きする人は、毎日肉を食べている人が多いそうですね。ですから私も、できるだけ肉を食べるようにしているんです」ある患者さんが、私にそう言いました。
確かに、人が健康に生きるためには、適度に肉を食べることは必要でしょう。
肉に含まれる動物性たんぱく質は、筋肉や臓器などを作る材料になり、骨を作るのを助けます。


人が健康に生きていくために、アミノ酸バランスに優れた肉などの「良質のたんぱく質」は欠かせません。
しかし、それでは木を見て森を見ず、になってしまいます。

毎日、肉を食べるということはすなわち、肉に含まれる脂質も相当食べているということになります。
肉を食べて脂質を摂取することが習慣になると、あなたの味覚が変化して、知らず知らずのうちに脂質を求めるようになってしまいます。
そうすると、もっと脂質が欲しくなり、肉などの脂っこいものや乳製品を摂るようになります。このくり返しが、さらに味覚を変化させ、いっそう脂質が欲しくなる。そして、いつしか脂質を摂取することが快感になり、さらに脂質が欲しくなる……。
これが、「脂質中毒」なのです。
脂質中毒というと、極端な印象を持たれるかもしれません。

肉の脂身ばかり食べているとか、揚げ物を毎日食べているとか、飲み会の締めにあぶらギトギトのラーメンを食べているとか……。
もちろんそういう人も脂質中毒になっているでしょう。
でも、多くの脂質中毒の人は、そのような食生活を送っているわけではありません。「自分がすでに脂質中毒になっている」なんて思いもしない人がほとんどなのです。
「食生活には気を配っているから、私は大丈夫」と自信を持っている人が、気づいたときには脂質中毒になっていた……。
じつは、このタイプの患者さんはたくさんいます。

「脂肪味」という新しい味覚があなたを中毒にする

ここで脂質中毒になる原因のひとつになっている人間の「味覚」について、少し解説しましょう。
味覚には、5つの基本味があります。「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」「うま味」、これらをまとめて味覚の五基本味といいます。
それぞれの味を感じることには、ちゃんと意味があります。
例えば、甘味は糖分の味、つまりエネルギー源の味です。食材の甘みは、人間に必要なエネルギー源が含まれていることを示しています。
塩味とは、ミネラルの味です。私たちがものごとを考えるとき、脳の神経細胞が働きます。この神経細胞を正しく働かせるために、ミネラルのひとつであるナトリウムが必要なのです。
このように、味覚は食物中に人体の恒常性維持のために必要な成分が含まれていることを教えてくれる、とても大切な感覚なのです。
そして、最近の研究で、この五基本味に加えて第6の味覚があることが明らかになってきました。「脂肪味」です。
ただし、この「脂肪味」は、五基本味とは性質が少し違う味覚です。脂肪を味わうだけではなく、しっとりとした食感を含め、脂肪を感じとる感覚もあるのです。
「脂肪味」に敏感な人は、少しの量の脂肪でも感じとることができます。だから、脂肪をたくさん摂取する必要がありません。
反対に、「脂肪味」に鈍感な人は脂肪を摂りすぎてしまいます。しかも、高脂肪の食品を食べ続けることで、ますます「脂肪味」に対して鈍感になっていき、食べすぎを抑えられなくなります。
また、脳内には、おいしいものを食べると刺激されて快感を得る「報酬系」という部位があります。脂肪を摂り続けていると同じ刺激では快感を得ることができなくなり、脳は「もっと脂肪を!」と強く求めるようになります。
これは人が麻薬中毒になるシステムと同じなので、私は「脂質中毒」と名づけました。

糖質制限をしている人ほど「脂質中毒」になっている?

最近、「糖質中毒」という言葉が話題になりました。それに脳が侵されると、糖質を摂らずにはいられなくなるのです。多くの肥満者は「自己管理ができない人間」などではなく、糖質中毒になった被害者といっていいでしょう。
「脂質中毒」も、糖質中毒と同じくらい恐ろしいものです。というのも、本人にはまったく自覚がなく、いつの間にか「脂質中毒」になっていたというケースがじつに多いからです。
あぶらっこいものが好きで、ふだんからたくさん食べている人は、自分自身でも「脂質中毒」の危険性を感じているでしょう。
しかし、肉類や油料理がそこまで好きじゃないという人、ましてや脂肪を摂ることを意識して避けている人でも、いつの間にか「脂質中毒」になっていたというケースがよくあるのです。
糖質制限をしている人が、脂質を摂りすぎて「脂質中毒」になってしまったケースも増えています。
それでは、ここで本書の脂質中毒対策に対する適性診断テストを受けてみましょう。次ページのチェック項目に「イエス」もしくは「ノー」で回答し、イエスの数をカウントしてください。「私は自制できているから大丈夫」と安心しているあなたも、すでに「脂質中毒」になっているかもしれません。

イエスの数が10以上ある人は脂質中毒確定、6〜9の人は脂質中毒の可能性が大きいと考えて間違いありません。本書を読んですぐに対策を実行してください。

イエスの数が2〜5だった人は、将来的に脂質中毒にならないよう、今のうちに勉強しておきましょう。

イエスの数が0もしくは1だった人は、今のところは大丈夫です。でも油断せず、しっかり知識を蓄えてください。

脂質中毒になると……。
がんによる死亡リスクが高まります。
心血管病も発症しやすくなります。
さまざまな病気の原因となる肥満を誘発します。
みなさんの健康は、確実に損なわれるでしょう。
ここで、実際に私が脂質中毒と診断した人の例を紹介します。
他人事(ひとごと)だと思っている人も、一気に自分事(じぶんごと)に感じられるはずです。

