またやってしまった。
どんな依頼にもいい顔をして、安請け合いしてしまうという悪い癖が出た。
集英社の文芸編集部から寄稿の打診があったとき「天下の集英社文芸のHPにオレの原稿が載るなんて、こんなに箔の付くことはないぞ」と、二つ返事で引き受けてしまったのだが……。
テーマが「ネガティブ読書案内」だと聞いて「ん?」
編集者に「ネガティブとは?」と尋ねると「人生に行き詰まったり絶望しかけたりしたときに、読めば支えになるような書籍を数冊薦めてください」とのこと。
はてさて、なるほど。
私の経歴を耳にすると、さぞかし挫折と絶望を経験したのだろうと想像されてしまうようだ。
実際には、私はこの上なく楽天的で、失敗を失敗と考えない、挫折を挫折と思わない、絶望? それってなんですか? 食べられますか? コンビニで売ってますか? というくらい能天気でポジティブな極楽とんぼなのである。
例の事件の際も、張本人の私がいちばん涼しい顔をして、ことの成り行きを眺めていたことに、周囲がドン引きしていたくらいだ。
まあしかし、受けてしまったものは仕方がない。
私は挫折も絶望もしないが、そのような体験をすることになった人間のために役立ちそうな書籍を、2冊ほど挙げてみることとしよう。