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“甲子園ペッパーミル騒動”に決着!? 高校球児たちに意見を聞いてみた「礼儀が欠けているとは思えない」「注意して盛り下げた審判の方が許せない」

集英社オンライン / 2023年3月20日 17時1分

WBC侍ジャパンで人気沸騰中のラーズ・ヌートバー選手(25)の“ペッパーミルパフォーマンス”だが、開催中のセンバツ高校野球で選手が行って審判から注意を受けたことが話題を呼んでいる。大人たちの思惑はさておき、これから甲子園やプロ野球、その先のメジャーリーグでの活躍を夢見る少年たちはどう感じているのか。彼らの思いを聞いた。

球児のパフォーマンスに高野連が“待った”

ヌートバー選手が米球界から持ち込んで流行らせた”ペッパーミルパフォーマンス”とは、出塁時などに胡椒引き(ペッパーミル)をグリグリするようなポーズをすることで味方を鼓舞するパフォーマンス。

元々「身を粉にする」「コツコツ努力する」などの意味が込められており、常に全力プレーを怠らない同選手の人間性と相まって、チーム内からファンにも波及。相手を煽ったり挑発したりする行為とは異なることもあり、瞬く間に社会現象となった。


ペッパーミルパフォーマンスをするヌートバー選手(写真提供/アフロ)

しかし、そのヌートバー選手も憧れたという甲子園の舞台で奇しくも“待った”がかけられた。

18日に甲子園球場で開幕した第95回記念選抜高等学校野球大会(センバツ)で、第1試合に登場した東北高校(宮城)の選手が遊ゴロ失策で出塁した際に行ったこのポーズに一塁塁審が「注意」。試合後のインタビューで佐藤洋(ひろし)監督(60)が「何でこんなことで、子どもたちが楽しんでいる野球を大人たちが止めるのかなと感じました。もう少し子どもたちが、自由に野球を楽しむことを考えてほしい。日本中が盛り上がっているのになんで駄目なのか、理由が聞きたい」と異議を唱えたことで、物議を醸している。

それに対して日本高等学校野球連盟は「高校野球としては、不要なパフォーマンスやジェスチャーは、従来より慎むようお願いしてきました。試合を楽しみたいという選手の気持ちは理解できますが、プレーで楽しんでほしいというのが当連盟の考え方です」とコメントした。ルールではなく、マナーの問題なのだそうだ。

「礼儀が欠けてると言うのはプレーしてる側じゃなくて見てる側」

しかし、頭でっかちな大人たちとは対照的に、少年たちは意外にもクールだった。

東京都新宿区の明治神宮外苑にある「神宮バッティングドーム」。ここは本塁打世界記録を持つ王貞治を指導したことで知られる荒川博コーチ(2016年86歳で死去)が、亡くなる直前まで足繁く通い、打撃指導をしていたことでも知られるが、ここでガンガン球を打っていた少年たちにインタビューを行った。

神宮バッティングドームで練習する球児たちに話を聞いた

「自分たちはまだしたことないですが、これだけ流行っているとやってしまう気持ちはわかりますね。相手を貶すパフォーマンスでもないと思いますし。中学野球では昔のような『ピッチャービビってる』みたいな掛け声はもうほとんどありません。ジェスチャーやパフォーマンスで喜びを表現することも少ないでので、もう少しあってもいいと思います。今回のもエラーではなくヒットで出塁したのならアリだったんじゃないかなと思います」(中学2年生の2人組)

「いざとなったら自分は照れてしまってできないかもしれないです。相手だって貶されているとは思わないでしょうし、自分のチームの士気も上がるしいいんじゃないかと思います」(中学3年生)

「流行りものだし、自分も塁に出てやってみたいです。不要と言えば不要だけど、パフォーマンスすることでチームとして盛り上がって良い流れが作れる気もするし、世界的に有名になっているポーズを禁止までしなくてもいいんじゃないですか。お金をもらってプレーしてるプロ野球でもポーズをやってるわけだし、部活の野球でもそれくらいの自由はあってもいいと思います」(高校1年生)

「あれくらいのパフォーマンスでも注意されるんですね。相手を馬鹿にしたりするのは駄目でしょうけど、ガッツポーズとか『よっしゃー!』って声出しちゃうのとなんら変わらないじゃないですか。相手のエラーでも塁に出たらみんな声出しますよね。過剰に反応しすぎじゃないですかね」(別の高校1年生)

「今の時代、高校野球でもそれなりにファンがついてたりするし、ファンサービス的な意味でもあっていいと思います。もしも自分のチームのエラーで出塁した相手がパフォーマンスしたとしても、なんとも思わないですよ。礼儀が欠けてると言うのはプレーしてる側じゃなくて見てる側だけだと思います」(高校2年生)

「注意して盛り下げた審判の方が許せない」

実際にペッパーミルパフォーマンスを「経験済み」という14歳の中学2年生は、興奮気味にこう話した。

「練習試合でランニングホームランを決めたときにやりました。自分もチームのみんなもパフォーマンスしてめちゃくちゃ気持ちよかったです。大活躍中のヌートバー選手に少しでも近づけた気がしますし、憧れでもあるのでできて嬉しかったです。

相手を煽る意味でやるのはよくないと思いますけど、誰もそんな気持ちでやる人なんていないでしょうし、塁に出るのは実際嬉しいことです。チームの一体感も出るからあまり派手なものでないならパフォーマンスもアリだと思います」

ともに17歳の高校2年生ふたりは、大人の思惑をこう一刀両断した。

「連盟は不要なパフォーマンスやジェスチャーって言うけど、チームとして盛り上がったり活気付けるための行為は『不要』なんですかね。それに相手のエラーだからダメだと言うなら、例えばサヨナラエラーで勝って喜ぶことも礼儀に反してるのでしょうか。

自分としてはむしろ、塁に出てパフォーマンスして活気づいてる時に、注意して盛り下げた審判の方が許せないです。場の流れや空気を壊しているかもしれないじゃないですか。注意なんて試合後に言うとか、試合中でも監督やコーチにこっそり伝えたらいいじゃないですか」

確かに、教育的指導なら目立たないようにした方がスマートだし、この審判の注意の方が「パフォーマンス」だったような気もする。

だが、中には少年たちの感性に近い大人の指導者もいる。

青山学院大駅伝部の原晋監督はTwitterで、スポーツ紙の記事を引用し、
「いまだにこんな管理者(審判)いるんだ⁉ 世の中個性を大切にしようと言っているのに、他者を侮辱行為してないパフォーマンスに対して制限するなんて不思議でならない。負けるな高校球児!高校野球は君たちの為にあるのだから!」とつぶやいた。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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