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バズりに囚われた殺人鬼、壮絶な拷問と辱め、インスタ女子を逆恨み…ネット社会に潜む恐怖を描いたインターネットホラー映画5選

集英社オンライン / 2023年3月18日 15時1分

インターネット文化が急速に発展する昨今、特にSNSを中心として、日々様々なトラブルが取り沙汰されるようになった。映画業界でも、〝バズり〟や〝ネットストーカー〟などの諸問題をテーマにした作品が、何本も作られている。というわけで今回は、インターネットを巡るいざこざ・大事件に関わる映画を5本、紹介していこう。

第5位:『スプリー』(2020年)

まずは『スプリー』(2020年)という、ある〝バズり〟に囚われた殺人鬼のスリラー映画から紹介しよう。

主人公は一見どこにでもいるような、ごくごく普通の冴えない若者。2009年に動画配信チャンネルを開設した彼は、商品レビューや音楽制作に没頭。最初こそ単なる趣味として、楽しく配信を続けていた様子だったが、次第に焦りが見え隠れするように。


そしてチャンネル開設から10年後、家族や人生だけでなく、未だ二桁に達するかどうかという視聴者数に心を折られた彼は、「過激なことをしてでも注目を集めたい」という欲求に駆られることとなる。殺人配信だ。

〝ライドシェア〟のドライバーとして車を走らせ、拾った客を車内で殺害。それを嬉々として配信しては、コメントの反応や視聴者数に一喜一憂する主人公の姿は、もはやSNS社会の負の極致。完全に病んでしまっている上、ここまでしてなお彼はなかなかバズらず、同業者から致命的なセンスの悪さを指摘されているところがいたたまれない。やっとバズったと思ったら、不謹慎な茶化しコメントや下ネタで配信が荒れ模様なのにも嫌なリアルさがある。

〝バズり〟にこだわるSNSおよび配信業全般に対し、ドストレートに苦言を呈するその内容は思わず見入ってしまうもので、特にオチの〝匿名ネットらしさ〟が超秀逸。一方で作品としてのややテンポはやや緩慢なため、バタバタ人が死ぬスプラッター映画のような内容を期待すると、肩透かしをくらうだろう。

第4位:『バトル・インフェルノ』(2019年)

風刺要素の強い『スプリー』のお次は、オカルト色が強めの正統派エンタメ作品を。〝ヤラセ配信〟をテーマとしたホラー映画、『バトル・インフェルノ』(2019年)だ。

主人公はニセ神父とその大親友。二人は大勢のキャスト・スタッフを揃え、「さも本物の神父が、悪魔を祓っているかのように見せかけている」ライブ配信で視聴者数を稼いでいた。
大がかりなインチキ企画は毎度大好評。が、ある日ニセ悪魔憑き役のキャストに、一体どういうわけだか本物の悪魔が憑依してしまう。

スタジオには超常現象の嵐が巻き起こり、次々と惨死するスタッフ。そしてニセ神父はカメラの前で、壮絶な拷問と辱めを受けることに。
だがスタジオに降臨した本物の悪魔、ニセ神父や大親友たちを責め苛んでは愉悦に浸る一方、どうもこのライブ配信の視聴者数を気にしているようで──。

絶対的に強く、恐ろしく、スタジオを支配する悪魔との攻防がスリリングな一本。殺戮劇の合間に仄めかされる、主人公二人のバックボーンも面白く、案外しっかりとしたストーリーがある。勘のいい方には途中で「おおよそオチが読めてしまう」だろう点と、殺人ギミックの独創性にはやや乏しい点がネックだが、それでも最後まで途切れないその緊迫感を評価したい。

第3位:『アンフレンデッド:ダークウェブ』(2018年)

〝ダークウェブ〟がテーマのホラー映画、『アンフレンデッド:ダークウェブ』(2018年)は、かの良作『アンフレンデッド』(2015年)待望の続編。ただし本作、現代オカルト・ホラー様式を取っていた前作とはまったく異なる作風に、大胆な路線変更を行っている。

とあるインターネットカフェの落とし物コーナーから、新型PCをくすねてきた主人公。脆弱なパスワード(ユーザー名と同じ)を打ち込み、首尾よくサインインした彼は、そのまま友人らとライブチャットに興ずる。
だが、そのPCの中には、謎のアプリケーションや隠しフォルダ、そして薄気味悪い動画ファイルが多数存在していることが判明。さらには本来の持ち主を名乗る、正体不明のユーザーが登場。SNSを通じて主人公の所業を糾弾する。