脂肪中毒のさまざまな例

●「スリム体型で食事に気を使っているのに」
【Aさん 女性40代後半】
Aさんは40代前半の女性です。見た目はまったく太っていません。スリム体型ですが、少し下腹はぽっちゃりしてきました。大きな病気を患ったこともなかったため、まともに健康診断を受けたことはありませんでしたが、久しぶりに受診してみると、コレステロール値、中性脂肪値がかなり高いことが発覚。いわゆる隠れ肥満でした。
暴飲暴食も、あぶらっこい食事もしていない。でも、大のスイーツ好き。脂質中毒の原因はこれでした。
「自分は大丈夫」と思っている人が、知らず知らずのうちにヤバい状況に陥っている、典型的なパターンです。

●「体の不調の原因は更年期だからとあきらめていたが」
【Bさん 女性50代前半】
Bさんは50代前半の女性。彼女は、日常的にカロリーや脂質に気をつかっています。外食は控えめ。食事は野菜と魚が中心。美意識も高いほうです。にもかかわらず、じわじわと体重は増加し、体型もふくよかに。体の不調を感じるようになりました。
「更年期だから仕方ないか……」と、なかばあきらめていましたが、原因は別にありました。Bさんの主食は、ご飯(お米)ではなくパンが中心だったのです。

絵に描いたようなパンマニアで、都内の有名店を渡り歩き、話題の商品を一度は買って試してみる。そんな日々を送っていました。
こちらも、まったく自覚がないまま脂質中毒になっていたというパターンです。

●「体育会系のスポーツマンだからと油断していた」
【Cさん 男性40代前半】
学生時代はラグビーに没頭。体づくりと体力維持のため、当時の食事のボリュームはヘビー級でした。焼肉とラーメンが大好物。これだけ食べても運動量がけた違いだったので、太ったり、健康を害したりということはありませんでした。

社会人になり、運動量は確実に減りましたが、学生時代の習慣は抜けず、食事はあぶらっこいものが多く、飲んだあとの締めのラーメンをたしなむこともしばしば。いつしか「たまにはいいでしょ」が口ぐせになっていました。それでもガッチリ体型は変わらず、危機感を覚えることもありませんでした。

しかし、40代を迎えて初めて受けた本格的な人間ドックの結果はガタガタでした。脂質に関係する項目は軒並み厳しい数値が出たのです。

Cさんのようなケースは、学生時代にスポーツをやっていた体育会系の男性によく見られます。外見に大きな変化はなくても、筋肉がいつの間にか脂肪に変わっているのです。現役時代の感覚をリセットせずに年を重ねているという自覚のある方は、本当に気をつけてください。

●ふだんからじゅうぶんに気をつけている、と思っている人が危ない!
AさんやBさんに共通するのは、ぱっと見は脂質を多く摂っているという印象
を受けない人だということ。ここに落とし穴があるのです。
脂質中毒は、Cさんのようにある程度の自覚がある人だけでなく、ふだんは意識していない人にも、思わぬ死角から忍び寄ってきます。

『脂質中毒 脳は「脂」を欲するようにできている』(アスコム)

岡部正

2022/12/16

1,320円(税込)

‎176ページ

ISBN:

978-4776212553

私が岡部クリニックを開業してから25年以上が経ちました。これまで診てきた、糖尿病をはじめとする生活習慣病に苦しむ患者さんや、肥満を解消したいと願う方々は数知れません。いつの時代も、みなさんが抱えている悩みは深刻です。ただその間、傾向に変化が見られたり、私自身が新たに発見したりしたことがいくつかあります。
その最たる例が「脂質中毒」です。
お菓子好きの女性の患者さんを大勢診てきて、当初は糖質中毒が病気に大きく影響していると考えていました。しかし、あるとき気づいたのです。その大半が〝洋菓子派〟であり、
〝和菓子派〟は極めて少ないという事実に。すると今度は、糖質をあまり摂っていないうえに、見た目に太っていない人が身体の異常を訴えているケースに
とくに目がいくようになりました。そして、脂質中毒の存在にたどり着いたのです。
日本人の食の欧米化が進み、寿命や生活習慣病の発症率に変化が生じました。
そろそろ、なにかしらの手を打たなければなりません。だからこそ、私は本書を通じて
脂質中毒への効果的な対策を発表することにしたのです。脂質中毒は自分で気づきづらいだけでなく、自分の意思で治すことも非常に難しい症状です。
そのことを、本人のみならず、周囲のみなさんもしっかり理解して、改善に向けて全力で取り組んでいっていただきたいと思います。
【こんな人は危険!あなたは大丈夫?】
□ 和菓子よりも洋菓子が好き
□ 夜食や間食をとる習慣がある
□ 焼肉は赤身よりもカルビが好き
□ お腹がいっぱいでも好きなものは別腹
□ 退屈になるとなにかを食べる、食べてしまいたくなる
□ ストレスがあるとなにかを食べる、食べてしまいたくなる
□ コロナ禍でデスクワークの時間が2時間以上増えた
□ 20歳のころよりも体重が5㎏以上増えた
1つでもあてはまる人は「脂質中毒」の可能性大!いますぐ本書を読んでください。

続きは脂質中毒#2へ(3月18日 13時公開予定)

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