実はこのPCの持ち主、ダークウェブ上でスナッフビデオの取引を行っているクラッカー集団の一人。彼らは、まず主人公らに近しい人々から順繰りに襲うと、盗品PCを巡っての駆け引きを開始する──。

前作に引き続き、「ほぼ全編PC画面上で話が進む」演出の臨場感を特徴とするホラー映画。が、今回の悪役となるクラッカー集団は、あまりに理不尽・異様に大規模・そして圧倒的に無敵。そのため「ある意味前作の幽霊以上に」荒唐無稽であり、せっかく醸し出した臨場感が損なわれているように思わなくもない。

とはいえ、捉えどころがなく絶対的な悪意の数々を前に、おびえ絶望するほかないこの不快感は上々。前作には及ばないにせよ、まずまず楽しめるホラー映画だ。

第2位:『イングリッド ─ネットストーカーの女─』(2017年)

ホラー系の作品に偏ってしまったため、コメディ・ドラマもひとつ紹介しておこう。〝インスタ女子〟と〝ネットストーカー〟を描いた、『イングリッド ─ネットストーカーの女─』(2017年)だ。

とあるインスタ女子を逆恨みし、大騒動を起こしたイングリッド。精神病院で治療中の彼女は、Instagramでキラキラ系インフルエンサーのテイラーからコメント返しを受けたことに感激し、再び暴走を開始。

大枚をはたいてテイラーの住むロサンゼルスに向かったイングリッドは、彼女の行きつけのレストランに通いつめると、髪型や持ち物まで同じに揃えて身分を偽り、偶然を装って急接近。見事に憧れのインスタ女子の大親友となる。

が、テイラーとの交流が深まる中で、嘘で塗り固め無理で支えたイングリッドの虚像は、次第にボロが出始める。また、テイラーも決して見かけ通りの華やかな性質というわけではなく、元は垢抜けない普通の女性だったことを知ったイングリッドは──。

互いに繋がっているようでそこに繋がりはない空虚な人間関係や、上っ面ばかりキラキラなSNS上の自分、そしてインフルエンサーへの異常な執着心などを取り扱ったコメディ・ドラマ。ただし〝コメディ〟とはいえ、皮肉っぽいラストはゾッとする。

主人公のイングリッドは、虚言まみれの愚かな女性には違いないのだろうが、それでも彼女が悪あがきする様に、一定の感情移入をしてしまう作りは見事。オススメの一本だ。

第1位:『search/サーチ』(2018年)

良作SNS映画といえば、『search/サーチ』(2018年)。

数年前に愛する妻を亡くしてしまった父デビッドと、娘マーゴット。家族の死を乗り越え、再び平穏な生活を送り出したかに見えた二人だったが、ある日のこと、勉強会に出かけたはずのマーゴットが突如として行方をくらませてしまう。彼女の友人知人を総当たりで尋ね、警察に連絡し、自らもインターネットを駆使して捜査に乗り出すデビッド。

しかし様々なSNSを当たる中で、彼はいくつもの娘の〝秘密〟と直面する。果たしてマーゴットは家出したのか? それともなんらかの事件に巻き込まれたのか? そもそも、彼女はなぜ父に隠しごとをしていたのか? 二転三転する事態は、衝撃の結末を迎え──。

アンフレンデッドシリーズ同様、ほぼ全編を通してPC画面上で物語が進行する、SNSミステリー映画。物語序盤から中盤にかけては、「娘の失踪を通じて、父が自分の親としての在り方を見つめ直す」という、ある種のホームドラマ寄りの話運び。
だが後半からは一転して、それまでに張られていた様々な伏線が一気に回収され、ぞっとするような真相も明らかになる、ハラハラドキドキの純サスペンス展開が開始。すべてが一点に向かって収束していく様が心地いい。

BGMや画面ズーム演出(PC上の文字は小さいので仕方ないのだが)の自己主張が強めな点を除けば非常にとっつきやすく、高い満足感を得られる一本だ。

以上がインターネット映画5本である。他人事だとして笑うべからず、誰もが気軽にインターネットを使える世の中だからこそ、いつ自分が当事者になってもおかしくはないということを常に肝に銘じたい。

取材・文/知的風ハット

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